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クレジットのおさらいをしておこう(1)

カーボン・クレジット・エバンジェリストとして(?!)、何度となくご案内してきましたが、話題になればなるほど、「最近知りました」という方が次々と現れ、同じ説明を繰り返すことも多くなってきました、

なので、ここでもう一度、簡単におさらいをしておこうと思います。

と言っても、一から説明するのも難しいし、さりとて、適切な参考資料もあまり見当たらない。そんな時に頼りになるのが、大本営がまとめた「カーボン・クレジット・レポート

既に古くなった情報もありますが、クレジットの本質的なところは変わっていませんので、有難く拝借させて頂いて、ご案内したいと思います。

まず、プログラムについて。大まかに言うと、国連・政府主導のスキームと、民間主導のスキームがあります。

前者は対象が世界なのか(CDMやパリ協定下での6条4項クレジットなど)、二国間なのか(JCMなど)、あるいは国内に限定されたものか(J-クレジットなど)に分かれます。
 
後者は、クレジットが創出されるプロジェクトの環境価値に基づいて、様々な目的のために自由に売買されることから「ボランタリークレジット(ボラクレ)」と呼ばれます。

カーボン・クレジット・レポートの概要 16ページ

これに対し、法的な要請によって取引されるクレジットを「コンプライアンスクレジット(コンクレ)」、取引される場を「コンプライアンス・マーケット」と呼びます。

コンプライアンス・クレジットは、主に国連・政府主導のプログラムを指すことが多いのですが、東南アジアや南アジア、中央・南アフリカなどの新興国においては、ボラクレの使用を認めている場合もあります。

国内制度が発達しておらず、活用できるクレジットの種類・量が少ないためで、特定のボラクレの特定の方法論を一定条件下で認めていたり、直接取り込んでいたりしたりします。

noteで以前ご案内していますので、よろしければ参照下さい。

また、ICAOが実施しているCORSIAでは、条件を満たしたボラクレを「CORSIA適格ユニット」として承認していますが、こちらも、ICAOに加盟しているエアラインでは、コンプライアンス上利用できるクレジットとなるため、ボラクレですがコンクレ扱いとなります。

コンクレの説明は別の機会に行うとして、今回は、ボラクレの説明に特化したいと思います。(ご要望があれば、フォームにてお知らせ下さい)

カーボン・クレジット・レポートでは、VCS・GS・ACR・CARの4プログラムが代表的なボランタリークレジットと紹介しています。皆さんにも、馴染みがあるところではないでしょうか。

カーボン・クレジット・レポートの概要 17ページ

間違いではありませんが、発行量とプロジェクト数を見てみると、違った景色が見えてきます。

カリフォルニア大学バークレー校の大学院である「The Goldman School of Public Policy」が公開している「Voluntary Registry Offsets Database 2023」によると、このように、プロジェクト数では、VCSとGSが2強。発行量では、VCS一強とその他と言えなくもありません。

Voluntary Registry Offsets Database 2023(Berkeley Public Policy)より

なお、「The Goldman School of Public Policy」のサイトでは、現在、2020年から2024年3月31日までのデータがアップされており、エクセルデータでダウンロードできます。非常に、お役立ちです(^^ゞ

もちろん、国別に見ると、それぞれの特色が出てきます。

例えば、米国のプロジェクト数で見ると、ACRとCARが2大クレジットで、Verraの存在感は小さい。また、バイオ炭を始めとする、除去系クレジットの、Puro.earthが顔を出しています。

ボラクレ毎のプロジェクト数(米国)

ケニアのプロジェクト数では、GSの一強。世界的に見るとダントツのVerraは後塵を拝しています。

ボラクレ毎のプロジェクト数(ケニア)

インドネシアでは、CDMやJCMなどのコンクレが支配的となってますね。

また、「PLAN VIVO」という見慣れないクレジットがありますが、これは、主に森林保全や持続可能な土地利用プロジェクトを通じて、炭素排出削減および炭素除去を支援するプログラムです。

ボラクレ毎のプロジェクト数(インドネシア)

ということで、クレジットについて、コンクレとボラクレの区別、及びボラクレのプログラム(スキーム)の種類についてご案内しました。

次回は、プロジェクト(方法論)の種類についてご案内していきます。
お楽しみに。

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園田隆克@GHG削減サポーター
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