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CCP完全版リリース
グリーンウォッシュが問題となる中、高品質なクレジットが備えておくべき要件として、ICVCMが2023年3月に公表した「Core Carbon Principles:CCPs」
こちらでも、3回シリーズで、いち早くご案内しました。
しかしながら、この時発表されたのは、「the Program-level criteria」と「the Assessment Procedure」のみでした。
ですので、3月公表分には「要求事項(requirements)」が含まれていなかったため、クレジットがCCPsを満たしているか否かを評価できない状態でした。
それが、2023年7月27日、「the Category-level criteria and requirements」がリリースされ、めでたく「完成版」となった次第です。
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ICVCMは下記2種類のレベルでCCPsの認証を行います。
1.プログラムレベル(Program):CCP-Eligible
2.カテゴリーレベル(Categories of carbon credits):CCP-Approved
簡単に言うと、CCP-Eligibleは、クレジットプログラムを認証するものであり、CCP-Approvedは、方法論を認証するものです。
例えば、Verraが運営主体であるVCS「クレジットプログラム」が認証されれば「CCP-Eligible」となり、そこで選択できる方法論が認証されれば「CCP-Approved」となる訳です。
完成版のリリースを受けて、プログラムオーナーは申請プラットフォームから既に申請できる状態になっています。
CCP適格プログラムとして承認されると、プログラムはCCPを満たしていると承認された特定のカテゴリーのクレジットにCCPラベルを使用できるようになります。
審査は「アセスメント・フレームワーク」に基づいて行われます。
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フレームワークでは、ICVCMが、プログラムレベルの審査を行う一方、社内外の専門家からなるワーキンググループが、カテゴリーレベルの審査を行うようです。
なお、審査は「ブラックボックス」ではなく、対話型のプラットフォームを通じて、コミュニケーションを行いながら進められるとのこと。特許申請では、審査官が出願者と何度もやり取りを行いながら、審査を行いますが、そのようなイメージでしょうか。
気になる審査期間ですが、CORSIA適格クレジットであれば、申請から2ヵ月以内だそうです。というのも、プログラムレベルの要件である「GOVERNANCE」と「EMISSIONS IMPACT」については、そもそも、CORSIA適格プログラムと同等であることが前提となっているからです。
他方、CORSIA適格でない場合は、申請から最長4ヵ月とのこと。余裕を持って申請し、ICVCMからの要求には迅速に対応できるような、体制をとっておきたいですね。
ちなみに、CORSIAの第1フェーズ(2024年〜2026年)で適格とされているクレジットは、American American Carbon Registry (ACR)とArchitecture for REDD+ Transactions (ART)の2つのみ。パイロットフェーズ(2021年〜2023年)では9つでしたが、どのように取り扱われるのでしょうか。
さて、今年の3月にCCPsが公開されて以来、「あまりに厳しすぎる」という声が上がっていることは、皆さんもご承知かと思います。確かに私もそう思います。
ですが、ウォッシュ批判が広まっている現状を鑑みると、逆に、容易に承認されるレベルであれば、批判に耐えられないことも事実でしょう。
ICVCMにもそのような声はもその点を理解しており、既に次期バージョンの開発を明言しています。プログラムオーナーやクレジット市場と対話しながら、継続的改善作業プログラム行うようです。
内容を見ると、野心を高めるものもあれば、簡素化するもの、データ標準を整備するものなどがあり、押し並べて、申請者にメリットのある項目が並んでいます。
ICVCMのウィリアム・マクドネルCOOの言葉も頼もしい。
私たちは、アセスメント・フレームワークを改善、強化、更新し、市場における野心を徐々に高めていくために、広く協議と協力を続けていきます。我々はすでに、重要で技術的に複雑な分野に専門家が集中的に取り組むための作業プログラムを設定し、次期バージョンの計画を立てている。我々は、市場が経験から教訓を学び、革新し、科学技術の進歩を反映することを奨励する。
CCPsにより、カーボン・クレジット市場がどのように変わっていくか。
期待がかかりますね。
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