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SSBJオープンセミナー(4)

3月7日に開催されたSSBJのオープンセミナーで紹介された、「審議の過程で意見が分かれた主な項目」に対する基準案及び代替案の紹介と理由について、ご案内しており、今回が4回目です。

こちらのサイトから、当日の資料はダウンロードできますので、noteと併せて参照ください。

当日説明があったのは、次の「主な9点」です。

ご意見をいただきたい主な項目 3ページ

前回は、1つ目の論点までご紹介しました。

今回は、2つめの論点のから参りましょう。

基準案は、ISSB基準に対し「設定した要件を全て満たす限り」と条件を付して「開示しないことができる」と変更しています。

開示が禁止されている項目などは、法域によって異なることから、日本企業だけが開示してしまうことになることを危惧しているようです。

開示による不利益が便益を上回る可能性があることは承知しているが、「問題が発生した場合検討、必要な場合は改正する」という都度対応では対応が遅れるため、「国家の安全保障を脅かす可能性のある情報」だからこそ、国家を危うくしてしまう、とのこと。

なので、その旨を基準案に盛り込んでおくとの説明がありました。

これに対する代替案は、次の一つのみ。
ISSB基準に変更を加えないという案です。

ご意見をいただきたい主な項目 16ページ


一番の理由は、濫用の防止です。

アルファベットスープ状態だった、サスティナビリティ関連情報開示ルールが、ISSBのような限られたルールに集約されてきた主な理由は、企業における開示負荷の軽減と、企業間による比較可能性の向上でした。

ここで、SSBJが設定する要件を全て満たす場合が「極めて稀な場合」であったとしても、企業によって開示する内容を選択できるとあっては、比較可能性が低下する、担保されないことになってしまうからです。

そうは言っても「国家の安全保障を脅かす可能性のある情報を開示してはまずいのでは?」という疑問がわくかもしれません。

それについては、以下の説明がなされました。

・国家機密に関わるものについては、既に法によって定められている
・当該事情は各国共通と思われるところ、ISSBが改訂されるべき

皆さんは、どちらの立場でしょうか。
もちろん、別の案もあることでしょう。

個人的には、特定秘密保護法は世界と比較して未熟であると認識しており、それをもって「既に法によって定められている」といえるのか、甚だ疑問。

それを、「比較可能性」よりも優位でないとするのはおかしいかなと。
各国が、自国の法律を楯に開示しない一方、日本は、粛々と日本版S1・S2にしたがって開示する状況が起きないとも限らないのではと、危惧します。

ご意見をいただきたい主な項目 17ページ


忌憚のない意見、提案を行いましょう。

なお、今回のSSBJ基準の適用対象は「プライム上場企業又はその一部」を想定したものなので、フィードバックも、それ前提にしなければならないことに注意下さいね。

それでは、次回は、3つ目の論点について説明して参ります。
お楽しみに。


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