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ISO14068−1を深掘りしてみた(1)

ISO14068−1 Carbon neutralityがリリースされたことは、先日報告しました。
皆さん、待ちに待っていたことでしょう。

一番の注目は「Carbon neutrality」の定義だったのではないでしょうか。
ですので、一部を抜粋しながら説明したいと思います。
ちなみに、ISOは著作物ですので、詳細は購入の上、参照ください。

ISOのウェブサイトでは、一部は参照できるようになっています。
その中の、章立てをご紹介しましょう。

Foreword
Introduction
1 Scope
2 Normative references
3 Terms, definitions and abbreviated terms
 3.1 Terms related to carbon neutrality
 3.2 Terms related to greenhouse gases
 3.3 Terms related to offsetting and carbon credits
 3.4 Terms related to the entity seeking carbon neutrality
 3.5 Abbreviated terms
4 Principles
 4.1 General
 4.2 Transparency
 4.3 Conservativeness
 4.4 Hierarchy approach
 4.5 Supporting transition
 4.6 Ambition
 4.7 Urgency
 4.8 Science-based approach
 4.9 Avoiding adverse impacts
 4.10 Accountability
 4.11 Value chain and life cycle approach
5 Approach
 5.1 Framework
 5.2 Carbon neutrality management hierarchy
 5.3 Carbon neutrality pathway
 5.4 Documented information
6 Commitment to carbon neutrality
7 Selection of the subject and its boundary
 7.1 General
 7.2 Documented information
8 Quantification of greenhouse gas (GHG) emissions and GHG removals
 8.1 Quantification
 8.2 Documented information
9 Carbon neutrality management plan
 9.1 Content of carbon neutrality management plan
 9.2 Ambition
 9.3 Evaluation and revision of the carbon neutrality management plan
 9.4 Documented information
10 Greenhouse gas (GHG) emission reductions and GHG removal enhancements
 10.1 Greenhouse gas (GHG) emission reductions
 10.2 Greenhouse gas (GHG) removal enhancements
 10.3 Documented information
11 Offsetting the carbon footprint
 11.1 General
 11.2 Criteria for carbon credits
 11.3 Criteria for carbon crediting programmes
 11.4 Documented information
12 Carbon neutrality report
13 Carbon neutrality claims
Annex A Carbon neutrality pathway
Annex B Additional requirements for specific cases
 B.1 Organizations
 B.2 Products
 B.3 Financial institutions
 B.4 Market-based approaches
Annex C Comparison between International Standards on quantification and GHG Protocol Accounting and Reporting Standards
 C.1 General
 C.2 Comparison between ISO 14064-1:2018 and the GHG Protocol Corporate Standard[17]
 C.3 Comparison between ISO 14067:2018 and the GHG Protocol Product Standard[19]
Annex D Ambition
 D.1 General
 D.2 Examples of high ambition for carbon neutralityBibliography

IS014068-1:2023より

気になるのは、ずばり「3.1 Terms related to carbon neutrality」でしょう。
「3.1.1 carbon neutral」の定義はこのようになっています。

IS014068-1:2023より

排出削減もしくは除去強化により排出量が削減されたのち、ゼロを超えた分を「オフセット」により相殺されることを「カーボンニュートラル」と呼ぶとあります。

ちなみに、「3.1.2 carbon neutrality」は「カーボンニュートラル」である状態のことであるとなっているので、私たちが一般的に用いる文脈では、「カーボンニュートラリティ」と称呼するのが正しいと思います。

さて、「オフセット」は 「3.3.1 offsetting」で、カーボン・クレジットの償却でカーボンフットプリントを相殺することと説明されており、「カーボン・クレジット」は「3.3.2 carbon credit」で、排出削減量又は除去強化量からえられるCO2換算トン数に相当する取引可能な証書となっています。

ですので、3.1.1 本文のみだと、吸収除去系(removal)だけでなく削減回避系(avoidance)のクレジットでもオフセットに使えるように思えます。

しかし、Note 1で、オフセットに使用されるカーボン・クレジットは一定の基準(第11章)を満たすこと、及び、排出削減若しくは除去強化が行われた後にのみオフセットできる、とされています。

このことは、何を意味しているのでしょうか。
そのためには、第11章を見てみる必要がありますね。
「除去強化」という用語や、「行われた後のみ」という言い回しも気になります。

ということで、こちらについては、次回のnoteで掘り下げたいと思います。
お楽しみに。

なお、IPCCは「carbon neutrality」と「GHG neutrality」を区別しています。
気にしていなかったという方もおられるでしょうが、ISO14068−1では、GHG neutralityの定義と同義です。

さらに言うと、「カーボンフットプリント」と「CO2排出量」も違います。
「CO2排出量」は文字通り二酸化炭素(CO2)の排出量。
他方「カーボンフットプリント」は温室効果ガスの排出量。

GWPを掛けて、CO2e(CO2換算のトン数)で表示しますよね。
ですので、気候変動に対する影響評価をしているということになります。

「温室効果ガスとは何を指すのか」も論点だったりはします。
GHGプロトコルは7ガスのみを算定対象とするところ、温室効果を有するガスはそれ以外にも存在していますから。

まぁ、この辺りは普段は気にする必要はありませんが、算定に携わっている人間としては、認識しておきたい点ではあります。

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