削減貢献量について考えて見る(3)
WBCSDが発行した、削減貢献量(Avoided Emissions) の算定・報告に関するガイダンスについて、シリーズでご案内しています。
1回目では、「削減貢献量」という概念について私なりの見解を述べました。
ICVCMは、企業が「削減貢献量」を謳うためには、次の3つのゲートをクリアする必要があるとしており、2回目では、Gate 1とGate 2について説明をしたところです。
「そもそも、削減貢献を謳うには、自社が高い目標を掲げて、削減に努めておきなさい」ということでした。
最後のハードル、Gate3は、削減効果(impact)の程度です。
以下の3つの効果を有していなければならないとしています。
ガイダンスでは、下記のような例は「Eligible solution」としています。
a. ヒートポンプ
b. 再エネ100%電力の充電設備
c. 交通量最適化システム
いずれも、導入/採用することにより排出削減が実現し、その数が増大することにより、世界全体、地球全体での排出削減につながりますね。まさしく、「削減に貢献」していると言えるでしょう。
他方、以下のような例は「Non-elible solution」としています。
a. EV用の従来型シート
b. 平均的な肥料に比べてN2Oの排出量を1%削減した肥料
c. 風力発電設備用の平均的なコンクリート製基礎
なにやら、EVやら排出量削減やら風力発電やら、環境に配慮した製品、キーワードが並んでいますが、そのものが「排出削減」に寄与するものでないことは明らかですね。
シート及びコンクリートは「Direct impact」「Significant impact」を有しませんし、肥料は「Significant impact」を持ちません。
2回目と3回目で、「Eligible claim」を構成するための関門、Gateをご案内してきましたが、クリアしていることを証明するためには、どのようなエビデンスが必要でしょうか。もう一度整理しておきましょう。
Gate 3の「マージナルでない」程度の証明をどうするかは悩ましいところですが、トップランナー基準が参考でしょうか。また、全く新規な技術であれば、評価されやすいかと思われる一方、副作用についても言及する必要があるかもしれません。
ということで、とにかく「Eligible claim」の判断までできたことにして、次回からは、削減貢献量の算定方法に入っていきたいと思います。
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