第三者検証〜はじめの一歩(9)
温室効果ガス排出量算定結果の第三者検証を受審するに当たって、躓きやすいポイントをご案内していく「はじめの一歩」9回目。
8回目では、リスクアプローチ及び戦略分析から、計画書を作成しデスクレビューを行うところまで紹介しました。
9回目は、ようやく、現地検証、オンサイトレビューに入っていきます。
流れはこのようになります。
「オープニングミーティング」では、検証チームの紹介や検証業務の概要説明、スケジュール確認、その他注意事項等の確認を行います。
現地検証は複数箇所で行うことが多いですので、毎回立ち会ってもらう事務局の方にとっては重複しますが、概要説明も都度実施します。
工場内に入ることもありますので、その際、安全上あるいは衛生上の注意もご案内頂き、ルールに従うよう努めます。また、現場担当者にも立ち会ってもらう必要がある場合は、およその時刻をお伝えし、調整してもらいます。
「そうなんですか?」となることも多いので、ご注意下さい。
恐らく、検証機関からその旨の連絡はされているはず。
もしされていなくとも、担当者としては配慮しておきたいところ。
よろしくお願いします
「事業概要説明」では、企業の事業概要の説明及び算定業務の手順、流れを説明してもらいます。
事業概要では国内外にどのような拠点があるのか、算定対象とするか否かを確認します。準拠する規格によっては、個社単位でなくグループ単位という場合もありますので、重点的に伺うことになります。
「ウォークスルー」では、算定体制と算定手順の確認がメイン。
算定体制については、このようなことを想定しながら、説明を聞きます。
初回では、何でもかんでも「事務局」が担当し、現場は受け身で、「言われたままを実施する」というものが多く見受けられますが、それでは、毎回の検証には耐えられないでしょう。
やはり、ISO9001と同じように、システムとして算定業務の継続性を担保しなければなりません。それに気づいてもらうのも、検証の目的の一つです。
算定手順は、手順書にしたがって説明してもらいますが、できれば、フローチャートを作成することをお奨めします。
エビデンスからデータがどのように収集・集計されていくのか、誰が担当するのか、誰がチェックするのか、手書きで書き写すのか、データのまま取り扱うのか、システムで処理するのか、関数・プログラムを利用するのか、データの保管・管理はどのように行われるのか、などなど。
主に、請求書や領収書、測定結果など、事前に提出頂けていなかったエビデンスも提示頂きながら、ひとつひとつ流れを追っていきますが、フローチャートがあれば、確認が非常に容易になります。
担当者としても、抜け漏れがチェックできて有用でしょう。
なお、一連の流れで「記録や文書の閲覧、排出量再計算」も実施していきます。いわゆる「突合作業」で泥臭い作業です。
現場レベルでは、まだまだ紙ベースのところが多いことから、ファイルの山と悪戦苦闘することになりますが、これが検証機関の任務。黙々とひたすら実施します。エクセルファイルも、中身を確認していきます。
誤った理解をされていることも多く、不適切な処理も多く見受けられます。エビデンスの不備も当たり前に発見されます。算定担当者が、算定業務になれているか否かは、このステップに如実に表れます。
様々な「発見事項」が見受けられるステップであり、個人的には、発見した段階で、「CAR」なのか「CL」なのかはお伝えするようにしています。
なお、この指摘事項の種類や意味については、回を改めて説明します。加えて、このステップを効率的にこなすノウハウも、別途ご案内しますね。
デスクレビューからサイトレビューのここまでのステップで、およそ見るべきポイントは絞り込めています。スケジュール通り進めるためにも、担当者と廻る順序を打ち合わせて、いざ現地確認。足を使っていきます。
長くなりましたので、続きは次回ということにいたしましょう。