
飛び恥返上へ〜エアラインの排出削減
国交省とエネ庁が開催している「空のカーボンニュートラルシンポジウム」
3回目が、先月末開催されました。
レジュメはこちらからダウンロード下さい。
動画も視聴できますが、4時間超えのロングラン。
1.5倍速でも聴き取れましたので、ラジオ感覚で聴くのも良いカモです。
なお、1、2回目のレジュメ及びアーカイブもまだ参照できるようです。
前半は、サス担の皆さんにはお馴染み、本郷氏の基調講演に引き続き、SAFの製造、流通、利用に関わる企業の個別プレゼがありました。
簡単にまとめると、こんな感じ。
ほぼレジュメの内容に沿った説明でしたので、詳細については、そちらを参照下さい。
1.基調講演
三井物産戦略研究所 本郷 氏
• 航空業界の脱炭素化とSAFの役割
• 航空業界は成長産業である一方、気候変動対策が喫緊の課題
•「航空機の燃費向上」「運行効率化」「オフセット」「SAF導入」が不可欠
• 導入促進には価格競争力の確保が課題
・マスバランス方式やブック&クレーム方式の活用が鍵
• カーボンプライシングによる価格調整が今後の導入拡大に貢献
2. SAFの製造・供給に関する取り組み
(1) コスモ石油(次世代プロジェクト推進部長 高田 氏)
• 国産SAFの製造
• 23年「サファイアスカイエナジー」設立、24年から本格生産開始
•使用済み食用油を原料とし、国産SAFの供給を推進
• 国内の航空会社やDHLへの供給契約を締結
(2) ENEOS(バイオ燃料部長 宍倉 氏)
• SAFの供給拡大
• 2023年、国内で初めてSAFの輸入販売を開始
• マスバランス方式とブック&クレーム方式を活用し、コスト削減を図る
• 都バイオ燃料活用促進事業採択、修学旅行や観光ツアー向けにSAF利用拡大
(3) 日本グリーン電力開発(グリーンSAF事業部 事業部長 藤井 氏)
• 新たなSAF原料「企画外ココナッツ」の認証取得
• ICAOのCORSIA基準に基づき「規格外ココナッツ」をSAF原料として登録
• インドネシア・フィリピンと連携し、トレーサビリティ確保を重視
• 2030年には世界のSAF供給の1~3%を担う可能性
(4) 日本海事協会(Class NK SCS 設立 PJリーダー 山本 氏)
• SAFの認証スキーム(SCS)の概略説明
• CORSIAに適合したSAFの認証機関として、日本初のSCSを取得
• 国内外のSAF製造・流通の透明性確保と普及を支援
3. SAFの利用促進
成田国際空港(サステナビリティ推進室長 田代 氏)
• 空港の脱炭素化とSAFの活用
• 成田空港のCO₂排出の7割が航空機によるもの。
• SAFを利用したスコープ3(利用者の排出削減)の取り組みを推進
• 航空会社や貨物企業向けSAF環境価値取引プラットフォームを開発
4.SAFの認知拡大に向けた取組
日揮(サステナビリティ協創ユニット プログラムマネージャー 西村 氏)
•サファイアスカイエナジーと共にSAFの普及と認知拡大に注力
• 民間企業や自治体との連携を強化し、SAFの製造と供給を推進
• 環境価値の高いSAFを利用した脱炭素化戦略を展開
• 安定したサプライチェーン構築、生産から供給まで一貫した取り組み実施
個人的には、日本海事協会(ClassNK)が、世界で3番目、欧州以外では初となる、CORSIAのSCS(Sustainability Certification Scheme)となったことがエポックメイキングでした。
CORSIAというのは、ICAOが推進している、エアラインの排出削減を達成する施策ですが、その手段の一つとしてSAFがあります。しかし、どんなSAFでも使えるわけで無く、「CORSIA適格燃料(CEF:CORSIA Eligible Fuel」である必要があります。
適格であるかを判断するための適用規格がSCSとなります。

分かりにくいですが、ICAOが「CORSIAで使っていいよ」という要件をまとめたドキュメントに記載されている要求を満たす規格が「SCS」として承認されるのです。
委任法というイメージでしょうか。
例えば、欧州の「CSRD」という「指令」における開示項目をまとめたものが「ESRS」ですが、「CORSIA」で使用できるSAFが備えるべき要件をまとめたものが「SCS」です。
FIT/FIPにおいて使用可能なバイオマス燃料が満たすべき規格は、複数ありますが、それと同じです。政府が一つ一つ審査できないので、適合する規格を認可していますよね。
何故注目したかというと、やはり、規格が日本語であり、日本語でやり取りができることです。これまでは、ISCCとRSBという欧州の規格でしたので、日本のメーカーがCORSIA適格を目指す場合、ハードルが極めて高かった。
ClassNK がSCSとして認められたことで、日本人の審査員に審査してもらえるし、日本語による研修も予定しているとのこと。

個人的には、審査員になりたいと思っています。
以前、ISCCの審査員になろうと画策したことがありますが、研修が2ステップに分かれており、もちろん全て英語での講義かつディスカッション、試験も英語。ということで、知人にテキストを譲ってもらったところで、あえなく断念したのでした(^^ゞ
ですので、再チャレンジをしようかなと、密かに企んでいたりします。
なお、後半はパネルディスカッションでしたが、まだ視聴できておらず。
別途ご案内できればと思っています。
ということで、思いの丈を述べてしまいましたが、いかがだったでしょうか。日本は島国ですので、航空機の利用は避けては通れません。
「空のカーボンニュートラル」を一緒に応援していきましょう。

いいなと思ったら応援しよう!
