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サス情報の第三者保証、どう変わる?〜ISSA 5000とIESSAに備えよう(2)

前回から、IAASBのISSA5000とIESBAのIESSAについて、ご案内しています。

今回は、サス担としてどのように対処していくべきかについて、ご案内したいと思います。

前回お伝えしたように、留意すべきは次の3点。

1.証拠となるデータの整備は万全に
2.「限定的保証」を確実に
3.スタンダードセッターの動向をウォッチングしよう

1.は、GHG排出量の算定においても、一丁目一番地の原則。
それが、会計の世界でかつ義務化となりますから当然ですよね。

ISSA5000に基づく保証を受ける場合、データの管理体制を強化し、「説明できる」状態を作ることが重要になります。

例えば、GHG排出量の報告では、

• 計算方法の根拠:どの排出係数を使ったのか?
• データの正確性:どこからデータを取得し、どのように管理しているのか?
• 内部統制の仕組み:GHG排出量のデータが適切に記録されているか?

などがより厳密にチェックされるようになります。
なので、次のような対応が考えられますね。

 • データの取得方法や管理ルールを文書化する
• GHG排出量の算定プロセスを明確化し、トレーサビリティを確保する
• データの記録や保存方法を見直し、エビデンスを整備する

2.については「合理的保証」が求められるのでは?という質問も聞かれますが、まずは何よりも「限定的保証」を確実に得られるような体制を整えておくことが肝要。

ISSA5000は「合理的保証」「限定的保証」両方に対応できるとしていますので心配されるのも理解できますが、ご安心下さい。

「限定的」であっても相当ハードルが高いということは、検証を受審したことがある方なら納得されることでしょう。

現時点では、「限定的保証」しか適用できないだろうという点で、金融庁事務局及びWGの委員の方々の意見は一致しているため、当面はこのレベルを想定して準備すれば問題ありません。深刻に構えすぎず、まずはデータの整理や報告プロセスの整備を進めましょう。

なお、この論点については、前回もご案内した、JICPA主催のセミナーでも議論されましたので、ご参考になさって下さい。

3.については、敢えて言うまでもありませんよね。

ISSBがIFRS S1・S2を策定し、各国の規制当局がそれに基づいた基準を整備することで、サステナビリティ情報の開示方法は標準化される方向に進んでいます。

日本ではSSBJ(サステナビリティ基準委員会)がIFRS S1・S2をベースに日本版S1・S2を策定、金融庁が有報での報告の開示項目となるため、注目が集まっていますよね。

来月末までには、確定基準の公開が決定しています。
既に、SSBJからは予告のリリースもされています。

これら一連の情報は、こちらのサイトにまとまっています。

前回もお伝えしたように、金融庁では「有価証券報告書におけるサステナビリティ情報開示の義務化」について議論が進められており、企業はこれらの動向を注視する必要があります。

なお、サスティナビリティ保証業務の担い手の登録要件や義務責任、保証基準や倫理規程、検査・監督のあり方など、保証業務実施に関わる詳細事項は、「サステナビリティ情報の保証に関する専門グループ」にて議論することとなっています。

スタンダードセッターは、国内ではSSBJと金融庁の2つをウォッチしていればOK。

海外では、ISSBについては、改訂内容が程なくSSBJに織り込まれるので横目で見る程度で十分なのに対し、欧州委員会については、開示負荷を25%削減することを企図したオムニバス・パッケージの公開が予定されているなど、朝令暮改的要素が大きいので、要注意です。

まとめ:今後の動向を注視し、必要な対応を進めよう

ISSA 5000とIESSAの導入により、サステナビリティ情報の保証業務が国際基準に基づいて実施されるようになります。

サス担としては、データの管理体制を整えるとともに、開示基準の最新動向を注視しながら、適切な対応を進めることが求められます。

ということで「 今後特に注視すべきポイント」として、次の3点があげられるでしょうか。

・25年3月末までに公表予定のSSBJの日本版S1・S2の確定基準
・ 金融庁による有価証券報告書でのサステナビリティ情報開示義務化の議論
・欧州のCSRD(企業持続可能性報告指令)による開示義務動向

とは言え、皆さんが張り付いている必要はありません。
代わりに、継続的にウォッチングし、noteで発信していきます。
その際に、併せて、どのように対処すべきかについてもご案内する予定。
「情報を提供するだけ」のコンサルになるつもりは毛頭ありません(^_^)b

サステナビリティ情報開示は、企業の信頼性を左右する重要な要素です。
臨機応変に対応できる体制を保ち、準備を進めていきましょう。

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園田隆克@GHG削減サポーター
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