クレジット予見可能性 使える?使えない?
前回、吸収系のクレジットの需要が増えるのでは?という話をしました。
これは主に、生み出す側にたった話です。
削減系と比較すると、環境や地域経済への貢献度合いが高く、創出されるクレジット量も多いものの、吸収系は費用的にも技術的にも難しいことから、中々実施しようとする自治体、事業者が増えない現状に対するソリューションを、国が本気に考えています、ということを伝えています。
今回は、利用側視点で考えて見ます。
これまで私は、以下の3点を指摘してきました。
1.どんな商品があるか分からない
→どの森で生み出されたクレジットがあるのか分かりにくい
2.いくらで買えるのか分からない
→相対取引が原則のため、買うときに初めて分かる
3.大量に購入しなければならない
→1トン単位のため、初期導入のハードルが高い
ただ、いずれも一応、現状で何とかできます。
1.はサイトで検索可能です。
2.は、事業者あるいはプロバイダーへ問い合わせれば分かります。
3.は、EVIというサイトに預託されているクレジットであれば、1トン以下、あるいは、10,000円分、といった金額指定でも購入できます。
ただ、サイト上で商品を検索し、口コミの評価を参考し、比較サイトで最安値のサイトから、1クリックで購入することに慣れた消費者に届きますか?
もちろん、このような、環境に配慮した購買行動を取ろうとしているグリーンコンシューマーは違うかもしれませんが、それでは拡がりません。
ということで、1〜3のソリューションは是非とも進めてもらいたいです。
今回敢えてもう1つの課題を指摘したいと思います。
それは、「予見可能性」です。
果たして購入したクレジットが使えるのか?
明日になったら使えなくなるかもしれない商品を買いますか?
明日になったら紙くずとなるような株式を買いますか?
明日になったら違法となる商売をしますか?
今「クレジットを買いたい」という事業者は、2050年のカーボンゼロを達成するために購入を検討している場合が、かなり多いのではないでしょうか。
SBTiは、2050年目標設定にあたり公開している「Net-Zero Standard」でも、最終的にどうしても減らせない量が10%残ると認識しており、中和クレジットでゼロにするスキームを検討しています。
この「中和クレジット」として何が使えるかは、まだ明確ではありません。
国内では、政府はクレジットを、「排出回避・削減系」と「炭素吸収・除去系」に分けて整理し、「吸収・除去系」を重視するのが国際的趨勢であると認識しています。
「回避・削減系」も移行期には重要としながらも、同様の扱いで認めていくことにすると、またしても、ガラパゴスになるので、国としても扱いには慎重になると思います。
つまり、複数の種類が存在するカーボン・クレジットは、「予見可能性」という点において、グレーな部分が存在するのです。これが、明確にならないと、安心して購入にはいたらないでしょう。
ただ、逆に言うと、そのような時流のまっただ中に存在しているのです。
自分たちが大いに関与して、新しい波を起こしていける、そのようなチャンスであるかもしれません。
国内外でのわかりにくい議論、極力タイムリーにお届けしたいと思います。
是非フォローの程、よろしくお願いします。
もしよろしければ、是非ともサポートをお願いします! 頂いたサポートは、継続的に皆さんに情報をお届けする活動費に使わせて頂きます。