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リアルな地元を応援したい!

2021年11月より非化石価値取引市場の改革が行われ、次の2つの市場に分割されたことは、ご存知の方も多いでしょう。

第84回制度検討作業部会資料より

再エネ価値取引市場は、FIT証書を取り扱牛場で、購入した証書分だけ、自社の排出量から控除することができます。環境省が発表する「電気事業者別排出係数」の「調整後排出係数」を算定する目的で使用されるので、元来需要が高い市場です。

改革前は、電気事業者しか購入できていなかったところ、「再エネ価値取引市場」では、需要家や仲介事業者も入札に参加して購入できるようになったため、飛躍的に約定量が増加しました。

第62回制度検討作業部会資料より

他方、高度化法義務達成市場が扱うのは、非FIT証書だけです。

こちらは、小売電気事業者がエネルギー供給高度化法の義務達成にのみ活用できるのみなので、買い手は小売電気事業者のみ。高度化法は「30年度の非化石電源比率44%以上」という目標の達成に向け小売電気事業が達成すべき中間目標を定めているので、未達となりそうな場合に活用されるもの。

ですので、一般の需要家は「そんな市場もあるんだ」くらいで十分です。

さて、前置きはこれくらいにして、この「FIT証書」を直接購入して、自社のスコープ2排出量を削減したいという事業者から、次のような質問を受けました。

「地元のFIT証書を指定して入札できませんか?」

確かに需要家として入札に参加することは可能になりましたが、JEPXの「非化石価値取引会員」になる必要があります。テクニカルな問題もあるので、まずは、仲介事業者に依頼することをご案内しつつ、「新電力の再エネメニューではダメですか」と尋ねてみました。

すると、「必ずしも地元ではないんですよねぇ」

確かに、地元の電力を活用して、地域で資金が循環する仕組みを構築しようとする地域新電力など多く存在しますが、必ずしも同じ自治体ではないかもですね。

ということで、改めて説明資料を確認してみました。
結論からすると、事前に発電事業者と合意を取った上で「設備特定申請」で申請すれば可能のようです。

まず、地元に入札に参加している発電事業者がいることが大前提。その上で、その事業者に直接コンタクトを取って「買入札しますからお願いします」と許諾を得ておいて下さいね、ということ。(JEPXは仲介してくれません)

詳しく説明すると、トラッキングされる属性情報には、次の9つがあります。

非化石証書のトラッキングに関する事業者向け説明資料(需要家対象)Ver.1.0(JEPX)より

それで、入札する際には、どの属性情報が必要なのかを判断して申請することになりますが、その方法として「通常割当申請」と「設備特定申請」とがあります。

トラッキングを必要とする入札参加者(買い手)は、RE100目的であることはJEPXも十分認識しており、「属性情報の際によりRE100へ報告不可となるようなことはございません」と先回りしています。

加えて、「その為、特定の設備の属性を割り当てる必要がない場合は通常割当申請を実施下さい」と釘を刺した上で、「15年以内の設備を対象とするかどうか」も「通常割当申請」でOKいう、念の入れよう。

誰もが「設備特定申請」されたら、作業が煩雑になるだけでなく、約定しなくなる可能性も高まるのでなおさらでしょう。

ですが、今回質問をされた事業者は、「特定の設備の属性を割り当てる必要」がある訳です。なので、「設備特定申請」を選択する必要があります。

しかしながら、前述したように、そもそも、地元に入札に参加している発電事業者がいなければ、話は進みません。このような事情、背景をご説明しつつ、「頑張って下さいね」と背中を押したのでした。

ところで、今のところは追加コストはありませんが、今後、付加する属性情報によって変化するコスト体系となる予定だそうです。

詳しくは、こちらのポータルサイトを参照ください。

ルールが目まぐるしく変わるビジネスなので、常に新しい情報を取り入れておくことをお奨めします。もちろん、noteでもご案内していきますよ〜

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園田隆克@GHG削減サポーター
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