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非化石価値取引結果 24年度第2回
24年度2回目となる非化石価値取引市場の取引結果が、11月29日までに全て出揃いました。(約定日は、非FIT(再エネ指定無し)、非FIT(再エネ指定)、FITがそれぞれ、27日、28日、29日)
取引結果が公表される度にご案内しています。
前回の結果は、こちらを参照下さい。
まずは、約定総量から見ていきましょう。
FIT証書は、過去最多だった前回と比較し19.0%減と減りはしたものの、相変わらずの活況ぶり。
他方、非FIT証書は、前回は全量トラッキング付になったことを受け、「再エネ指定」が23年度比2.8倍と飛躍していましたが、今回は32.7%減。とは言え、想定よりは落ち込みは少なかったとの声があるみたいです。
非FIT「再エネ指定なし」は24年度初回比48.6%減で、こちらは相変わらず需要無し。主に原子力であり、「高度化法義務達成市場」そのまんまの用途しかありませんからね。
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ご存知のように、非化石証書を購入できるのは、これまで電気事業者のみだったところ、21年度第2回目から、需要家や仲介者も購入できるようになりました。
第三者検証を行っていても、証書購入により間接排出を削減している事業者が多くなってきたという実感があります。小売電気事業者の再エネメニューに加え、自社で直接購入するオプションも普及段階に入った感じですかね。
ところで、温対法の報告において、自社のスコープ2排出量から控除するために購入されると思いますが、使用できる非化石証書及び量はご存知でしょうか。
前回もご案内しましたが、再掲しておきましょう。
使用できる非化石証書の量は、報告年度6月の口座凍結時に非化石証書保有口座に所有する証書の量又は仲介事業者が発行する報告対象分の購入証書量の証明書に記載の量のうち、調整後温室効果ガス排出量の調整に使用する量です。
簡単に言うと、24年度の報告、つまり、25年7月に報告する際に使用したいのであれば、24年度第1回〜24年度第4回の入札で調達した非化石証書の内、25年6月30日現在の口座残高分、となります。
JEPXから下図のような残高証明書が発行されますが、これに記載されている「権利確定済残高」分を、自社のスコープ2排出量から控除できます。
「証書有効期限」が「20238/06/30」となっているのが見えるかと思いますが、これが「報告年度6月の口座凍結時」ということを意味しています。
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なお、購入した非化石証書量(kWh)から、控除できるCO₂量(t-CO₂e)を算定する方法など、その他詳しいことについては、こちらのnoteを参照下さい。
落札率(約定量/売入札量)を見てみると、非FITはいずれも前回と比較して急伸していますが、売入札量が落ち込んでいるので、単に売がり少なかっただけですね。FITの方は落ち込んでいるものの、売入札量が増えているので、逆に売が多かっただけと言えます。
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売入札量は、第1回から最終回の第4回にかけて徐々に増えていく傾向があるので、イレギュラーではありません。単純な季節要因ですね。
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落札率(約定量/買入札量)を見ると、いつも通り100%。
FIT、非FIT関係なく、傾向に変化はありません。
買いたい人は、皆さん、希望数量調達できているということ。
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別途相対で手当しようとしてできなかったとしても、入札では必ず調達できます。「Last Resort」「バックストップ」としての機能を果たしていると言えますね。(ですが、年に4回ですから、計画的に!)
ちなみに、買入札総量はこちら。
スケールを見るだけで、売入札総量の多さが一目瞭然です。
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さて、続いて、FIT証書の約定最高価格と最低価格です。
23年第1回以降、最低価格は0.4円/kWhと変わらず。
最高価格は、前々回1.0円/kWhと若干上昇したものの、前回及び今回はいずれも0.6円/kWhと値を戻しています。
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約定平均価格については、FIT、非FITいずれも、それぞれ最低価格の0.4円、0.6円に張り付いています。(FIT証書は0.41円/kWhですが)この傾向は、前回と変わらずです。
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最後に、入札会員数及び約定会員数はこちら。
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前回、JEPX年会費が2024年度から、従来の12万円から60万円へと、大幅にに引き上げられることをお伝えしました。
この影響が出るかと思っていましたが、FIT及び非FIT(再エネ指定)でいずれも2人減ったのみで、皆無と言ってよいでしょう。
ということで、定期報告お届けしましたが、いかがだったでしょうか。
現在、26年度から開始されるGX-ETSにおける排出量取引制度の検討が進んでいます。目標未達の場合は、超過排出枠やJ-クレジット、JCM等を調達する必要がでてきます。
GX-ETSは、直接排出のみが対象ですので、非化石証書の需要は生みません。(もちろん、バリューチェーン全体の排出削減は、SBTiやCDP、CSRD、S2等のグローバルなサスティナビリティ情報開示の中核ですので、需要がなくなることはないでしょう)
ただ、GX-ETSの対象事業者にとっては「義務」となり、罰金というペナルティーが発生しますので、優先順位は遙かに上位。
こちらの影響がどのように現れてくるか、グローバルとドメスティック、両方の視点でウォッチしておきたいと思います。
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![園田隆克@GHG削減サポーター](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68962323/profile_1d66a4f6c06e6873abd9309a5d3f4220.png?width=600&crop=1:1,smart)