マネジメントシステム規格「気候変動への追補版」発行
サス担の方の中には、ISO14001(JIS Q 14001:環境マネジメントシステム )の事務局をされている方も多いのではないのでしょうか。
ISO9001(品質)やISO27001(情報セキュリティ)、ISO45001(労働安全衛生)、ISO22000(食品安全)など、他のマネジメントシステム規格(MSS)も担当されている方もいらっしゃるかも。
これら一連の既存及び新規のMSSに影響を及ぼす追補版(Amendments)が、ISOより2024年2月23日に、一斉に発行されました。
日本規格協会の「IAF/ISO共同コミュニケ和訳」によると、「MSの意図した結果を達成する能力に対する気候変動の影響を考慮する必要性に対処するため」だそうです。
具体的には、「4.組織の状況」に、2つの新しいテキストが追加されます。
ポイントとしては、「4.1 組織及びその状況の理解」は「shall(しなければならない)」である一方、「4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解」は「NOTE」である点が挙げられます。
ですので、「気候変動が組織の課題に関連するかどうか」を検討することは「義務」ですが、利害関係者については「可能性があるよね」と「take note」する程度でOKということです。
「義務」と言っても、気候変動への対応が何らかの形で盛り込まれていれば、見直す必要はありません。14001のMS構築では、環境側面として「気候変動」は採り挙げているはずですから、まず問題はないでしょう。
ただ、規格が変わりますので、審査機関側は認証プロセスへ反映させます。それを受けて、認証審査も変わってきますので、注意が必要です。「ほぼ全てのMSS」が対象となっていますから。
共同コミュニケはこのように、「そもそも、気候変動への配慮については規格に取り込んでいる」と言っていますが、14001以外のMSでは必ずしもそうだとは言えないと思うので、自社のMSを見直し、必要であれば改訂などが必要になってきますね。
気になるのが、「追補版への対応がいつから必要か」でしょう。
これについては「早急な対応が必要」としか言えず、具体的には、審査を受けている認証機関に確認が必要です。
追補版への対応については、そのためだけの審査が行われることは無く、次回審査において確認されます。また、JABは審査機関に対し、追補版を含む認証審査の結果として、改訂された証明書を発行する必要はなく、追補版を適用した規格として明記すればよいとしています。
次回審査までに間に合わなかった場合も気になりますよね。
これについても、判断は認証機関に委ねられています。
追補版の発行及び組織として必要な対応について周知が図られるはずなので、その際に、自社として実施すべき項目を確認するのがよいでしょう。
なお、繰り返しになりますが、「ほぼ全てのMSS」が対象となりますので、規格によって「どのように気候変動が組織の課題に関連するか」は変わってきます。不明な点は、認証機関との打合せの中で解消しましょう。
その他、次のサイトが参考になるかと思います。
⽇本規格協会
附属書 SL Appendix 2 - MSS 作成者への⼿引(2024 年 1 ⽉更新)
⽇本適合性認定協会
マネジメントシステム規格に気候変動に関する配慮を追補
マネジメントシステム規格 気候変動の追補版の対応について
ということで、文章ばかりで恐縮ですが、4月23日に発行された、MS規格 気候変動の追補版についての情報をお届けしました。
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