
算定アプリケーションを活用しよう
CDPに回答された担当者の皆様、お疲れ様でした。
公表はまだですが、自社の結果は送付されてきていることでしょう。
採点結果通りだったでしょうか、それとも?
全般的な講評は、例年実施されるウェビナーを待つとして、来年度へ向けて、準備を始めていきたいですね。
さて、その算定に当たっては、アプリケーションをSaaSで提供する企業が多数サービス展開していますが、皆さんはご利用なさっていますでしょうか。
エクセルを使用して、属人的に算定しているところも多いかと思いますが、1回ポッキリではなく、今後継続していかなければならないことを考慮すると、そろそろ、検討されてもよいかと思います。
ということで、どのような利点があるかを考えてみましょう。
算定ルールとしては、GHGプロトコルがデファクトではありますが、ここでは、JIS(ISO)の内容を拝借して説明したいと思います。
算定及び報告のルールを定めたJISは「JIS Q 14064-1:2023(ISO 14064-1:2018)」であり、GHG関連情報が,真実かつ公正な報告であることを確実にするための原則が示されています。
算定及び報告の原則
1.適切性
意図した利用者のニーズに適したGHGの排出源,GHGの吸収源,GHG 貯蔵庫,データ及び方法を選択する。
2.完全性
全ての関連する GHGの排出量及び吸収量を含める。
3.一貫性
GHG関連情報について,有意義な比較を可能にする。
4.精確さ
実行可能な限り,バイアス及び不確かさを減らす。
5.透明性
意図した利用者が合理的な確信をもって判断を下せるように,十分かつ適切なGHG関連情報を開示する。
算定に特化したアプリケーションを使用するメリットは、この原則を満足できる点にあると思います。
これに加え、担当者の負担を減らすメリットもありますよね。
・初期導入の容易さ
・法規制や報告基準への対応
・作業負担の軽減
・サポート体制
・迅速な結果取得と見える化
ですが、グローバル企業のように、システムを含めた算定体制が構築され、力量を有した担当者が存在する場合には、不要かもしれません。
「トヨタ生産方式(TPS)をベースに独自の品質管理体制を構築・運用しており、品質保証活動を徹底している」として、トヨタ自動車が、全社としてISO 9001(品質マネジメントシステム:QMS)の認証は取得していないようなものかなと(^^ゞ
とはいえ、そのような企業は、義務化はされていないものの、自主的に第三者検証を受審している場合が多いのではないでしょうか。取引先car検証を受審するよう要請を受けている企業もあるでしょう。
検証及び妥当性確認の仕様及び手引は「JIS Q 14064-3:2023(ISO 14064-3:2019)」です。
算定ルールと同様に、次のような原則が示されています。
検証及び妥当性確認の原則
1.公平性
客観的で,かつ,先入観が入らないよう,検証及び/又は妥当性確認の業務を設計し実施する。
2.証拠に基づくアプローチ
検証及び/又は妥当性確認の業務が,信頼性及び再現性のある検証及び/又は妥当性確認の結論に到達するための合理的な方法を用い,十分かつ適切な証拠に基づいていることを確実にする。
3.公正な報告
検証又は妥当性確認の活動,指摘事項,結論及び意見をありのままに,かつ,公正に反映することを確実にする。検証又は妥当性確認に遭遇した有意な障害,及び検証を行う者又は妥当性確認を行う者,責任当事者と依頼者との間で解決に至らない意見の食い違いについても報告する。
4.文書化
検証及び/又は妥当性確認を文書に記載し,それが,結論及び基準への適合の根拠となることを確実にする。
5.保守性
同等な選択肢を評価する際は,慎重に極端にならないものを選択する。
第三者検証の受審において算定アプリケーションを使用するメリットは、これらの原則のうち、1〜4を満足できる点にあるのではないでしょうか。
データ管理や算定プロセスがセキュアであることが確実になりますし、フローが確立されているので公平性が担保されます。
「5.保守性」とは、完全性及び精確さの側面では類似している複数の選択肢から選択をする際に使われる原則ですが、サポート部門が排出量が多くなるようなデータを用いるようガイダンスすれば良い話。
支援を受けている間に、自社の担当者の力量を向上させておきましょう。
加えて、2023年版から、固有リスク、統制リスク、発見リスクを考慮した「証拠収集活動」を設計することが明記されました。
手法は次の3つ
1.分析テスト
2.統制テスト
3.推計テスト
算定報告書など一連のデータを提出した後、その内容を元に検証チームは「リスク評価」等のデスクレビューを行います。
「完璧」な報告書を作成していれば、リスクが小さいとして、比較的甘い検証計画が立てられる一方、不完全だったり曖昧な点が多い場合には、厳しめの計画が立てられます。
その内容にしたがって「証拠収集活動」が設計されますが、虚偽報告を防ぐため、内容は明らかにされません。これらのテストを実施するために、追加の資料提出依頼の可能性がありますが、アプリケーションを活用していれば、適切なデータを迅速に提出できるかもしれません。
対応が良ければ、現地検証も、比較的易しいものになるかもですね。
以上、算定アプリケーションの「メリット」をお伝えしてきましたが、もちろん「デメリット」もあります。
まずは、コストがかかることでしょう。
これは、自社の目的と照らして判断してもらうしかないですね。
個人的には「データの汎用性の懸念」があるかと思います。
せっかく入力したデータも、別の企業のアプリケーションへ移行できなければ、乗り換え障壁となります。
この点については、一部企業間では共通化されているので、調査されてみて下さい。業界によっては、独自に整備を進めている場合もありますので、自社セクターについて検討されることをお奨めします。
ということで、算定アプリケーションの「メリット」を中心にお届けしてきましたが、いかがだったでしょうか。
これからも、「算定はこれから」という企業の皆さんもサポートしていきますので、フォロー&スキ、よろしくお願いします。

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