ISSBとESRS 奥の細道~Financed emissions
9月23日と24日に、World Standard-setters Conference 2024(世界基準設定者会議)が開催されました。
この会議は、IFRS財団の活動に関する最新情報を提供し、参加者間での意見交換やネットワーキングを促進することを目的に、各国の会計基準設定者を対象に開催される年次会議です。
IFRSは、本来会計基準に関するルールセッターなので、それに関するテーマが大部分を占めるところ、サスティナビリティ情報についての開示ルールも策定しているだけに、見逃すことができません。
今年の会議で注目したのは、次の4つのセッション。
1.については、既にお届けしました。
今回は、2.のレジュメを見ていて「?」と思った点について、自分なりに調べてみましたので、簡単にご紹介したいと思います。
それは、「2.Breakout session 5—Adoption or other use of ISSB Standards」の、こちらのレジュメ。
ESRSとIFRS S2の相違を表したベン図ですが、S2にあってESRSの無いものとして「Additional requirements」があり、具体例として、「Financed emissions」が挙げられています。
「ESRSにもFinanced emissionsはあったはず」と思い、「Additionalって何だろう」と疑問に思った次第です。
先のnoteでご案内したように、ISSBは、このようなワークプランを掲げ、優先順位を持って推進していくことを明らかにしています。
「Interoperability」は「Core activities」に位置づけられていますので、極力相違点を解消しようとしているはずなので、それでも「敢えて?」残っているのは気になります。
前置きはこれくらいにして、原本に当たってみましょう。
ESRS1のAR46に規定がありますが、GHGプロトコルを考慮し、スコープ3排出量を大雑把に見積もり(スクリーニングと言います)、マテリアルなカテゴリーにおける排出量を算定、開示する。報告企業が金融機関の場合はPCAFを考慮するとだけあります。
GHGプロトコルは、カテゴリー15については、PCAFに委任していますので、結局、GHGプロトコルに準拠するということですね。
他方、S2の29(a)(ⅵ)(2)には、企業の活動が資産運用、商業銀行又は保険を含む場合、Financed emissionsに関する追加的な情報を開示するとあります。
具体的な内容については、同じくS2のB58〜B63に規定されています。
なので、この「追加的な情報(Additional requirements)」の部分がESRSにないということだったのですね。
ちなみに、IFRSの基準やガイダンス、教育用の資料は、こちらの「Knowledge Hub」にまとまっています。活動を停止した、TPTの資料もこちらに移管されています。
ということで、「些細な疑問を徹底的に考えるシリーズ?!」
いかがだったでしょうか。
これからも、皆さんのちょっとした疑問質問にも、お応えしていきたいと思います。是非、フォームよりお寄せください。
よろしくお願いします。