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IFRS S1 S2 2023年Q2末にリリースへ

22年3月31日にドラフトが公開され、22年7月29日までパブコメ実施していた、ISSBの【IFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」(S1基準案)】及び【IFRS S2号「気候関連開示」(S2基準案)】

当初は、22年の年末までにファイナライズされ、23年早々に公開予定だったところ、多数のフィードバックが寄せられたことから、後ろ倒しされておりました。

6月頃かと言われていましたが、「第2四半期末」で決定となったようです。

国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、2023年2月16日にモントリオールで開催された会合で、昨年の広範な協議で得られたフィードバックに基づき、初期基準のすべての技術的内容について最終決定を下しました。規格の内容が完全に合意されたことにより、ISSBは、2023年第2四半期末に予定されている規格発行に先立ち、規格の徹底的な起草と正式な「投票」プロセスに入ることを全会一致で承認しました。

2023年2月17日 IFRSプレスリリース

ここにおける「投票」とは、プロジェクト文書が正確に記述されており、理事会の決定を正確に反映していることを確認するための起案、レビュー、承認プロセスのこと。まぁ、理事一人一人における「推敲」作業ですね。

なので、「投票プロセスに入ることを全会一致で承認」したということは、ファイナライズ、最終決定されたと言うこと。議会で言うところの「採択」と同じで「儀式」だと思っています。

さて、プレスリリースにはいくつかの決定事項が記載されていました。

・S1及びS2は2024年1月から適用される
・キャパビルを実施する
・S1に特定の基準が無い場合、ESRSを参照する
・2023年第2四半期からS2以外の規格策定に着手する

2023年2月17日 IFRSプレスリリース

この中で着目すべきは、「S1に記載が無い場合はESRSを準用する」ことを明確にしたことだと思います。

これまで、「S2に記載が無い場合はSASBを準用する」ことは明らかにされていましたが、こちらは出自を辿れば当然でした。

そもそも、ISSBの産業別開示要求はSASBが母体となっており、かつ、SASBのメンバーがごっそりISSBに移籍してきていたのですし。

しかしながら、ESRSでは話が別です。CSRDという「法的開示」とISSBという「自主的開示」が同居するようなものでしょうか。

ESRSは欧州のEFRAGが定めるCSRDが要求する開示項目の詳細を定める基準書なのですから。

ESRS:European Sustainability Reporting Standards
欧州サスティナビリティ報告基準

EFRAG:European Financial Reporting Advisory Group
欧州財務報告諮問グループ

CSRD:Corporate Sustainability Reporting Directive
企業サステナビリティ報告指令

とはいえ、個人的には驚きに当たらず。
以前、noteでご案内していたように、歩み寄りはありました。

ルールが一本化される。嬉しいじゃないですか。

ISSBは、昨年12月、欧州委員会、 EFRAGとともに、両者の基準の相互運用性を最大化し、主要な気候変動開示について整合性を図るという共通の目標に向かって取り組んでいることを発表している。ISSB基準の内容に関する実質的な決定が終了しているため、この共同作業は、基準内の詳細な用語に焦点を当て、両基準の最終化とともに完了する予定である。

2023年2月17日 IFRSプレスリリース

また、S2 気候関連開示に加え、将来の規格設定の優先順位が検討されています。S3、S4となるかは不明ですが、サステナビリティに関するその他の開示基準も、2023年第2四半期から加速します。

こちらについても、順次ご案内していきたいと思います。

さぁ、ルールは決定しました。
24年1月から適用されます。
様子見は終わりです。
速やかに着手したいですね。


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