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CSRD発効秒読み段階〜浸透図る準備着々

来年24年1月1日、CSRDが発効します。
これについては、昨年22年11月に決定しており、ご案内はしていたところ。

その開示ルールであるESRSについては、欧州委員会の要請を受けたEFRAGがドラフトを作成、速やかに、教育用の動画も公開しました。

この動画は、ショートバージョンとロングバージョンの2種類を用意するなど、EFRAGの並々ならぬ意欲を感じるものでした。

ところが、欧州委員会の審議の結果出てきた最終案は、ドラフトから大幅な修正を受けたものでした。修正点は、次の7点。

1.重要性
2.段階的導入
3.一部の開示を任意とする
4.その他の的を絞った修正
5.EUの法的枠組みとの一貫性
6.グローバルスタンダードとの相互運用性
7.編集と表示方法

FISMAプレゼ資料より

「3.一部の開示を任意とする」は、「自社にとって重要と判断したもののみを開示すれば良い」という意味で、その対象がEFRAG案から拡大していたことが、機関投資家や環境NGOでも叩かれたところでした。

詳しくは、こちらのnoteを参照ください。

このようなゴタゴタはさておき、欧州委員会はCSRDの速やかな導入を図るべく、様々な施策を推進しています。

1つ目は、3つの導入ガイダンス(Implementation Guidance)
現在ドラフトのVer.3がコンサルテーションにかけられています。2024/2/2まで。

1.EFRAG IG1:the requirements on the materiality assessment in ESRS
2.EFRAG IG2:the value chain aspects in ESRS
3.EFRAG IG3:the detailed ESRS datapoints

1.は、Materialityをどのように判断するかという、極めて重要なプロセスに対するガイダンス。「Material」と判断すれば、開示しなければならない(should)のですから。

2.はValue Chainのバウンダリーを決定するためのガイダンス。
排出量算定の第一歩は「バウンダリーの決定」ですから、こちらも超重要。

CSRDは前身のNFRDと異なり、法的拘束力を有します。
したがって、ルールが曖昧であることは許されません。
ですので、このようなガイダンスの策定はマストであったと言えるでしょうね。

3.はそれぞれのESRSに含まれている、詳細な要求事項のリスト。マニュアル付。
エクセル形式で提供されますので、フィルタリングが容易です。

規範性のないガイダンス(non-authoritative and support implementation)とされていますが、したがうことが前提でしょう。

なお、作成段階で採り挙げていますので、参考になさって下さい。

ちなみに、このガイダンスについてのウェビナーを、Accountancy Europeと共催したようです。CBAMもそうですが、施策の導入に当たっては、EUは本当に手厚いサポートをするイメージです。

2つ目は、SMEs向けのESRSの策定。

NFRDでは、従業員500名以上のEU規制市場に上場している大企業及び銀行の11,700社が対象だったところ、CSRDでは上場している中小企業(SMEs)を含む50,000社へ大幅に拡大されます。

大企業と同じようなルールでは、中小企業は対応できません。
なので、SMEs向けを別途作成するのは、当然ではありますが。

加えて、非上場のSMEs向けも策定中。
欧州委員会としては、開示は当たり前の流れとしていきたいのでしょう。

現在、フィールドテストの参加事業者を募ってます。
申込期限は24年1月31日。

なお、繰り返しご案内しているように、ダブルスタンダード、ダブルディスクロージャーとならぬよう、他の開示ルールとの「Interpoerability」もう推進中ですので、欧州委員会としては、言い訳をさせない作戦を実施中とも言えるカモですね。

ということで、来年の発行を目前に控え、浸透を図る準備を着々と進めている欧州委員会の現状をお届けしました。


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園田隆克@GHG削減サポーター
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