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改正省エネ法・温対法の小径(5)

23年4月、改正省エネ法及び温対法が施行となります。
そこで、改正に至るまでのバックグラウンド及び概要をシリーズでお届けしています。

1回目は「エネルギーの定義の見直し」について説明しました。
2・3回目は「エネルギー使用量の報告」について。
4回目は、エネルギーの算定方法における「補正係数」についてでした。
5回目は、エネルギーの算定方法における「重み付け係数」についてです。

現行省エネ法は、需要家が自ら省エネを推進することを原則としていることを踏まえ、改正省エネ法における非化石エネルギーへの転換の枠組においても、自家発再エネ設備の設置等の需要家自らが非化石電源投資をする取り組みを評価すべき、というわけで考案されたのが「重み付け係数」です。

加えて、オンサイト及びオフサイトPPA、再エネ電気メニュー、さらに非化石証書等の購入なども、非化石エネルギーを利用する取り組みでしょ、ということで同様に評価するとのこと。

という経緯があって、第1回WGにおいて、自家発非化石電気と再エネ証書等の発電コストの差や、送配電ロスの差、自家発非化石電気への投資を促進する政策的な観点等を総合的に踏まえて、1.2~1.5程度の重み付けを検討することとされていました。

第1回 工場等判断基準WG 資料より

果たして結果は?→「1.2」ということで決着しそうです。
でも、再エネ100%メニューや非化石証書購入のような「実質再エネ」は除外されたみたいですね。まぁ、これらのメニューを選択する企業は、省エネ法目的ではないでしょうから、実害は無いのでは?

第3回 工場等判断基準WG 資料より

ただ、RE100を目指す企業からは、海外と比較して日本は再エネ電力調達手段が限られることを指摘する声が多く挙がっているのが現実。このように、省エネ法において非化石電気への投資を促すのであれば、それを担保する法整備も急ピッチで整える必要があるでしょう。

さて、改正省エネ法に基づいた算定方法における「補正係数」を紹介してきましたが、分かりにくいですよね。ということで、経産省が考え方についてこのようなまとめをしています。

第3回 工場等判断基準WG 資料より

ですが、実はもう1つ「係数」があるのです。火力重み付け係数(a”)です。
「電気の需要の最適化に関する措置」として導入される

第1回 工場等判断基準WG 資料より

第1回WGで、1.3を軸に検討とされていましたが、こちらについては、まだ決着を見ていません。第3回WGで「次回以降の検討課題」とされ、第4回でも報告がありませんでした。

第1回 工場等判断基準WG 資料より

なお、定期報告における「電気の需要の最適化に係る報告」はそもそも計算が複雑怪奇なのですが、これについては、「電気使用量(時間帯別または月別)を電子報告システムに入力することで、最適化係数により補正された電気使用量が算出される」とのこと。ヤレヤレです。

このデータを元に、別途入力された燃料と熱の使用量をもとに「電気需要最適化評価原単位」が自動で算出されます。

この「火力重み付け係数(a")」については、進展があり次第ご案内します。いずれにせよ、報告方法については、まだまだ最終決定に至っていないものばかりですので、目が離せませんね。

ということで、算定方法はここまでにして、次回は「非化石証書の扱い」についてご案内します。お楽しみに!



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園田隆克@GHG削減サポーター
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