情報開示検討会のアルファベットスープ化?
サスティナビリティ情報開示については、昨年6月のISSBによるIFRS S1・S2基準リリースから、各国の規制当局によるルール作りが始まったことは、皆さんご承知の通りでしょう。
国内でも、SSBJが日本版S1・S2のドラフトを昨年度末にリリース。
7月31日まで、意見募集中です。
特設サイトが設置されていますので、活用ください。
リリースに先立ち、SSBJ基準や、意見が分かれた項目の紹介及び代替案の説明を行うオープンセミナーを行うなど、コンセンサスをとりながら確定基準を策定したいという意気込みが感じられます。
こちらについては、10回に亘り詳しくご案内しています。
よろしければ、参照下さい。
なお、ドラフト公開前に、金融庁から適用にあたり大幅な変更があったことにより、SSBJは適用対象企業と適用時期については、金融庁が設置する「サスティナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するWG」に委任することを表明。
先日までに、2回議論が行われています。
こちらについても、noteで紹介しています。
2回目については、現段階で議事録が公開されていませんし、当方もライブを見逃してしまいましたので、事務局提出のレジュメの紹介に留まっていますが、引き続き、ご案内していく予定にしています。
なので、開示内容については「SSBJ」、適用対象企業及び適用時期については「金融庁」という棲み分けで行くと思っていたところ、ここにきて、「経産省」が名乗りを上げてきました。
気になったので、設立趣旨を見てみました。
背景については、まさにその通りで、異論無し。
問題意識として2点指摘されてますが、これは別に日本に限ったことではないかと思ったりもします。
「投資家等との建設的な対話・エンゲージメントを通じて」というフレーズは、金融庁が言い出して、各所が言い出しましたよね。「伝家の宝刀」みたいな感じになっているみたい。これさえ言っていれば「OK」のような。
このような、「背景・問題意識」の下、「目的・検討事項」。
「企業価値の向上に資する情報開示はどうあるべきか」の議論だそうです。
つまり、次のように考えればよいのでは無いでしょうか。
SSBJは「どのような開示項目を開示する必要があるのか」のルールを策定し、金融庁は「どのような企業がいつから適用すべきなのか、保証水準をどのようにするか」を議論、経産省は「どのような媒体を通じて、どの内容を、誰に対して、どの程度開示するか」を議論するものと理解しました。
GHG算定に例えると、SSBJはルールセッターなので「GHGプロトコル」、
金融庁は枠組みなので「TCFD」、経産省は開示方法なので「SBTi」かなと個人的に思いました。TCFDはISSBじゃないか、というツッコミは甘んじて受けます(笑)
とすると、開示のプラットフォームであるCDPの役回りが必要なのでは?
まぁ、有価証券報告書に掲載される内容になりますので、いずれ、四季報などマーケット情報に組み込まれるのでしょうね。
ということで、一見、国内でのサスティナビリティ情報開示についての検討の場がアルファベットスープ化し始めたかと思いきや、棲み分けはできてるんだ、と自己解決してしまいました。
皆さんは、どのように感じられましたでしょうか。
これからも、開示周りはアップデートしていきますので、ご期待下さい。