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セメントセクターガイドラインリリース(7)
ここまで続いた「セメントSDAシリーズ」
6回目までで説明は終了しています。
こちらを参照下さい。
最終回の今回は、SBTi謹製 目標設定ツール「the Science Based Target Setting Tool」を使った、目標設定のご案内です。
ガイドラインでは、短期と長期(Net-Zero)の設定例が紹介されていて、それぞれ、使用するツールが異なります。
短期SBTはこちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1667458727254-eAf2NvcAdW.png?width=1200)
長期SBTはこちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1667468521016-YgyDy1PSCe.png?width=1200)
なお、このツールで使用可能なアプローチは、以下のようになっています。
SBT Tool
・Sectral Decarbonization Approach(SDA)
-Power
-Services-Buildings
-Residential Buildings
-Cement
・Absolute Contraction Approach
Scope 3 Tool
・Absolute Contraction Approach
・Economic intensity
・Physical intensity
・Cement SDA
ですので、これらのツールは他のセクターでも使用できるものの、特にセメントセクターに配慮されていると言えそうですね。
ガイダンスに従って、短期SBTツールの「SBT Tool」シートにおいて、スコープ1・2のデータをこのように入力したとしましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1667472340081-pkDYILpbbt.png?width=1200)
ここで特徴的なのは、基準年のスコープ1・2排出量は算定しておかなければなりませんが、あとは、目標年における生産量を設定するだけでよいと言うことです。
すると、IEAの「Energy Technology Perspectives(2017)」及び「Transition to Sustainable buildings(2013)」のデータを用いて、設定した「SDA senario(1.5℃シナリオ)」に基づいて、この会社のデータに基づいたシナリオが、このように計算されます。
![](https://assets.st-note.com/img/1667472434734-tQPD9EDezc.png?width=1200)
この会社Xは、目標年である2030年には、セメント製造によるスコープ1・2排出量を、基準年である2020年の排出量に対して、28.2%削減しなければならないという結果が得られます。
同時に、目標年に至るまでに達成すべき削減の軌道もグラフ化されます。
![](https://assets.st-note.com/img/1667472520649-9v9mWplNdp.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1667472530148-OLMmCofyU1.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1667472538669-L6aXmZiQ4C.png?width=1200)
さらに、「Scope 3 Tool」シートに、このように入力してみましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1667472778202-pLmIcB2HRU.png?width=1200)
購入するクリンカ及びセメントによる排出量は、28.5%削減する必要があるようですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1667472807176-i0eidMmGVE.png?width=1200)
なお、セメント製造による排出においては、上流側も算定することが推奨されます。ですので、スコープ3カテゴリー3も目標設定しましょう。入力内容はこちらです。
![](https://assets.st-note.com/img/1667473148037-rwHkmC3WNd.png?width=1200)
会社Xは、WB-2C目標を選択しているので、25%削減という結果です。
![](https://assets.st-note.com/img/1667473317687-E6LkCmgsOT.png?width=1200)
続いて、長期SBT目標も設定してみましょう。
その際には「NZTool」シートを使用します。
![](https://assets.st-note.com/img/1667474316674-r12QzqH98B.png?width=1200)
会社Xは、長期SBTにおいては、スコープ1・2・3の総量削減を選択しているので、削減率は95%と算出されました。
![](https://assets.st-note.com/img/1667474495371-IdzkMjU1JL.png?width=1200)
いかがでしょうか。
基準年排出量の算定と、目標年における生産量の計画は必要ですが、それだけで「やるべきこと」は分かります。ちなみに「fixed market share」を選択すれば、生産計画も不要です。この場合は。「the global pathway」に基づいて計算され、現在は5.03%になっているとのことです。
まずは、このツールを使って、どれだけハードルが高いかを確認してみるのもいいでしょうね。
さて、ここまで説明してきた、セメントのセクター別ガイドライン。
このガイドラインは「SBT目標設定の支援」を目的としていることに留意しなければなりません。そうです、「削減方法、手段」についてはどこにも記載はありません。この点は、しっかり釘を刺されています。
このガイダンス文書は、セメントとコンクリートのバリューチェーンにおいて、1.5℃の野心に沿った短期及び長期SBTの設定を支援するための基準と推奨事項を提供するものである。目標達成のための脱炭素化の手段については、各企業の戦略次第であるため、詳細には触れていない。
ここから先は、各社の技術の見せどころでしょう。
「やるかやらないか」ではなく「いつやるか」
本腰を入れて、先に一歩を踏み出した方が勝ち組になれますよ。
そんな皆さんを応援しています。
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![園田隆克@GHG削減サポーター](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68962323/profile_1d66a4f6c06e6873abd9309a5d3f4220.png?width=600&crop=1:1,smart)