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LCA実践塾西表島合宿(3)〜オーバーツーリズムは本当か

「LCA実践塾」の西表島合宿レポート、3回目。
合宿のテーマは「海洋ごみ」と「オーバーツーリズム」

2回目は、「海洋ごみ」についてご案内しました。

ですので、今回は「オーバーツーリズム」です。
話を伺ったのは、一般財団法人 西表財団の徳岡事務局長。

西表財団 徳岡事務局長

西表財団は、西表島が2021年7月「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」として、ユネスコの世界自然遺産に登録されたことを受けて、2021年11月設立されました。

西表島の豊かな自然と島の伝統的文化や営みを守り、地域の持続可能な発展に寄与することを基本理念としています。

世界自然遺産と財団、と聞くと「知床財団」を思い浮かべる方も多いかと思います。西表財団も、まさしく同様の位置づけとなります。その設立に当たっては、知床財団から様々な支援を頂いたそうです。

実は、知床国立公園と西表石垣国立公園(西表島はこの公園の一部)は、どちらも自然保護地域として国立公園に指定されており、世界自然遺産に登録される以前から、両者の間には自然保護に関する交流がありました。

なので、国立公園同士の連携の一環として自然な流れであり、特に自然保護における経験の共有や共同の活動が行われていたんですね。

その事務局長を務める徳岡さんは、前職が、西表島エコツーリズム協会の事務局長。手腕を請われて、抜擢されたのでしょう。(かく言う私は、前職時代の徳岡さんに、マングローブでブルーカーボンを創生しましょう、と持ちかけたことがあったのでした)

今でこそ「エコツーリズム」という概念は一般的ですが、その名称もない時代、1995年に設立されたのが「西表島エコツーリズム協会」。ですので、言ってみれば「エコツーリズム」の生みの親、「エコツーリズム協会」の草分け的存在なのです。

前置きが長くなりましたが、タイトルの問いに対する答えは「観光形態の変化」ではないかというのが、徳岡さんの見解でした。

入域者数を見てみると、2007年、2008年頃は40万人程度。
コロナで激減した後、回復途上で、2023年は25万人程度となっています。

竹富町入域観光客数より西表島計を抜粋

これだけ見ると、現在はピーク時よりもまだ少ないことから、「オーバー」という状態には至っていないように思えます。

西表の観光形態は、周遊型、滞在型に分かれるそうです。
統計では、周遊型はあまり増えていないところ、滞在型は増えているとか。
で、周遊型は、船会社が実施しているツアーで、島内は大型バスで移動。
滞在型は、個人手配でレンタカーで移動。

大型バスで移動する分には、交通量が増える訳でも無く、ツアー客もまとまって動くので、観光スポットが人であふれかえっているようには見えない。

他方、個人客はレンタカーで移動するので交通量が増えるし、自由にサイトを訪れ、各人各様に見て回るので、見た目上、多く感じるというのです。

さらに、島内は40kmの時速制限があり、集落内は30km制限。
それを知らず、慣れない道を、それでいて交通量も少ないのでスピードを出すと、事故も起こしやすい。イリオモテヤマネコの事故死にもつながりかねません。

私も、レンタカーを運転しましたが、確かに時速40kmは、気をつけていないとすぐにオーバーしますし、下り坂ではあっという間です。

なるほど、入域者数よりも、観光形態の変化による感覚的なものが大きいというのは、説得力がありました。

とはいえ、日本屈指の人気の観光地であることは確か。
いずれ、コロナ前のピークを越えてくることでしょう。
リアルな「オーバーツーリズム」を回避するには、何をすべきか。
現状、どのような施策を打っているのか。

次回は、こちらについて、ご案内していきますね。
世界自然遺産登録にまつわる、大人の事情も伺ってきました(^^ゞ

お楽しみに!

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園田隆克@GHG削減サポーター
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