見出し画像

やるなぁ、IFRS

情報開示統合については、以前ご紹介しました。

今年2022年8月1日付けで生まれた「ISSB」は、3月31日に「情報開示プロトタイプ」を公表しており、パブコメも既に実施完了、年内にファイナライズ、年明けに正式版をリリースするとしていました。

しかし、パブコメの回答数が多く、検討に慎重を期していることもあり、最終決定は来年にずれ込むとのこと。エマニュエル・ファベールISSB議長は日本経済新聞の取材で、基準の最終決定は「2023年6月までには完了したい」と説明しています。

情報開示基準の「アルファベットスープ状態」を解消する救世主として期待しており、繰り返しご案内しているIFRSですが、良い意味で期待を裏切ってくれそうな気配です。

その一つが、ISSB は、他の国際的および管轄の持続可能性関連基準との相互運用性の向上をサポートするために、他の標準への参照に関する議論を進めていると、先月のプレスリリースで明らかにしました。

どのような議論かというと、要点は次の3つ

1.直接適用できるISSB基準が無い場合に、ESRSおよびGRIを参照できる
2.IFRS S1の要求事項を満たすためにSASB基準を考慮すること
3.IFRS S2の要求事項を満たすためにCDSBを活用できること

もともと、様々な規格/基準の合併で成り立っているISSBですから当然ではありますが、ISSBはゼロから基準を作ったのではなく、それぞれのパッチワークです。明らかではあったのですが、それを認めた形ですね。

つまり、ISSBに無い基準は、組み込まれた、SASBやCDSB、GRI、VRFを参照できますよ、と言うこと。今まで、それに基づいて開示していた企業は、新規に作り直す必要は無いですよ、と言うことです。

ただ、組み込まれていない、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)の企業持続可能性報告指令(CSRD)も参照できることは、エポックメイキング。

さらに、EFRAGは、企業がサステナビリティ関連の影響、機会、リスクを報告するための規則・要件案を定めた「欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)」にも言及していることは驚きです。

ESRSはまだドラフト段階ですが、産業セクター特有の開示ルールを作成する際にIFRS S2の付録Bを参照する可能性があるとしており、そうなれば、ESRSとの相互運用性が高まると共に、来年23年1月のファイナライズを待つことなく、企業は開示準備を行うことができる訳です。

情報開示ルールについては、個人的に、各国が綱引きをしているイメージがあり、何度がご案内してきました。

ですが、欧州/米国/日本など、といった複数の極が存在していたところ、それが融和に向かうのであれば、大歓迎。あとは、炭素国境調整における「綱引き」がどうなるかですかねぇ。

来年は、ますます目が離せそうにありません。
これからも、タイムリーな情報をお届けしますね。
乞うご期待。


もしよろしければ、是非ともサポートをお願いします! 頂いたサポートは、継続的に皆さんに情報をお届けする活動費に使わせて頂きます。