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気候変動も生物多様性も
前回、ダイビングして初めて体験できる海中の世界が、環境に関わる仕事を推進する大きなインセンティブになるという話をしました。
その中で紹介したのは、クマノミやハタタテハゼ、ウミシダカクレエビ、ウミガメにマンタといった生物でしたが、そのような生物を育む「ゆりかご」を提供するサンゴも、もうひとつの大きな動機づけになりました。
皆さんもご存知のように、サンゴの白化は世界規模で進んでいるとされており、八重山も例外ではありません。
石垣島と西表島の間に広がる、日本一の面積を誇るサンゴ礁の海「石西礁湖」では、近年、サンゴの白化現象が深刻な問題となっており、特に、2024年9月の環境省の調査では、全調査地点の平均白化率が84.0%と報告されています。
この白化現象は石西礁湖全域で確認されているものの一様では無いようで、黒島北側海域で顕著であり、完全白化率が高い地点が報告されている一方、小浜島北側から竹富島北西側リーフでは、白化率が比較的低い傾向が見られたとのこと。
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私が毎月潜っている海域は、調査エリアよりも北側、石垣島の西部の「底地湾」及び「名蔵湾」がメインなので、過去と比較してどのような状態なのかは分かりません。
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まぁ、そもそも、「健全な状態」を知らないので判断のしようが無いのですが、個人的には「白化が進んだ」ようには感じられず、「いろんな種類のサンゴがあるんだなぁ」という感想です。
サンゴの表面を多様な魚がついばんでいましたし、群がって泳ぐ姿は、まさに「花吹雪」。ライトすら持っていない+ホワイトバランスしくじった写真のため、青かぶりしていて恐縮ですが、太陽の光に照らし出されたサンゴは、色とりどりでした。
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これが、「白化が進んだ瀕死の状態」であれば、逆に、最盛期がどのようなものなのか、期待が膨らみます。(ご存知の方、ご教示ください)
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私が推進しているJブルークレジットは、海域に生息する植物によるCO₂吸収量を、人為的に関与することによって増大させた場合に認証されるものです。(もちろん、リーケージを差し引いてプラスになる必要がありますし、コベネフィット、追加性も要求されます)
なので、そもそもCO₂を吸収しないサンゴを保護しても、ブルーは認証されません。しかし、ソフトコーラルであれば、CO₂を吸収している可能性があり、ブルーとして認証できるかもしれません。
マリン観光さんは、吸収している様子を確認できる「ブルーカーボンクルーズ」を実施しているので、ご関心のある方は是非。
また、藻場の再生によるブルー認証における「コベネフィット」の代表的な事例は「生物多様性への寄与」ですが、サンゴの再生も同様のベネフィットを生み出すことができます。
直接的ではありませんが、脱炭素化、気候変動対策に貢献していることは確実だと思っています。漂着ごみ対策によるマングローブの保全で創生されたブルーの収益で、サンゴの保全も行うスキームを提案したこともあります。
資金のCOPと言われたCOP29バクー会議では、公的資金から年3,000億米ドル、民間資金を含めて年1.3兆米ドル拠出することが決定されました。(バクー気候資金ゴール)
これでも足りないという非国家アクターの声を聞いていると、気候変動の枠を超えて、生物多様性や貧困、土地改変などなど、地球レベルの課題に対処することを企図しているように思えてなりません。
「気候変動対策だから」といって気候資金の使途を拡げる様は、およそコロナとは全く関係ない目的に、補助金を使うのと同じ構図では?
であれば、「気候変動」という名前を返上し、「生物多様性」他の課題を包含した名称の条約にしてしまえば、と思ったりもします。
とは言え、現在の枠組みでは無理筋なので、まずはマングローブ保全や養殖でブルーを創生しサンゴの再生にもトライする一方、その環境価値を、日本版S1・S2のような「サス情報開示要求事項」というツールを使って、機関投資家と対話を行うスキームを構築したいと考えています。
金の出し手が評価するのであれば、企業は行動を起こします。
コストセンターでなく、プロフィットセンターになるのです。
環境に配慮した経営とは何なのか、何をすべきなのか。
迷っている企業に対して、そっと背中を押して寄り添うビジネス。
始めてみたいと思ってます。
一緒に「最初の一歩」を踏み出してみませんか?
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