SBTi参加企業数アップデート
毎月定例のSBTi参加企業数、2024年4月度。
毎週木曜日にアップデートされますので、2024年4月25日現在です。
前回はこちら。
まずは、世界の全体数(2年以内に目標を提出すると約束する「Commitment Letter」をSBTiに提出した数と認定された数の合計)及び認定数です。
「審査中」「コミットのみ」「Commitment removed」を追加し、Net-Zeroについて「全体(審査中除く)」としています。
「Commitment removed」とされた企業はこちら。
現在、上記9社で、先月から2社増加しています。
この「Commitment removed」のリスティングについて、オルタナが4月に次のような記事を公開しています。
記事を読むと、ニチリンはコミットメントから2年ギリギリで申請しているので、これほどの速やかな「Removed」は心外のようですし、セコムは認識はしていたようではあります。
前回のnoteでは、ニチリンは自主的に撤回したと思われるような書きぶりをしておりましたので、訂正してお詫びします。
記事の後半には、「SBTiはネットゼロ目標に賛同する企業を募るため、「ビジネスアンビション(Business Ambition for 1.5℃)」キャンペーンを展開し、賛同企業は、2021年末から2023年末の24カ月以内に、SBTiに目標を提出し、検証を受けることが求められていた。」とあります。
ただ、ニチリンとセコムはいずれにも当てはまらないように思いますので、タイムリミットに間に合わなかったので、事務的に「Removed」されたのではと推測します。
「その前に申し開きさせてよ」という声が聞こえてきそうですが、対象企業の数からして対応できず、機械的な処理とならざるを得ないのでしょう。
不可解なのは、NET-ZEROにおいて「Commitment removed」でフィルタリングできないこと。上記ダッシュボードは、「Near term」の「Commitment removed」でフィルタリングした結果です。セコムは、企業名を指定すれば検索できるのですが、それでなければ辿り着けません。
Net-Zeroはハードルが高いし、キャンペーンでコミットを煽った面もあるので「密かに」オープンにしているのでしょうか。真相は不明です。
閑話休題、SBTi短期の全体数及び認定企業数の変化を見ていきましょう。
増減を見たのがこちら。
(Net-Zeroについては、全体から審査中を除いた数字)
先月に引き続き、Net-Zeroのコミットのみの累積が、世界及び日本、いずれも減少しております。それぞれ、110社、2社の減少。他方、短期SBTの「Commitment removed」は、世界が+37社、日本が+2社と着実に増えています。
強制的であれ自主的であれ、短期目標年が近づくにつれ、現実的なアプローチに移行してきているのかもしれませんね。
最後に、認定率。
繰り返しの説明ですが、審査中のみの企業数が入手できなかったことから、1月よりSBTi短期のみに変更しています。
世界における認定率が減少しているのは、コミットを自主撤回した企業数が増えたことにより、母数が大きくなったことに起因しています。SBTiの仕事が、遅くなったのではないでしょう。
さて、SBTiが4月9日、SBTiは、スコープ3削減に当たってクレジットの利用を認める旨の声明を発表したことは、サス担界隈で話題になりました。
プロパー社員から訴訟を起こされるとは、ボードメンバーもゆめゆめ思ってもいなかったカモですね。
noteでも、急遽私なりの見解をお届けしましたので、よろしければご参照ください。
2030年が近づくにつれ、現実的路線にシフトしてきたと、肯定的に捉えていますが、「Net-Zero Standard」において緩和するとしたところが、身内を刺激したのではと思っています。
ISO14068−1でも、2050年ネットゼロに至る過程において、カーボン・ニュートラリティを達成するためにオフセットの利用を緩和していることを考慮すると、Net-Zero Standardという原則はそのままに、1.5℃経路における「例外」として緩和措置を実施するとすれば良かったはず。
いずれにせよ、ルールは色々変われども、やることは同じです。
ターゲットに向かって、粛々と実行していきましょう。
今後も、適宜情報をご案内していこうと思います。
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