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SBTi参加企業数アップデート

毎月定例のSBTi参加企業数、2024年4月度。
毎週木曜日にアップデートされますので、2024年4月25日現在です。
前回はこちら。

まずは、世界の全体数(2年以内に目標を提出すると約束する「Commitment Letter」をSBTiに提出した数と認定された数の合計)及び認定数です。

「審査中」「コミットのみ」「Commitment removed」を追加し、Net-Zeroについて「全体(審査中除く)」としています。

「Commitment removed」とされた企業はこちら。

現在、上記9社で、先月から2社増加しています。

この「Commitment removed」のリスティングについて、オルタナが4月に次のような記事を公開しています。

「当社が削除されたことは知らなかった」

「SBTiのサイト上で、自社のコミットメント(公約)が削除されていることは、取材を受けて初めて知った」。自動車用ホースメーカー、ニチリン(スタンダード上場)の森浩一・サステナビリティ推進室長はオルタナの取材に対して困惑した様子をうかがわせた。

※森氏の肩書に誤記があったため、修正しました。

同社は、2021年に取引先の海外自動車メーカーから、SBTに沿った目標設定を求められた。2022年1月にコミットメントを行い、2024年1月17日に「1.5℃目標」と「ネットゼロ目標」の審査資料を提出していた。現在は5月の審査を待っている状況だと信じていたという。

セコムもオルタナの取材によって、自社のステータスが、「COMMITMENT REMOVED」(公約の削除)の表示になったことを知った。

「SBTiからコミットメントを削除する旨の連絡を直接受けており、いずれ削除されることは認識していた。当社の削減目標は『Well Below2℃(産業革命前に比べて2度を十分に下回る水準)』で認定取得しているため、『1.5℃』での認定取得を目指してグループで調整を進めている」(柳澤芳秀・セコムサステナビリティ推進室主務)

上記オルタナ記事より抜粋

記事を読むと、ニチリンはコミットメントから2年ギリギリで申請しているので、これほどの速やかな「Removed」は心外のようですし、セコムは認識はしていたようではあります。

前回のnoteでは、ニチリンは自主的に撤回したと思われるような書きぶりをしておりましたので、訂正してお詫びします。

記事の後半には、「SBTiはネットゼロ目標に賛同する企業を募るため、「ビジネスアンビション(Business Ambition for 1.5℃)」キャンペーンを展開し、賛同企業は、2021年末から2023年末の24カ月以内に、SBTiに目標を提出し、検証を受けることが求められていた。」とあります。

ただ、ニチリンとセコムはいずれにも当てはまらないように思いますので、タイムリミットに間に合わなかったので、事務的に「Removed」されたのではと推測します。

「その前に申し開きさせてよ」という声が聞こえてきそうですが、対象企業の数からして対応できず、機械的な処理とならざるを得ないのでしょう。

不可解なのは、NET-ZEROにおいて「Commitment removed」でフィルタリングできないこと。上記ダッシュボードは、「Near term」の「Commitment removed」でフィルタリングした結果です。セコムは、企業名を指定すれば検索できるのですが、それでなければ辿り着けません。

Net-Zeroはハードルが高いし、キャンペーンでコミットを煽った面もあるので「密かに」オープンにしているのでしょうか。真相は不明です。

閑話休題、SBTi短期の全体数及び認定企業数の変化を見ていきましょう。

増減を見たのがこちら。
(Net-Zeroについては、全体から審査中を除いた数字)

○短期SBT
全体:世界 +214社 日本 +49社
認定数:世界 +176社 日本 +48社
コミットのみ:世界 -110社 日本 -2社
Commitment removed:世界 +37社 日本 +2社
○Net-Zero
全体(審査中除く):世界 +61社 日本 +3社
認定数:世界 +43社 日本 +2社

先月に引き続き、Net-Zeroのコミットのみの累積が、世界及び日本、いずれも減少しております。それぞれ、110社、2社の減少。他方、短期SBTの「Commitment removed」は、世界が+37社、日本が+2社と着実に増えています。

強制的であれ自主的であれ、短期目標年が近づくにつれ、現実的なアプローチに移行してきているのかもしれませんね。

最後に、認定率。

繰り返しの説明ですが、審査中のみの企業数が入手できなかったことから、1月よりSBTi短期のみに変更しています。

世界における認定率が減少しているのは、コミットを自主撤回した企業数が増えたことにより、母数が大きくなったことに起因しています。SBTiの仕事が、遅くなったのではないでしょう。


さて、SBTiが4月9日、SBTiは、スコープ3削減に当たってクレジットの利用を認める旨の声明を発表したことは、サス担界隈で話題になりました。

SBTi has decided to extend their use for the purpose of abatement of Scope 3 related emissions beyond the current limits.

プロパー社員から訴訟を起こされるとは、ボードメンバーもゆめゆめ思ってもいなかったカモですね。

noteでも、急遽私なりの見解をお届けしましたので、よろしければご参照ください。

2030年が近づくにつれ、現実的路線にシフトしてきたと、肯定的に捉えていますが、「Net-Zero Standard」において緩和するとしたところが、身内を刺激したのではと思っています。

ISO14068−1でも、2050年ネットゼロに至る過程において、カーボン・ニュートラリティを達成するためにオフセットの利用を緩和していることを考慮すると、Net-Zero Standardという原則はそのままに、1.5℃経路における「例外」として緩和措置を実施するとすれば良かったはず。

いずれにせよ、ルールは色々変われども、やることは同じです。
ターゲットに向かって、粛々と実行していきましょう。

今後も、適宜情報をご案内していこうと思います。
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