FMCの進展
昨年のCOP26において発足した、FMC(First Movers Coalition)。
以前ご紹介したことがありました。
FMCとは「新しい脱炭素技術の開発と普及を加速させることを目的に、費用対効果が低いものの、革新的な技術を活用した先進的な製品を、率先して購入する」ことを約束した企業のアライアンスです。
COP26でバイデン大統領と世界経済フォーラムが立ち上げたもので、現在50社以上が参加して発足しました。事務局長はジョン・ケリー米気候担当特使、会長は世界経済フォーラムのボルゲ・ブレンデ総裁です。
発足時の対象は、以下の6つのセクターでした。
・アルミニウム
・航空
・二酸化炭素除去
・船舶
・鉄鋼
・トラック輸送
そのFMCが、COP27期間中の11月8日、Leaders Panelを開催しました。
今回、新たにセメントとコンクリートセクターが対象となり、メンバー企業も以下の10社加わって65社となったとのことです。
Autodesk (航空
Bang & Olufsen (アルミニウム)
Constellium (アルミニウム)
Emirates Global Aluminium (炭素除去技術)
ETEX (セメントとコンクリート)
General Motors (セメントとコンクリート)
Hoegh Autoliners (海運)
PepsiCo (アルミニウム、トラック輸送)
Rio Tinto (航空、海運、トラック輸送)
RMZ Corp (セメント、コンクリート)。
8つのセクターで世界のGHG排出量の約23%、メンバー企業65社の総市場価値は約8兆ドルといいますので、その影響力は小さくはないですね。
セメント・コンクリート産業やその他の脱炭素化が難しい分野のグリーンテクノロジーに対して、2030年に120億ドルの購入を約束するとのこと。
さらに、新規加入企業は、2030年までに「near-zero cement and concrete」を少なくとも10%以上ずつ購入していくとか。相当の決意を持ってFMCに参加したことが窺えます。
今回加わった、セメント及びコンクリートセクターですが、SBTiもセクター別ガイドラインとして、セメントセクターを9月末に発表しました。
これについては、こちらでも2回シリーズでお届けしたところ。
セメントセクターは、発電部門に次いで多量のCO2を排出するセクターである一方、産業廃棄物を原料としているセクターという特殊な存在です。
ですから、このセクターの効率化が進行すれば、世界の排出量を安価で飛躍的に削減することが可能です。SBTi同様、FMCも、当該セクターの費用対効果に着目したのでしょう。
個人的には、セメントの世界的企業で、上記のガイドライン策定のキーサポーターの役割を果たしたHolcimが参画していないのが、少し残念。
ロスダメファンド以外、めぼしい進展が見られなかったとの評価が多く見られるようには思いますが、このように、民間ベースの取り組みは確実に加速していると考えます。
機関投資家(貸し手)や購買者(買い手)が動けば、企業(売り手/作り手)は動く。
2050年、2100年に向けて、ムーブメントを起こしていきたいですね。
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