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クレジットと証書の違いを押さえておこう(3)
これまで、2回に亘って、「クレジットと証書の違い」による、取り扱いの相違についてご案内してきました。
最終回は、温対法における報告方法及び証書の購入方法について、簡単に説明しておきたいと思います。
SHK制度で想定している証書は、非化石証書、グリーンエネルギーCO2削減相当量(グリーン電力証書及びグリーン熱証書)です。
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温対法の報告では、「第5表の2」に国内認証排出削減量にかかる情報を記入します。グリーンエネルギーCO2削減相当量の例がこちら。
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ただ、省エネ法に基づく特定事業者であれば、省エネ法の報告の中で同時に報告できますので、その場合は特定-第12表6の2に記入しましょう。(省エネ法の対象にならず、温対法の対象のみの事業所は少ないと思います)
続いて、「第5表の3」に調整後温室効果ガス排出量の算定に用いた国内認証排出削減量のうち、グリ ーンエネルギーCO2削減相当量に関する情報を記入します。グリーン熱証書の例がこちら。
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なお、省エネ法に基づく報告の場合は、「第5表の3」の代わりに特定-第12表6の4を使用します。
最後に、「第5表の5」に調整後温室効果ガス排出量の算定に用いる非化石電源二酸化炭素削減相当量 に関する情報を記入します。省エネ法の報告書を用いるときは、特定-第12表6の5になりますので、ご注意下さい。
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具体的な計算方法は、前回ご案内しましたね。
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温対法の報告において、証書を使用した場合に異なる点はこれくらいです。
その他、詳細については、温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(Ver5.0)を参照くださいませ。
続いて、「証書はどこで購入できるか」という話ですが、「購入は可能だけど、直接購入することはあまりない」と思います。
2021年11月から、再エネ価値取引市場において、小売電気事業者だけでなく、需要家も直接購入できるようになりましたが、そのためには、⽇本卸電⼒取引所 (JEPX)の非化石価値取引会員になる必要があるのです。
入会審査もありますし、入会金10万円、年会費の納入義務があります。面倒な事務作業も発生します。ですので、購入したい場合には、代行時業者を利用するのが一般的だと思います。
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再エネ価値取引市場におけるオークションは、年に4回(8月、11月、翌2月、5月)実施され、JEPXサイトで公開されています。
公開されるタイミングで、noteでも紹介しています。
よろしければ、ご参照ください。
とはいえ、これでも、一般の需要家にとってはハードルが高いと思います。
そもそも、証書が欲しいのでは無く、CO2排出がゼロの電力が欲しいはず。
であれば、もっとお手軽なのは、バーチャルPPAでしょう。
なので、結局「証書」を調達したいという要望が上がるのは、テナントとして入居しているため、自社都合で買電先を自由に選択できない場合くらいかなと思います。
自社の排出量を削減する場合に一番手っ取り早くて簡単確実なのは、再エネ電力を購入することなのですが、その手段がとれない場合の切り札として、お奨めすることが多いです。
「排出量を削減したい」あるいは「RE100」に利用したい、という風に、「目的が何なのか」をしっかり考えることが必要でしょう。
ということで、「クレジットと証書の違い」について3回に亘ってお届けしてきましたが、いかがだったでしょうか。
このような、算定の過程でふとわいてくるような疑問質問に答えるシリーズを、時折お届けしていこうと思います。
皆さんからのリクエストも、ウェルカムです。
一緒にスキルアップを図っていきましょう。
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