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サウジアラビアを視察してきました(その九)
遂に、サウジアラビア最終日。
皇太子が「商業の首都」と位置づける、紅海の港町、ジェッダです。
古代から中世は、巡礼者は主に徒歩、馬、ラクダなどの動物を利用せざるを得なかったところ、特にインドネシアや東アフリカからの巡礼者は船を使ってアラビア半島に渡っていました。
海路を利用する場合、紅海を渡りジェッダの港に上陸したため、ジェッダはメッカへの玄関口として非常に重要な役割を果たしていました。そのため、ジェッダは「ハッジの門」とも呼ばれていたのです。そして、多くの巡礼者がこの都市を通じて聖地メッカへ向かいます。
午前中は、まさに、その港を中心に形作られた旧市街、正式には「ジェッダ歴史地区(Historic Jeddah)」を訪れました。この地区は「アル=バラド」とも呼ばれ、その独特な建築様式と歴史的重要性で知られており、2014年に世界遺産リストに登録されています。
旧市街へは、文字通り「ハッジの門」を通って入っていきます。
ですが、砂漠の街で朝から開いている店は少なく、閑散としています。
写真を撮るのは好適ですが、ショッピングには不向きでした。
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巡礼者の中には、そのまま住みついた人も多いことから、この街は様々な文化の影響を受けています。一見すると、モロッコなどの地中海沿岸の街並みのように思えるかもしれません。東アフリカからの巡礼者が多かったこともあるかと。長崎チックですね。
さて、旧市街で誰もが立ち寄るのが、中心部にある広場に隣接する「ナシフハウス」でしょう。木陰やベンチもあるので、中に入らずとも、陽射しを避けながら休憩したり、マップを拡げるにも最適。
ジェッダの有力者であったナシフ家が1850年に建設したもので、当初は住居でしたが、現在は博物館および文化センターとして公開されています。初代国王、アブドゥルアズィーズが宿泊したことでも知られています。
旧市街の建築物は、サンゴ・漆喰・木製の窓枠という3点セットが特徴的なのですが、ナシフハウスは内部からもその構造を伺えます。家具や生活用品、当時の写真なども展示されており、過去の生活を垣間見ることができるのでお奨めです。
ちなみに、サンゴは海からラクダで運び上げたそうです。また、ラクダは肉や乳も非常に美味しく、日本で言うところの牛ですね。旧市街入口には「ラクダカフェ」があり、ラクダミルクを頂きました。
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旧市街は2010年も訪れていますので、比較しながらご案内しますね。
ナシフハウスは、内部には入れたものの、外壁は当時復旧工事中でした。
木陰を提供する樹木は健在ですね。
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こちらは、中心部にある広場の様子。
いずれも、樹木が見えている右側にナシフハウスがあります。
ビルの外壁がリニューアルされているようです。
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続いては、同じ場所ではありませんが、市街地の様子をご覧下さい。
現在は、サイネージが整備され、道路も石畳になってます。
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翻って2010年。
観光客の受入が始まっていないので、商売相手は巡礼客。
まだまだ土がむき出しのところが多いですね。
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旧市街には、「アルシャフィーモスク(Al Shafei Mosque)」があります。
このモスクはシャフィイ法学派の創設者であるイマーム・アルシャフィイが建築したもので、人々を集めて教育をしていたとのこと。寺小屋ですね。ただ、現在のモスクは復元したもので、本来のモスクは地下にあるとか。
現在でも、地元コミュニティの精神的な中心地としても機能しており、日常的な礼拝だけでなく、宗教的な学習や社会活動の場としても用いられているそうです。
イマーム・アルシャフィイは、イスラム教の四大法学派の一つを確立したことで知られており、その法学派は主に東アフリカ、インドネシア、マレーシア、エジプトなどの地域で広く従われているとのこと。ここでも、ジェッダが巡礼者が築いた街であることが伺えます。
アルシャフィーモスクも、前回訪問しています。
今回は、中に入って、イスラム教の歴史の説明を受けることができました。
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その際、用いられたガイドブックの内容は、こちらでも参照できます。
日本語なので、現地へ行く前の予備学習に最適です。
で、当時と比較すると、こんな感じ。
入口も開放されており、2010年の近寄りがたい様相とは大違い。
ミナレットも、きれいに修復されています。
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はっきり言って、時間なさ過ぎ&行く時刻早すぎでした。
マダインサーレもそうですが、次回は、拠点滞在型の観光をしたいですね。
ということで、午前はジェッダの歴史に思いをはせる訪問でしたが、午後は、ジェッダの今を実感する訪問となりました。何を意味するのか?
次回をお楽しみに!
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