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環境関係のISOシリーズ

環境関係のISOシリーズとしては、14001 「環境マネジメントシステム」が一番有名ですが、その他にも様々な規格が存在します。

全てを知っておく必要はありませんが、知っておけば役に立つものをリストアップしてみました。

GHG排出量を算定する上で最も重要なのは、14064ファミリー規格。
温室効果ガス排出量や吸収量の算定、モニタリング、報告のための明瞭さと一貫性などを担保するために整備されてきている規格群です。
64−1と2が算定方法、3が検証方法、65が検証機関の要求事項です。

プロジェクトは、J-クレジットやJCMが準拠しています。
ですので、PDDを作成する過程で、それぞれの規程に記載されていない問題に直面した場合は、事務局に問い合わせるのが確実ですが、ISOを参照することでも対応できる場合があります。また、検証に際し、どのような準備をしておかないといけないのかも、分かりますね。

GHG算定では、GHGプロトコルのスコープ3基準が気になるところ。

よく似ている規格が「14069」で、組織の排出量の測定の仕方を定めた「14064-1」の具体例を示すために発効されたものですが、その内容にはスコープ3基準が取り込まれています。

さすがGHGプロコトル。ISOによって「スタンダード」としてのお墨付きをもらった形になっているわけです。

ところで、日本適合性認定協会(JAB)が、妥当性確認・検証を行う機関の能力を14065に基づき審査し、認定していますが、この「65認定」を受けていることが、第三者認証機関が検証業務を行うライセンスとなっています。

正確に言うと、排出量の算定を要求する制度は、J-クレジットやJCM、SHIFT事業が代表例ですが、それらは、65認定を受けた第三者認証機関による検証が必須。

また、CSR 報告書や環境報告書等を通じ温室効果ガス排出量や削減量を提示する際に検証を受ける例が増えていますが、その際にも、認定のある認証機関の中から選ぶことの方が多いでしょう。

つまり、デファクトスタンダードになっているのですね。

算定の対象で整理すると、このようになるでしょう。

算定を行う目的としては、自社あるいは自社製品の環境に対する取り組みをPRするためではないでしょうか。では、どのような表現、表示方法とすべきでしょうか。

この観点で環境ラベルを整理すると、わかり易いです。

タイプⅡはあくまでも「自己宣言」ですので、ラベルの背景や基準などをチェックすることが必要。タイプⅢじゃ基準に対して合否を判断せず、データが正しいか否かのみを判断して認証するものですので、データの意味を理解し、自身で判断する知識が要求されます。

ですので、購入者の立場からすると、中立公平な第三者認証が複数の基準に基づいて審査を行い、認定された場合のみ使用が許可される、タイプⅠのラベルが貼られた商品が、一番安心して購入できるといえるでしょう。

ざっと概観してきましたが、算定業務を行うに当たり「様々な規格が関与してるんだなぁ」くらいの感覚は湧きましたでしょうか。少しでも、皆さんの学びの手助けになれば幸いです。

余談ですが、環境問題では常にトップを走ることを是としている(?)欧州委員会(EC)は、組織や製品のフットプリントを温室効果ガスだけでなく、環境に負荷を与える可能性のある複数の物質に対象を拡げています。それが、「環境フットプリント」です。製品と組織のガイダンスが公表されています。

PEF:Product Environmental Footprint
OEF:Organisation Environmental Footprint

RoHS指令や一般データ保護規制、CAFE規制など、様々な規制の網をかけてきたECですから、油断大敵。情報収集は怠らないようにしたいですね。


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園田隆克@GHG削減サポーター
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