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GX-ETS制度設計始動(10)

GX-ETSの具体案に関して、有識者や産業界の意見を踏まえた検討を行うWGの概要説明シリーズ10回目。

第1回会合は9月3日については、7回に亘って説明済み。

YouTubeでアーカイブ視聴できますので、お時間のある方はどうぞ。

第2回会合が9月20日に行われましたので、遅ればせながら、8回目から引き続き概要を簡単にご案内しております。

こちらもまた、アーカイブがありますので、必要に応じご視聴下さい。

ヒアリングを受けた業界団体は、次の5団体です。

・セメント協会(セメント協)
・日本製紙連合会(製紙連)
・日本自動車工業会(自工会)
・定期航空協会(定航協)
・ 日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)

1回目及び2回目における、業界団体の主張ポイントを再掲しておきます。

1回目
1.タイムフレーム
2.リーケージ
3.予見可能性
4.GXコスト負担
5.セクター毎の事情に配慮した設計

2回目
1.予見可能性
2.国内外各制度との整合性
3.過去の取組の評価
4.GXコスト負担
5.段階的導入

9回までで、第2回会合の全体の概要と「1.予見可能性」についてご案内済なので、その他のポイントについて、紹介していきます。

「2.国内外各制度との整合性」については、自工会と定航協が、グローバルな枠組みとの整合性を指摘。

自工会においては、今後対象となることが予想されるCBAMを念頭に置いた「整合性」を要求する一方、定航協は、ICAO主導で実施しているCORSIAにて「国際航空セクター」として排出削減に取り組んでいることを背景に、GX-ETSの国際ルールとの「整合性」を要求していました。

第2回 GX実現に向けたカーボンプライシング専門WG ヒアリング資料(自工会)9ページより
第2回 GX実現に向けたカーボンプライシング専門WG ヒアリング資料(定航協)7ページより

他方、セメント協は、東京都及び埼玉の排出量取引制度と「整合性」を指摘しており、製紙連は、これまでの政府の方針に整合した制度を求めるなど、セクター毎に「国内外制度」の捉え方、主張のポイントが異なっていたのが印象的でした。

第2回 GX実現に向けたカーボンプライシング専門WG ヒアリング資料(セメント協)8ページより

「3.過去の取組の評価」は、各業界一様に主張していた内容で、いわゆる「乾いた雑巾」の評価ですね。委員の皆さんも言及されており、制度設計の重要なポイントとなると思います。

この論点は、「4.GXコスト負担」もつながります。3.が過去に対する配慮であるのに対し、4.は現在及び未来に対する配慮と言えるからです。

つまり、過去に実施している排出削減取組は、自社はもちろん、国内の脱炭素化に資するものであった(当時は「脱炭素」でなかったかもしれませんが)」考えることができますし、現在研究開発中の技術は、将来のネット・ゼロに寄与するものと考えることができます。

このような、「削減努力」を評価し、社会全体で公平に負担していく(価格転嫁していく)ことを、主張・要求していると言って良いと思います。

「5.段階的導入」は、第1回会合の「1.タイムフレーム」とほぼ同じ内容。

「環境プレミアム製品が受け入れられる市場の創生、時間配慮が必要(セメント協)」「過度なリソース、コスト増にならない仕組み(自工会)」「将来の投資余力が削がれることのない導入(定航協)」と言葉は違えど同じ内容でした。

以上が、業界団体がほぼ共通して指摘していた論点になりますが、その他、自工会であればグリーン鉄、定航協であればSAF及びクレジット、製紙連であればバイオマスのLCA、セメント協であればCCUSの制度設計など、各業界団体各様の主張がなされていました。

2回の会合を通じて感じたのは、国外、特に欧州マーケットに対する業界団体の懸念、脅威です。環境に限らず、欧州は「ブリュッセル効果」を活かしし、あらゆるビジネスに影響力を及ぼしてきます。これに対し、政府としての意思を示して欲しい、ということなのではないかと感じた次第です。

ということで、第2回目まで報告したと思ったら、第3回が10月31日に予定されています。YouTubeでのライブ配信もあるようです。

こちらの方も、タイムリーにキャッチアップしていきたいと思っていますので、是非ともフォローよろしくお願いします。

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