世界のETSのステータスは「on the track?!」
先日のnoteで、台湾が、台湾証券取引所と台湾当局系ファンドの国家発展基金が共同で、台湾初のETS「台湾炭権交易所」を設立、2024年前半にも取引をスタートさせることを公表したことをご案内しました。
かつてトップを走っていた日本のETSは、半導体や再エネなどと同じ轍を踏むのか?という思いでお伝えしたところですが、「Under development」だったブラジル、及び、2013年から「In force」だった広東省ETSの進展が伝えられました。
まずは、広東省ETSの方から。
中国は、2021年、国家レベルの排出量取引制度 (CN-ETS) を導入する前に、いくつかの都市や省で排出量取引制度のパイロットプロジェクトを実施してきました。これらのパイロットETSは、国家レベルのETSの導入に向けた実験や経験の蓄積を目的としたもので、主に次の8つのETSが存在します。
2013年12月に開始された広東省ETSは、同省の排出量の約40%をカバーしており、これら中国ETSパイロットの中でも最大規模を誇ります。つまり、CN-ETSを含めた全ETSの最先端を走っているわけですが、その広東省ETSが、中期実施戦略を発表しました。
ポイントは5点。
同計画により、広東省の低炭素化を支援する投資家の参加を見込むとしており、形だけでない、真の開かれた「取引市場」を目指すということでしょう。
CN-ETSの値動きは、まさしく「官製相場」を表していますから(笑)
戦略がうまく機能し始めれば、18年の歴史を持つEU-ETSのような「価格表示機能」を有する、歴とした市場に成長するのではないでしょうか。
続いて、ブラジルです。
「Under consideration」でしたので、今すぐ始まるというものではありません。
とはいえ、日本のGX-ETSのようにボランタリーなものではありません。
やはり「決意」が違うのです。
で、現状としては、排出量取引制度(SBCE)の設立に向けて、新しい法案を国民議会に提出した段階です。この法案は、2030年までに排出量を2005年比で50%削減し、2050年までに気候中立を達成する目標をサポートするもの。
法案では、年間25,000トン以上のCO2eを排出する企業に遵守義務を課し、CO2換算で年間10,000トン以上排出する事業体に報告義務を課す内容となっています。
さらに、この制度は、省庁間の気候変動委員会によって監督され、技術機関によってサポートされる予定だとか。滞りなく法律案が議会で承認されれば、政府は1〜2年以内に制度を実施するための規則を制定すると思われます。
ですので、本格的な取引開始は、4〜5年後くらいになるのでは。
短期目標年、2030年に間に合いますね。
ということで、この他アフリカや、オーストラリアの状況も、漏れ聞こえてきているところ、ボランタリーでも由として、「国全体の排出量削減」を達成できるETSにGX-ETSを育てていきたいものです。
かく言う私も参画してますから、内外からのフィードバックを真摯に受け止めながら、確実な成果を出していければと思っています。
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