23年6月 待望のCoP公開へ
「高品質なクレジット」とは何ぞや?
ボランタリーかコンプライアンスに関わらず、カーボン・クレジット周りでは、その存続に関わる重大なイシューとして議論されているところ。
その品質、創り方については、ICVCMによる「Core Carbon Principles:CCP」、使い方、開示方法については、VCMIによる「Claims Code of Practice:CoP」が共通ルールになるべく、鋭意開発中でした。
そして、ICVCMは昨年「Core Carbon Principles」のドラフトを発表、コンサルテーションを経て、先月満を持して公開したことは既にお伝えしました。
他方、VCMIも同様に昨年ドラフトを発表、コンサルテーションを実施しており、ファイナライズが待たれているところですが、先日、タイムラインが公開されました。それによると、2段階に分かれるようです。
6月にリリースされる暫定版「an operable Claims Code of Practice」は、コードの中核となる要素のみですが、クレジットの活用を既に進めている企業が開示の基盤を構築するために利用可能なものになるとのこと。
中核要素としては、組織がパリ協定と整合的となるために必要な基本的基準に関するガイダンスが含まれる予定とのことで、SBTiのNet-Zero Standard認証や中間目標設定及び公表、気候移行計画あるいは気候行動計画、戦略等を公的に開示することなどが含まれるようです。
11月の完成版では、さらに、ユーザー情報、テンプレート、ガイダンスなどを提供する多数の追加モジュールが含まれるとしています。そして、この完成版のリリースを受けて、企業は、コードを使用してVCMIクレームを公表できるようになるとのこと。
なので、既にカーボン・クレジットの利活用実績がある企業は、6月にリリースされたコードで事前準備が可能であり、11月を待って即時公表できる体制をとっておくことができるのですね。
6月発表のコア要素に変更は無いものの、追加モジュールは「高品質なクレジット」の活用を企業が促進するために役立つものになるとしているものの、詳細な内容はリリース時まで分からないみたいです。
なお、11月以降も後続のモジュールを開発するとしており、そのインプットを得るための「ステークホルダーフォーラム」を開催する予定らしいです。常に、マーケットと相談しながらブラッシュアップしていこうという姿勢、非常に好感が持てますね。
加えて、個人的には「Working in collaboration」という方針にも共感。
ICVCMを含む他のクレジットの基準、規格を開発するイニシアチブ、さらにSBTiとも緊密に連携しているとしています。やはり、開示ルールと同様「Interoperability」が世界の潮流でしょう。
これまで、残念ながら「高品質」でないクレジットも生み出されていたことは事実でしょう。メディアとプログラムオーナーとの論争も繰り返されてきました。その終止符が打たれるでしょうか?
ボランタリークレジットの草分けであるVerraは、ウォッシュを回避しつつも申請のストリームライン化を目指して、衛星を活用したDMRVのパイロット事業を開始しています。
ウォッシュ批判を受け、Verraにクレジット申請するハードルが非常に高くなっているところですから、この事業が成功裏に終了し、信頼性を担保しながらも簡便に創生できる環境が構築されることを期待しましょう。