クレジットを安心して購入したい
これまで、何度か、クレジットが一般の商品になってきたという話を、noteでご案内してきました。
ここで、クレジットの普及へ向けて、開発・導入されているサービスをまとめておこうと思います。具体的には、次の5つかなと。
それぞれ説明していきますね。
「1.レーティング」はクレジットの「格付会社」。
例えば、「BeZero Carbon」が挙げられます。
株式と同じで、詳細な情報を入手するには契約が必要ですが、後ほど説明するACXとコラボしていているので、ACXが毎週リリースするレポートにおいて、その週の格付変動のアップデートが掲載されています。
レーティングは、そのプロジェクトが吸収除去/削減回避している可能性及びクレジットが発行される確からしさをランキングしたものですので、購入する場合の判断材料になりますね。
「2.認証」の代表例は、ICVCMの「CCP認証(CCPラベル)」でしょう。
Core Carbon Principles(CCPs)に合致しているか否かを、プログラムレベル(CCP-Eligible)とカテゴリーレベル(CCP-Approved)で認証します。詳しくは、こちらを参照下さい。
認証を申請するのは、いわゆるボラクレ。
VCSやGS、ACR、CARなど、皆さんも馴染み深いでしょう。
このような、クレジットのスキームオーナーは、登録申請のあったプロジェクト全てを審査した上で登録し、実施期間後、発行申請があれば、再度審査した上で、不備が無ければ、クレジットを発行します。
登録申請時及び発行申請時、いずれも、申請前に第三者検証機関による、「有効化審査(Validation)」及び「実績確認(Verification)」を受けることが義務付けられているため、発行されたクレジットは、格付やラベルがなくても「高品質なクレジット」ではあるはずです。
なので、ウォッシュとは無縁のハズなのですが、そうではないのが、現実ではあります。なので、「お墨付き」を得ようと、スキームオーナーは、こぞってい申請しました。
なお、「ボラクレ」の中でも、ETSにおいて使用可能とされているものもあります。その段階で「Voluntary」ではなく「Compulsory」になっており、Complianceを遵守するために使われるという意味において「コンプライアンス クレジット」と呼ばれたりもします。
なので、そのようなETSも、「認証」と言ってよいと思います。
その代表例が、国際民間航空機関(ICAO)が実施しているETSのしくみである「CORSIA」です。
ICAOは、Technical Advisory Body (TAB)という組織が審査を行い、可否判断を行います。めでたく合格すれば「Eligible Emissions Units」として公表されます。CCP認証と同じく、多数のボラクレ、コンクレが申請しています。
ちなみに、J-クレジットも申請していますが、何度も門前払いされてます。
「3.保険」は、今ホットなビジネスとなっています。
クレジットが発行される前から、発行された後。補填されるのも、現金だけでなく、クレジットそのもの(現物)だったりと、様々。
これについては、2回に亘ってご案内しております。
詳しくは、こちらをどうぞ。
「4.市場」は読んで字の如くですが、急激にプレゼンスを上げてきたのは、全てウェブ上で完結するマーケット(OTA:over the air)です。
代表例は、シンガポールを拠点とするACX。
こちらも、何度か紹介していますので、耳馴染みのある方も多いのでは?
BeZero Carbonのところでも紹介した「Environmental Markets Watch Report」には、その週の値動きが掲載されます。
ボラクレ、コンクレ市場の動向に関するブリーフィングもありますので、BeZero Carbonの格付と併せて、レビューするのに最適です。
以上のような、4つのサービスが利用可能となっているので、クレジットを安心して購入できる条件が、整ってきたと言えるでしょう。
そこに追加して「5.インフルエンサー」です。
1〜4が「理性」に訴えるものであったのに対し、これは「感性(感情)」に訴えるものとでも言いましょうか。
まぁ、B to Bの場合はあり得ないでしょうが、 B to Cでは事情が違います。
これから、個人が購入するようになれば、購買行動も変わってきます。
こう思うようになったきっかけは、「Apple」でした。
Apple Watch の一部商品については「Carbon neutral」を達成したとし、その商品にラベリングをしたのです。
アップル信者ならずとも、「アップルがやっているのだから、よいことなのだろう」「アップルが言っているのだから、間違い無い」こうなっても、おかしくはありません。
今後、クレジットが特殊な商品でなく、一般的な商品、コモディティ化していくのであれば、「インフルエンサー」の威力が増していくのは必至。
ここに「危機を機会に変える」ポイントが潜んでいるかもしれません。
クレジットのエバンジェリストとして、市場動向を今後もウォッチしつつ、「Foresight」を提供していきたいと思います。