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ESGに対する考察(1)

高品質なクレジットが果たすべき役割として、SBTiが「BVCM(Beyond Value Chain Mitigation)」のためのツールであると、Net-Zero Standardにおいて整理したのは、極めて適切であると考えています。

2021年10月のリリース当初は、とはいえ「高品質」とはどうあるべきかが明確ではなかったところ、統一ルールと目されるICVCMの「CCPs(Core Carbon Principles)」がリリースされ、厳しい条件ながらも、目標は明らかになりました。

BVCMとしての役割を果たしていることの開示についても、VCMIが「CCP(Code of Practice)」を公表、これまた高いハードルではありますが、安心して利用できる環境は整えられつつあると言って良いでしょう。

このようなクレジット周りの環境が構築され、認知が進んだこともあり、調査会社のSylveraと and カーボンクレジット投資会社Pachamaがリリースした「2023 Carbon Market Trend Report」によると、2022年の無効化量は1億8,400万件と 好調を維持し、2023年には記録を更新する勢いとのこと。

デロイトの「2023 Global Chief Procurement Officer Survey」によると、ESGは世界中の調達担当役員にとって重要な焦点となっており、最優先事項の第2位にランクされ、2021年の前回調査の第7位から上昇したとのこと。

「世界的に企業が様々な持続可能性要因の管理と報告を求める規制やステークホルダーからの圧力に直面しているためであり、こうしたイニシアティブの焦点がますます企業のバリューチェーンに向けられ、上流のサプライチェーンにおけるスコープ3排出や人権などの要因が対象とされるようになっているため」としています。

このように、カーボンクレジット市場が活況を呈してくれば、BVCMを目的としないマネーが入り込んでくるのも致し方ないところ。ほどなく「グリーンウォッシュ」が暗躍してくるところと相成りました。

ですので、まず起こるのが、ESGファンドに対する直接規制。
定期的な開示要請などが、代表的ですね。
先進国だけでなく、インドのような新興国でも同様の動きが起こります。
まぁ、投資の受け入れ先ですからね。

ですが、そのやり方も巧妙になるというところで、一般の投資家では手に負えない状態になってきたのも事実。性善説に基づいた規制ですから、限度があります。

そこに、「格付機関」「環境インデックス」が稼ぎ時とばかりに、活発な動きを見せ始めます。面目躍如といったところでしょうか。

欧州の市場インフラ・プロバイダーであるユーロネクストは本日、パリ協定の1.5℃目標に沿った気候目標を科学的根拠に基づく目標イニシアチブ(SBTi)によって承認された企業のみを対象とする2つの新しいインデックスを発表しました。

スタートアップも気を吐きます。「質の高いプロジェクトと低いプロジェクトを区別できず、プロジェクトの有効性を評価するためのデータが不十分であったり、一貫性がなかったりするなど、一連の課題に直面している」として、前述のSylveraが、シリーズBで5700万ドルの調達を成功させました。

他方、十分その職務を果たさない「格付機関」が出現するのも致し方ないところ。
ですので、投資家保護を目的に「格付機関」に対する規制を強める動きが、にわかに起こり始めました。

そちらについては、次回お届けしようと思います。
よろしくお付き合いください。




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