『響き合う太鼓』Dah-Dah-Dah-Dah-Dah-Sko-Dah-Dah
今回の空耳図書館映像の音楽は、実は私がひとりマイクの前で太鼓を演奏しています。賢治は祭りや太鼓が大好きで、詩集『春と修羅』に収めた「原体剣舞連」でも「Dah-dah-dah-dah-dah-sko-dah-dah」とオノマトペで太鼓の音を現しています。リンクの映像は、賢治とも縁の深い花巻農業高校の『獅子踊り』。賢治の童話を思わせる中盤のストーリーある振り付けや歌もですが、太鼓が非常に格好いい。原体剣舞連も連によって個性があり、賢治がきいたであろう花巻は力強いです。
さらに太平洋を渡った北米大陸のネイティブ・アメリカン(ナバホ族やホピ族)の太鼓を聴いてみると、岩手のの太鼓と溶け合うようなリズムが聞こえてきます。興味深いことに、見田宗介『宮沢賢治 存在の祭りの中へ』には、来日したネイティブアメリカンが賢治の作品に強く惹かれ、中でも『獅子踊りのはじまり』が彼らに深い共感を与えたエピソードが出てきます。太鼓だけでなく、海を挟んで魂が響き合うようです。
今回は岩手と北アメリカ、そして歌舞伎のお囃子「序」のパターンを組み合わせたサウンドスケープを、メンバーたちの声と共に合わせました(クッキー缶も叩いています)。祭り太鼓の雰囲気を出したくて、敢えて音をずらして時間差を出しています。ひとつひとつのパターンは簡単なので、カプカプ祭りのように誰もが気軽に参加できる祭り太鼓になっていればいいのですが。。緊急事態宣言下、ひとりマイクの前で太鼓を叩く日々はなかなかの虚無感もありました(苦笑)。4月にはメンバーが全員集合して、『春と修羅の祭典』が密かに計画されています。
○本編映像もぜひご覧ください!
空耳図書館のはるやすみ2021
『宮沢賢治の心象スケッチ 春と修羅 序〜わたくしといふ現象は』
https://youtu.be/52qBhZJyTHo
『コロナ時代の“新しい音楽のかたち”を思考実験する②空耳図書館の活動を中心に』文化庁文化芸術活動の支援事業(ササマユウコの音楽活動)