私的コロナ時代の記録⑤
【記録⑤5月17日】
歯医者で始まる1週間は気が重い。既に2回も会っているはずの先生の顔が未だにわからない。近未来的で物々しいVRメガネ?を装着していて、こちらもすぐに口以外の顔面を覆われてしまうからだ。声の感じから若い男性で、いかにも理系の言葉遣いはフレンドリーすぎる医者より信頼感が沸く。複雑な処置ほど嬉々として取り組んでいる雰囲気から、この仕事が好きできっとゲーム感覚なんだろうなと思う。こちらは心身を切り離し、ひたすらモノになる。いつも『未来世紀ブラジル』を思い出す。「歯を縦に割って柱を二本立てました」と長めの治療の後にさらりと言われる。被せ物が取れてしまった奥歯が下駄の歯のようになっていて関心する。ストレスや疲れが溜まるとすぐに弱る歯だ。そういえば個人的な感覚では1週間の始まりは月曜日だが、最近のカレンダーの多くは日曜始まりなのはなぜだろう。
自分の寿命よりも洗濯機の寿命の方が気がかりな老親を見ていると、普通の人はなかなか人生の本質と向き合えないのだなと思う。ハイリスク者にも関わらず、コロナ前と変わらない行動を取ろうとする二人はだから長い時間を生きれるのだとも思う。「死ぬまで元気」とはどういうことか。30代で死にかけたことがある自分にはずっと余生のような感覚がある。80代より老成しているのかも。
1週間、必要至急の家電に振り回された。あろうことか洗濯機に続きエアコンも返品。我が家だけでなく、世の中が大混乱している。朝からかけ続けたコールセンターが繋がったのは昼下がり。電話口のかぼそい女性の声も泣きそうだった。聞けば返品作業だけで大混雑、手続きに2週間かかるという。世の中の家電が壊れまくっているのだろうか。なぜこんなにも返品が続くのか会社側も考えた方がいいと思う。一日中電話をかけていたせいで、翌日は首回りが筋肉痛。
今年度は活動助成の目処が立たないし、なんだかんだ物入りなので、週末に東京都アートにエールへ申し込む。しかしネットはすでにパンク。やっと申し込めた時には10000番越えていた。たしか4000人先着順ではなかったか。まったく通る気がしない。だいたい3分から30分という動画を「作品」と考えたら製作費で赤字になる。スマホ1台の動画でキャリアが台無しになる人もいるだろう。対象にする芸術の幅も広すぎる。何よりプロの定義がよくわからない。あまり良い企画ではないし、参加したことが黒歴史にならなければいいなと思う。ただこれで通らなくても動画は作るつもり。
音楽配信、この1週間のリスナーを見ると南米から北欧まで本当に幅広い。コロナ犠牲者が多い国ほど多い。10年間放っておいたが、やはり作品に対して無責任だと感じて簡単な英語版のFBをつくる。