【死者から祖先への道】バリ流の死後
Om swastyastu!
サリです。
生きることもさることながら
死んだあとも
日本のソレとは異なる信仰を持つ
バリ島。
あえて、
ヒンズーと言わず「バリ島」。
日本だと、
亡くなった個人ごとに
お葬式・火葬して
「仏さん」になる。
三途の川を渡るとか
49日を経て成仏するとか
にわかに思い出した
各家庭の宗教により
法要の呼び方や方法は変わってきますが、
概ね日本ではなくなった個人を
「仏さん」
と呼ぶのは
どの宗教で葬儀を出すかによって
あまり変わらないようです。
キリスト教式に故人を見送ろうが
神道で故人を見送ろうが
「仏さん」。
宗教というより
日本の慣習なんやろうな。
さて、ではバリ島での「死者儀礼」は
どう在るのか、
サリ調べをご紹介します^ ^
バリ島では、
「仏さん」にならずに
「祖先」になってゆきます。
この考え方を元にすると、
あちらへ見送るというより
こちらへ帰ってくる、という信仰で
故人の魂は導かれていきます。
ここ、日本とめっちゃ違う!
(日本で故人の魂が帰ってくるのはお盆だけやん、
概ね仏教徒の多い儀礼上も慣習上も。)
さて、バリ人の故人はどうやったら祖先になれるのか。
まとめると
「魂が清浄になったら」
です。
亡くなってから祖先になるまでのステップは
こんな感じ。
①別れの儀式
亡くなってすぐ。自宅で執り行う。
ご遺体へごあいさつなど、生前の姿とお別れ。
日本のお葬式に近しいのがこれ。
親戚縁者、友人知人が故人とお別れするのが
この期間です。
お供え物がたくさん用意されます。
魂は、人間の穢れを残した
「不浄」の状態。
②ご遺体の安置
よほどの王族や権力者でないと
実はすぐに火葬はしません。
共同火葬の日まで土葬でご遺体を
プラダラム併設の共同盆地に安置します。
ダサ(行政的村)やバンジャール(町内会)にもよりますが
火葬式の開催が
1年に1回のところもあれば
4〜5年に1回のところも。
故人の魂はまだ「不浄」。
③ガベン(火葬式)
ダサ単位に存在するプラ・ダラムで火葬式を
執り行う。
土葬していたご遺体を掘り返し、
ランブーという牛の形をした棺、
バデと呼ばれる多重塔型の山車(霊柩車に匹敵?)で
村のたくさんの人々に担がれて
火葬場へと運ばれます。
このガベン・パレードは
サリもスミニャックで遭遇したことあるけど
壮麗で圧巻!!!
共同火葬なら数百人のご遺体数になることも。
生まれてから死ぬまでにたくさんの儀礼を通過してくる
バリ人にとって
ガベンは人生最大で最後の儀礼。
このために借金をして立派な送り出しをするバリ人も
少なくないとか。
火葬は大がかりになるから費用もソレなり。
だから共同火葬なのですね・・・
これも日本にはなくて驚いたツボ。
4〜5年も土葬してると
ホネホネロックになっているご遺体も多く、
そういう時は故人ゆかりの品や思い出の品を
代わりに用意するんだとか。
参列する家族は絶対「正装」という決まり。
こうして一斉火葬されたご遺体の残り灰は
ココナツの器に大事に入れられて
次の儀式まで各家庭で保管されます。
ちなみにカーストの上流階級は
この儀式をガベンと呼ばずに
「プレボン」と呼ぶそうです。
王宮から寺院までのパレードは
観光の対象にもなっているほど壮麗。
経済的に許すので火葬も亡くなってすぐです。
勝手に土葬も火葬もできないのがバリ島。
全ては村主導で行われます。
(地域によっては風葬のところも残っているとか。)
ここでやっと
故人の魂が「清浄」になります。
でもまだ完全な「清浄」ではありません。
④ムムクル
保管しておいた故人の灰を、
高僧による聖水で清めて海に流したあと、
各家々にある各家庭の家寺サンガに迎え入れる。
(って簡単に書くけど、③と④の期間の開きは
聞くところによるとまあまあすごい。
20年とかの故人もフツーにおるとか。)
灰を聖水ティルタで清められ、
海へ送り出され、
聖なる山アグン山をはじめとして
島内の寺院を巡って戻ってきて
初めて「パーフェクトに清められた魂」と
されるんだとか。
キレイに浄化されきった魂でないと
サンガに戻って来れないらしいのです。
(バリ島のムスリムはムムクルには参加しないそうです)
ここでやっと、故人は「祖先」になります。
さらに「輪廻転生」の考え方がベースのバリ島では
祖先になった故人は各家々のサンガで
生まれ変わりを待つんだそうです。
生前の行いによって
同じ家族に生まれ変われるか否か
決まると言うバリ人もいて
「誰が見ていなくても
お天道様が見てますよ」っていう社会観は
この輪廻転生がベースにあるのかもしれないですね^ ^
まあしかし。
人が生まれてから成人するまでと
人が死んでから祖先になるまでが
だいたいおんなじ期間くらいかかるって
これまたすごい・・・・
何年かに1回しか行われない儀式もあるから
現地でこれらの儀式(特に③④)には
そうそう出くわすものでもありません。
コロナが収束して
また自由にバリ島へ行けるようになったら
現地で体感・研究したものを
お届けしたいものです。
それぞれの儀式ごとに
1つないし2つの記事にして伝えられそうな
それぞれの儀礼。
自然崇拝、祖先崇拝が根強いバリ島ならではの
独特な一面が見える、
バリヒンズーの死者儀礼でした!
Om shanti shanti shanti om.
更云サリ