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一番じゃなくてもいい。日常の中で自分なりに今できることを。 -いせえび荘 西村要さん-
conneは南九州市の空き家と移住の総合案内所です。こちらのnote『conne channel』では南九州市内で事業を営む地域の人や移住者として新しい取組に挑戦する人などを紹介し、まち・ひと・想いの見える化を進めていこうと思います。
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今回は頴娃町にある『いせえび荘』にお邪魔しました。専務の西村要さんは『NPO法人頴娃おこそ会』(以下;おこそ会)や『一般社団法人アソビシロ』でも地域の有志とともに活動しています。家業や活動を通した葛藤や、その中で見出した自身の役割などについて深掘りしました。
インタビュー・執筆・撮影:上 泰寿(ケアの編集者)
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丁寧なコミュニケーションから生まれる寛容性
頴娃町出身でご両親が『いせえび荘』を家業として営む環境で生まれ育った要さんは大学進学を機に長崎へ。「観光と地域」をテーマに4年間学び、そのまま長崎県内の食品関連の企業に就職することになります。そこでは経営者のサポートや新規事業の仕組みづくりなどに従事したといいます。
「入社して2年程は無力さを感じ、仕事を辞めたいと思うことが多かったです。ゼロから生み出す業務もあったので不安ばかりでした。3年目以降になると僕の動きを評価してくれる人も出てきて仕事に対するモチベーションも上がってきました。」
「社内のいろんな部署と連携して業務を進めていたので、関係性づくりは特に意識していました。時には無茶をお願いすることもあり、そんな時は丁寧に声かけなどをしてコミュニケーションをとるようにしていました。その経験は頴娃町で事業や活動をする上で非常に役立っています。」
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4年半勤務し、その後、カナダへのワーキングホリデーを10ヶ月間経て日本に帰国。そのまま、頴娃町へUターンし、家業へ合流することになります。
家業といっても全く未経験の世界。全ての業務を一通り経験するも、新社会人の時と同じように自身の無力さを感じたそうです。そんな要さんの心の支えとなったのが頴娃町へ移住した加藤潤さん(おこそ会のメンバー)でした。
「家業を手伝いつつ、おこそ会のメンバーとして活動していたのですが、潤さんの存在はとても大きかったです。相手の立場になって物事を考える姿勢もですし、地域や行政との巻き込み方も上手で、尊敬の眼差しで見ていました。」
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おこそ会と観光協会が連携した建てたば鐘竜のおとし子(2012年7月)
加藤潤さんは写真左上
いえせび荘に長年勤める従業員とのコミュニケーションから学ぶことも多かったのだとか。
「思うようにいかないことがあるとイライラしてしまうこともありました。でも、従業員の皆さんと話をしていると“こうあるべきだ!”ではなく、「意見を一旦受け止めること」「考え方・理屈よりも感情面のフォローから入ること」「その上で私目線、あなた目線、お客さん目線で一緒に考えること」を意識するようになったんです。まだまだ努力している状況ではありますが…。その中で学んだのは“楽しく仕事をすること”。それが従業員にもお客様にも伝わり、良い雰囲気で接客ができると感じました。」
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一番になれなくても、自分なりにできることを
現在、要さんはおこそ会の他にも『一般社団法人アソビシロ』の理事としても番所鼻公園といった公共空間の活用にも若手移住者とともに取り組んでいます。移住者と関わり、自身もUターンしてきた立場の中で感じてきたことを教えてくれました。
「普段の暮らしや人間関係といった外に見えにくいところのサポートが非常に大事です。移住先で新しく生活基盤を整え、日々楽しく過ごしていくのは時間がかかります。誰に相談すればいいのか。悩みをどう解決すればいいのか。些細なことでも耳を傾け、少しでもできることがあればサポートする。それだけでも移住者の皆さんの悩みは軽減されると思います。」
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メンバーたちとの集合写真
Uターン当初の要さんにとってどんな瞬間が幸せに感じたか。それはおこそ会の飲み会の中での出来事だったそうです。
「イベントやプロジェクトが終えた後の飲み会はとても楽しかったです。気持ちが上がれば、飲み会の時にどんどんアイデアや妄想が膨らんできます。小さなことでも集まってワイワイしながら飲んでいた瞬間は幸せでした。」
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絶景祭り2018 いせえび荘カフェにて作業する様子
その反面、周囲への劣等感といった苦しみについても教えてくれました。
「僕は昔から自信がないタイプなんです。それは今でも変わらないと思います。ありがたいことに頴娃には前向きで能力の高い移住者も増えてきています。そういう人たちの力を目の当たりにすると無力感を感じることもあります…。」
「その葛藤の中でも見出したのは、能力の高い仲間たちが手の届かないところをフォローし、彼らが少しでも力を発揮出るようにしていくことです。誰にだって苦しい瞬間はあります。そんな時に小さなことでも声かけなどして、気持ちが楽になってもらえるように動くのも一つの役割だと思っています。“頑張ってるね”“よくやってるね”でもいいんです。一番になれなくても、そういう人たちを支えようという意識も大事なんです。」
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遊びと余白を楽しむ
要さんが活動をする上での現在のテーマが「遊びと余白」。そこを踏まえつつ、今後地域の仲間たちと実現していきたいことは何なのか。それを最後に教えてくれました。
「遊びは楽しむ心を持つこと。余白は何事も受け入れる寛容性を持つこと。それらを持ち合わせることで、アイデアがどんどん生まれ、カタチになり、幸せだと感じる瞬間が増えると思うんです。」
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「今妄想しているのは公園内の竹の笹をチップ化して森に還すだったり、海岸清掃で拾ったゴミを違うモノに活用するなどを考えています。時には地域の先輩たちが子どもたちに自然の中で学びの教室をするのも面白いですよね。」
「そのために僕ができることは地域の皆さんと日々コミュニケーションを重ねること。信頼関係があるからこそできる温度感のある楽しい空間を外から来た人たちに体感してもらうことです。大変なことも多いですが、僕は誰かの役に立つ人を支えることが一つの喜びなんだと思います。」
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「自分なんて…」
そう思っている人は多いと感じています。取材者でもある私もその一人です。つい、自分より能力が高い人を見ると劣等感を感じ、苦しい気持ちになってしまう。そこから脱却するのは簡単なことではないと思います。
要さんも葛藤を繰り返し、今も見えない何かと闘っているように見えました。それでも、常に「一番になれなくても、自分にできることは何か?」と模索する姿勢を強く感じました。
その姿勢はきっとずっと同じ地域で暮らしている人にも移住者にも共通して響く何かがあるのではないか。一番だけが全てではない。二番でも三番でもいい。今の状況で、自分の能力でできることを見つけて、それを少しでもアクションするだけで誰かにためになっているのではないか。
普段見えない部分だけど、日常を暮らしていく中で大事なことを要さんから教えてもらった時間になりました。
<基本情報>
事業者名: いせえび荘
HP: https://iseebisou.jp
SNS:https://www.instagram.com/abcafe_iseebisou/
営業日:公式HPやSNSをご参考ください。
営業時間:
<食事>
昼食 11:30~14:00 夕食 17:00~19:00
<カフェ>
平日 11:00~15:00/LO
土日祝 11:00~16:00/LO
住所:鹿児島県南九州市頴娃町5202番地
TEL:0993-38-0160
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