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意思を曲げず一つひとつの決断を。次世代へ繋ぐ暮らしのバトン。-くらもと写真館 蔵元慎一さん-

conneは南九州市の空き家と移住の総合案内所です。こちらのnote『conne channel』では南九州市内で事業を営む地域の人や移住者として新しい取組に挑戦する人などを紹介し、まち・ひと・想いの見える化を進めていこうと思います。

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今回は知覧町で『くらもと写真館』を営みつつ、南九州市議として活動する蔵元慎一さんを訪ねました。地域に根づいた事業を展開しつつ、市議の視点でもまちをずっと支えてきた慎一さんだからこそ見えてきた自身の役割は何なのか。そこを中心に深掘りしました。

インタビュー・執筆・撮影:上 泰寿(ケアの編集者)

くらもと写真館 スタジオ内

一歩前へ進めるマメなコミュニケーションを

ご両親が知覧町で雑貨屋兼写真屋として営み、長男として生まれ育った慎一さん。高校卒業後は専門学校にて3年、鹿屋の写真館の元で3年、カメラの技術や知識を学んだといいます。鹿屋では住み込みで働き、ひたすら現場の下準備などのサポートをし、経験を積んだそうです。

24歳になり、家業へ合流。学校行事やお祝い事など、まちの至るところで撮影の仕事に追われる日々だったのだとか。そんな中、知人から青年団に誘われ、地域活動にも精力的に取り組みようになり、交友関係を広げていきました。

「それまで関わりのなかった異業種の方との交流が増えましたし、当時は青年団としてさまざまな事業をしていたので、それがきっかけで仕事の幅も広がりました。」

その中でも昭和52年に青年団内で発足した「劇団いぶき」の活動には、現在も関わっています。

「劇団いぶきは演出も音楽も舞台も自分たちで一から創作する活動を、今でも続けているのは素晴らしいことです。その他にも青年団主催で結婚式の企画等もしたりして、その段取りをしながら、本業であるカメラマンとして撮影の仕事もさせてもらいました。」

くらもと写真館 蔵元慎一さん

2003年。知覧町議選へ出馬し、当選。町議(合併後は市議)としても活動を展開することになります。きっかけは、周りの人から背中押しがあったから。政治は身近な存在でありつつ、本業とはかけ離れたものであったため、最初は躊躇いもあったそうです。

その数年後には平成の大合併もあり、南九州市へ再編(川辺町と頴娃町と合併)されることになります。当時の葛藤について教えてくれました。

「一つひとつの政策が大事な決断になってきます。だからこそ、どうやって物事をうまく進めていくか。物事を進めた先に市がどうなっていくのか。頭を悩まされることも多かったですが、地域や行政の皆さんとマメにコミュニケーションを重ねながら私なりにできることを常に考えてきました。」

「行政の皆さんは想いを持ちながら業務にあたってくださっていますが、組織の一員である以上、なかなか一歩踏み込めないことだってあります。そんな時に、少しでも前へ踏み込めるように情報提供や提案などをしてサポートしています。

写真館内には今まで撮影してきたまち人たちが展示されている

意思を曲げず決断し、選択肢を広げ、次の世代へ

慎一さんは市議として21年目。平成の大合併や新庁舎の建設など市として大きな決断を下さないといけない場面にも多く直面してきたと思います。そんな変遷を踏まえて、市議として大切にされていることを聞きました。

自分の意思を曲げないように心掛けています。いけると思うならGOサインを、ダメだと思うならそれなりの提案をする。私たちが曲がってしまったら、地域の皆さんに不安を与えてしまいますし、市政にも影響が出てきます。そこは市議としても、一事業者としても共通していることかもしれません。」

「今の時代、個々の価値観や生活スタイルがどんどん変化していると感じています。どうしても市単位や町単位だけで考えてしまうと、できることが限られてしまいます。どうしたらその選択肢が広がるのかを一緒に考えるのも私たちの役割だと思っています。」

取材時、知覧町内のPACBO(パクボ)にて
「くらもと写真館」で撮影された写真の展示会が開催されていた

日本中で過疎化が進み、南九州市も同様な状況です。30年後には人口が2万人を切ると予想され、その歯止めは難しいといわれています。そんな状況だからできる考え方があるのではないかと慎一さんは話します。

「当たり前に利用しているサービスや病院、公共交通機関といったものが無くなってしまう可能性があります。それはタイミングが違えど、どの自治体も同じ流れなのかもしれません。一つの自治体だけに留まらず、周辺の自治体同士で連携して情報やサービスを共有し合う必要もあると考えています。」

次の世代にどうバトンを繋いでいくか。そのバトンを受け継いでくれる人たちをどう育てていくか。考えないといけないことはたくさんあります。市民の代表として活動させていただいている以上は、自分の意思を明確に持ち、時代の変化に応じて地域や行政へ問いかけていかないといけないと思っています。」

市議を21年務めているとはいえ、その間に世の中も市の状況の変わり、その度に重い選択を求められたことも多いかと思います。

昔から培ってきた地域との信頼や断固たる意思があるからこそ、今の道を歩み続けてこられたんだと慎一さんの一つひとつの言葉から感じました。

できることに限りはあるかもしれない。それでも、今を未来を、諦めずに動き続ける人がまちの中にいる。そう思えただけで気持ちがとても楽になれた自分がいました。

<基本情報>
事業者名: くらもと写真館
HP: http://kuramoto-shashinkan.com
営業日:不定休
営業時間:8:30~18:30
住所:鹿児島県南九州市知覧町郡128-2
TEL:0993-83-2326

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お問い合わせ
CONNE運営事務局
(株式会社オコソコ内)
E-mail:conne.minamikyushu@gmail.com [蔵元]


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