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日々楽しくあれるまちの空間を、みんなでつくる -有限会社児玉ストアー 児玉晃一さん-

conneは南九州市の空き家と移住の総合案内所です。こちらのnote『conne channel』では南九州市内で事業を営む地域の人や移住者として新しい取組に挑戦する人などを紹介し、まち・ひと・想いの見える化を進めていこうと思います。

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今回は川辺町にてサラダ館川辺店を営む『有限会社児玉ストアー』代表取締役の児玉晃一さんにお話を聞きました。晃一さんは本業に加え、『一般社団法人DAYS』を立ち上げ、まちづくりの活動も展開しています。その背景や今後思い描く未来像にも迫りました。

インタビュー・執筆・撮影:上 泰寿(ケアの編集者)

児玉ストアーの外観

みんなでつくること

高校まで川辺で生まれ育ち、卒業を機に東京の大学へ進学した晃一さん。大学時代に運営していたイベント会社は、イベントの企画運営よりも人材派遣業務がメインになり2年で離脱、その後、様々なアルバイトに明け暮れる学生生活だったそうです。大学卒業後はアメリカへ3年間留学ならぬ遊学へ(勿論、勉学にも励みながら)。帰国後は、東京にてさまざまな職で経験を積んだといいます。

「大学時代に立ち上げた会社では、目的のために、仲間を集めて状況に合った動線をつくり、人の賑わいをつくることが中心でした。それは今川辺で活動しているまちづくりの原点のような気がしています。」

「帰国後、人生の未来予想図を描いてみたんです。たとえば、32歳で鹿児島へ戻る。40歳で事業を増やす。50歳で自分が好きな雰囲気のお店をつくる。そんなざっくりとした内容だったのですが、不思議と僕が歩んできた人生がほぼその通りになっているんです。それは全く意識した結果ではありません(笑)」

その後、未来予想図のとおり32歳で家業の『有限会社 児玉ストアー』へ合流することになります。

有限会社児玉ストアー 代表取締役
児玉晃一さん

家業を手伝いつつ、川辺町の青年部活動に参画し、仲間とともにまちを盛り上げる企画などにも熱が入る日々。その時間が地元に戻り「みんなでつくる」ということの楽しさを感じたきっかけだったそうです。38歳の時には今では川辺の伝統行事となる『玉入れ合戦』を誕生させたのだとか。

「当時、毎年開催していたマラソン大会があったのですが、いくつか課題点がありました。マラソン大会がつくってきた賑わいや伝統を守りつつ、運営側や出店者、参加者にとってどうすることがハッピーになるのか。それを考えた結果、玉入れ合戦を青年部の仲間たちと企画することにしたんです。もちろん、反対の声もありましたが、企画して今に至るまで毎年続けられていることは良かったと思います。」

しかし、日々の充実感や忙しさがありつつも、晃一さんの中には何か抜け落ちている感覚がずっとあったといいます。そして、2010年。あるイベントとの出会いが晃一さんの心を突き動かすきっかけとなったのです。それが『GOOD NEIGHBORS JAMBOREE』(以下:ジャンボリー)との出会いでした。

川辺の伝統行事 玉入れ合戦の様子
写真提供:児玉晃一

寛容さが生み出す楽しい空間づくり

ジャンボリーは東京と鹿児島で活動しているメンバーを中心に、地域や職種、立場を超えてつくる文化祭のような音楽フェス。それまで川辺や南九州市ではなかった新しい形式のイベントに感動しつつ、複雑な心境になったといいます。

“こんな都会っぽい祭りは俺には関係ない!”

“今までやってきた俺の活動はこのままでいいのか?今の状態でどこか満足している自分がいないか?”

そんな時、2018年のジャンボリーのサポーター募集を発見。サポーターとして、本番前日から本番、本場翌日の3日間を運営側と一緒に空間づくりに携わり、晃一さんの価値観を大きく変えた時間になったのです。

「空間にいる人たちがいかに楽しく過ごして帰ってもらえるか。そこを意識しながら、泥臭く大変な作業を運営側の皆さんが楽しそうな表情で進めていたのが印象に残っています。その空間にわずかでも仲間として携われたことはとてもいい経験になりました。まちづくりを真剣に考え始めたのはそこからです。」

GOOD NEIGHBORS JAMBOREE に参加した際の写真
写真提供:磯畑 弘樹さん

ジャンボリーを通した変化の一つとして寛容さが生まれてきたと話す晃一さん。

“正解は一つじゃない。それぞれの正解があって、それらが合わさったものをまちのみんなとつくっていきたい。”

そんな思いが芽生え、2019年から『開運 夢通りの夢博』(2021年から『かわなべ軒先市』に名称が変更)を開催しています。

「年に一度のペースで商店街の空き地や空き店舗を活用しています。ジャンボリーのサポーターの経験があってからは、心も体も無理をしないことを意識し、昨年は開催しませんでした。自分自身に対してもゆるくあれるようになったのも一つの成長だと思います。」

川辺で開催した『かわなべ 軒先市2023』フライヤー
写真提供:児玉晃一

まちに愛着を持ってもらえるような日常の積み重ねを

現在は児玉ストアーと並行して『一般社団法人DAYS』を立ち上げ、川辺町内の元スナック店元郵便局の活用にも乗り出しています。商店街のさまざまな分野の事業者と連携し、ジャンボリーのような新しいことが生まれる空間づくりを試行錯誤しているのだとか。他にも南九州市内の高校と『地域みらい留学』の取り組みも進めています。

「一般社団法人DAYSの由来は“日々楽しくありたい”という願いからです。その先に、子供たちが笑顔になり、将来地元に帰ってくる理由になると思っています。ありがたいことに川辺・知覧・頴娃はそれぞれ特色が違いますし、その良さを子供達に体験してもらえる空間づくりをしていきたいです。」

「まちで暮らしていて嬉しい瞬間の一つが友人や知人に会った時です。一度顔を合わせて話をすれば、その人のことをもっと知りたいし、知れば知るほど愛着が生まれてきます。だからこそ、世代問わず、いろんな人が混じり合う場は必要なんだと考えています。それは日常の一つ一つの積み重ねかなと。」

晃一さんが現在活用を模索している元スナック店の内観
一般社団法人DAYSとして元勝目郵便局の活用にも取り組んでいる

普段川辺で暮らす中で大事にしているのは「押しつけない」こと。それが自身にとっても暮らしやすいまちに繋がっているのではないかといいます。

「移住関係なく、自分たちに合った暮らし方ができるまちであってほしいです。元々あるものもですし、新しく生まれてきたものもぞれぞれの良さがあります。居心地が良いと思うものを選択し、生きていけるような雰囲気をさらに醸成していきたいです。」

「もちろん人によって地域に合う・合わないはあります。そして、一度住んだからといって、そこにずっとその土地で住み続けないといけないわけでもありません。だから、まずは気軽に南九州市の暮らしを体感してもらって、そこから次の選択肢をゆっくり決めていくことが一番良いと思います。」

誰にだって曲げられない信念や正義があります。でも、自分と違ったものを受け入れるのは決して簡単なことではありません。寛容性を身につけるのはとても大変なことだと思います。

今までと違った空間づくりに触れたことで世界が広がり、寛容性がついた晃一さんは“日々楽しくありたい”という強い思いと、子供たちが将来帰ってきたくなるために何ができるのかという問いと向き合い続けています。

そんな大人が一人いるだけで、どんなに楽しいまち(空間)が生まれるのか。それを想像するだけでワクワクする気持ちが止まらなくなりました。

<基本情報>
事業者名: 有限会社児玉ストアー
HP: https://www.instagram.com/saradakan_kawanabe/
営業時間:9:00~19:00
定休日:公式SNSをご参照ください
住所:南九州市川辺町平山6816
TEL:0993-56-0127

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お問い合わせ
CONNE運営事務局 (株式会社オコソコ内)
E-mail: conne.minamikyushu@gmail.com[蔵元・徳田]


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