ピラミッド原則 ③ピラミッドを組み立てる ~山﨑康司著『考える技術・書く技術』要約~
0.前回まで
この記事では、山﨑康司著『考える技術・書く技術 日本人のロジカルシンキング実践法』ダイヤモンド社を要約します。
この本では、ピラミッド原則を解説しています。ピラミッド原則とは、ライティングにおいて伝えるべきメッセ―ジを明快にし、説得力あるように組み立てるためのフレームワークです。
特徴としては、下記の通りです。
① 読み手起点であるため読み手を説得しやすい
② 伝えるべき主メッセージとその根拠で構成される論理的なピラミッドを作
③ ピラミッドをそのまま文章に落とし込める
下記のステップで考えを構成したあと、文章を書いていきます。
この記事では、3.ピラミッドを組み立てるの要約をします。
また、「書くプロセス」についてもまとめています。本来であれば、「書くプロセス」は記事を分けるべきでしょう(笑)しかし、気力と体力がなくなってきたため、さらっとこの記事で書いてしまいます…ロジカルな文書作成って難しいですね(笑)
「1.OPQ分析:読み手の疑問を明らかにする」では、文書を書く第一歩は「読み手を理解する」ことであると学びました。
「2.考えを形にする」では、ピラミッド原則は1つの主メッセージと複数の下部メッセージから構成されていることを理解しました。
1.ピラミッドを組み立てる ~帰納法と演繹法~
ロジカルなピラミッドを作るにあたって、帰納法と演繹法を用います。シンプルなロジックによりわかりやすい文書を作成することができます。
●帰納法
複数の要素から要約(結論)を導き出すロジック展開
※「2.考えを形にする」で用いたグループ化と要約メッセージの手法と同じ。
【ポイント】
・帰納法は「つなぎ言葉」でチェックする
各下部メッセージで同じつなぎ言葉が使われているか?をチェックすることによって、「同じ種類」の考え方か?がチェックできる
チェックのステップ
①「つなぎ言葉」を下部メッセージの冒頭に入れてみる
②声に出して読み上げる。上下の関係に違和感がないかチェック
③各下部メッセージで同じつなぎ言葉が使われているかチェック
※②がおかしい:メッセージ表現or上下のロジック関係がおかしい
※③がおかしい:グループ化がおかしい
●演繹法
絶対的に正しいことや、一般的に正しいと判断されること(前提)から、妥当と思われる結論を導くロジック展開
【ポイント】
・演繹法は「前提」をチェックする
「前提」のあとに「本当に正しいと言えるか?」と自らに問いかける。
演繹法を用いる際、前提に関する思い込みによって誤ったロジックを展開してしまうのはよくあること。
例)
<前提>
・わが社の経営方針は利益の最大化である
・大型車は小型車より利益率が高い
<結論>
・ゆえに、わが社は今後は大型車中心の開発体制をとる」
↓ 前提チェック!
<前提>
・わが社の経営方針は利益の最大化である
→「本当に正しいと言えるか?」
→「イエス。この方針に疑いの余地はない。」
・大型車は小型車より利益率が高い
→「本当に正しいと言えるか?」
→「正しいとは言い切れない。いくつかの仮定条件が必要。」
→仮定条件:「100万台売れれば~」、「ガソリンが1リットル100円以下なら~」
<結論>
・ゆえに、わが社は今後は大型車中心の開発体制をとる
以上が帰納法を演繹法を用いてピラミッド作成する方法でした。
2.ピラミッドを組み立てる ~ピラミッド作成のコツ~
本で紹介されているピラミッド作成の際のポイントをまとめます。
①1つの考えを短く明快に
ピラミッドの箱に記入するメッセージは短く明快にを心掛ける。
・主メッセージとキーラインを早めに決める
主メッセージを直接支持するメッセージを「キーライン」という。
いきなり細かい部分から作り始めると考えがまとまりづらいため、「大枠から詳細へ」を意識する。
・ピラミッド内で文書を書こうとしてはいけない
ピラミッド内に書くのは1つのメッセージ。あくまでも考えるプロセスと書くプロセスは別。
②縦と横の「二次元」を意識する
ロジックチェックがしやすくなる。
・縦の関係
ピラミッドは上から下へ「結論(要約)→根拠/説明」という縦の関係がある=論理の帰結。この関係が逆転していないかをチェックする。
※縦の関係のチェック方法
-帰納法:「つなぎ言葉」のチェックをする
-演繹法:前提は正しいか?のチェックをする
・横の関係
横の関係は論理づけである。
※横の関係のチェック方法
-帰納法:横に並んだメッセージが「同じ種類の考え」か?仲間外れはないか?のチェックをする
-演繹法:前提は正しいか?/前提文の主語がバトンタッチされているかのチェックをする
③1対1の関係に要注意
・下部メッセージは必ず複数になる。
・同じメッセージの繰り返しに注意する。
※"So What?"(それで何が言いたいの?)で確認。
※1対1の関係 例外「イメージによる説得」
・テーマによっては根拠を羅列するよりも、イメージを膨らませる工夫をした方がわかりやすいケースもある。
・数字的根拠がないために客観的な説明が難しい場合はイメージに訴えた方がよい。たとえば、組織風土や企業文化、ある人の能力・人柄を説明する場合に有効である。
・一つの事例を掘り下げて詳しく説明する。
※ピラミッドには直接記入しない、実線で結ばない。
3.書くプロセス
※本来であれば、「書くプロセス」については記事を分けるべきでしょう(笑)しかし、気力と体力がなくなってきたため、さらっとこの記事で書いてしまいます…
書くプロセスは考えるプロセスで作成したピラミッドをそのまま文書にする作業です。ピラミッド型のメッセージ構成を崩さず、そのまま構造が見えるよう文書で表現することが重要です。
●ピラミッドを文書に落とし込むときのポイント
メッセージごとの固まりが一目でわかるようにする
各メッセージ文を固まりの冒頭に配置する:「結論を先に述べる」
ピラミッドのメッセージをそのまま形にする
※ピラミッドのメッセージをうまく文書に置き換えられない場合は、ピラミッドに戻って考え直す。ロジックがおかしい、ピラミッド内のメッセージが絞り切れていないなどの問題がある。
●段落のポイント
メッセージごとに段落を作る(1段落1メッセージ)
段落の違い(メッセージの固まり)を明確に表現する
段落のメッセージ文を段落の冒頭に置く
段落がうまく書けない場合はピラミッドからやり直しとなります。
(補足:体裁)段落は「改行+大き目の行間」
●ロジカル接続詞
文と文をつなげるだけの「しりてが接続詞」ではなく、文と文の論理的関係を明らかにする「ロジカル接続詞」を使う。
例)この部署は若者がおらず、元気がない
→この部署は若者がいないために、元気がない
・メッセージ文章(冒頭に置く)において、「しりてが」は禁止
・メッセージを支持、説明する補足説明分にかぎり2~3つまで見逃し可
・考えるプロセス(ピラミッド)では「しりてが」は全面禁止
●導入文・目次・結び
導入部
・導入部はメッセージを述べるのではなく、読み手の関心をメッセージへと誘導する役割を担う。「その文書を書くことになった経緯の説明」を行う。
・OPQ分析に基づいて導入部を作成する。読み手の疑問を引き出すことで、ピラミッド外にいる読み手をピラミッドまで誘導できる。
・簡潔に。パラグラフ3つ以内に収める。必ずしもOPQすべてを用いる必要はない。
目次
・目次を見ただけでピラミッド構造が目に浮かぶようにする。
※あえて内容を匂わせない目次を用いる場合もある
結び
次のステップへ向けて読み手の確認・行動を促すために結びを付ける。
例)このご提案に合意いただけるならば、早急に…に取り掛かります
※結びの前には通常より大きめの行間を取る。(もしくは★★★で隔てる)
4.まとめ
この記事では、ピラミッド原則を用いて考え、書くステップの「3.ピラミッドを組み立てる」と「書くプロセス」をまとめました。
★「3.ピラミッドを組み立てる」まとめ
帰納法を演繹法でピラミッドを組み立てる
ピラミッドを作成するときは、①1つの考えを短く明快に、②上下のロジック関係を意識する。
★「書くプロセス」まとめ
ピラミッドのメッセージをそのまま文書にする。すなわち、1文書1メッセージ、1章1メッセージ、1段落1メッセージを徹底する。
各メッセージ文を固まりの冒頭に配置する:「結論を先に述べる」
「ロジカル接続詞」を用いる
★ピラミッド原則まとめ
文書を書くにあたっては読み手の理解が最重要。そのためにOPQ分析を行う。
ピラミッドは主メッセージとその根拠・説明をする下部メッセージから構成される。
-メッセージはグループ化を用いて要約メッセージへ変換する。
-主メッセージは一つに絞り切ることで明快かつ強力な印象を読み手に残す。
-ピラミッド内の箱には1つのみのメッセージ・文章が入る。
-「あいまい言葉」と「しりてが接続詞」は禁止。ピラミッドは帰納法と演繹法を用いてロジックを組み立てていく。
ピラミッドはそのまま文書に落とし込む。
【感想】この記事をまとめている時点ですでにピラミッド構造は破壊してしまいました(笑)私は昔からロジカルにかっこよく話すことが苦手なので、ちょっとずつピラミッドを意識していきたいです。
出典
山﨑康司著『考える技術・書く技術 日本人のロジカルシンキング実践法』ダイヤモンド社