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芹沢銈介没後40年記念展 型染 色と模様の翼
幼い頃から画家を志していた芹沢銈介。20代にはプロのデザイナーとして活動していましたが、30代に入り、師となる柳宗悦や沖縄の紅型に出会い、染色を志すようになります。1929(昭和4)年に34歳で染色家としてデビューし、翌年から型染を手がけ始めると、以後型染を中軸に据えて制作活動に打ち込み、豊かな作品世界を残していきます。デザイナーだった芹沢にとって型染は、全く新しい、可能性に満ちた世界でした。型染を新たな芸術のジャンルとして確立し、世界的に評価されるまでになった一方、量産を前提とした型染の特性を活かし、暮らしの中にも型染の魅力を広げました。
1984(昭和59)年に亡くなるまで半世紀以上に渡って型染を追求し、色と模様の翼で新しい美の開拓者としての生涯を生きた芹沢。没後40年を迎える今年、初期から最晩年までの代表作100点でその生涯の足跡をたどります。
芹沢銈介の作品がたっぷり楽しめる美術館。いつか静岡に行くことがあればぜひ行ってみたいと思っていて、やっと念願叶って訪問した。
伸びやかな図案と明快な色調はマティスの切り絵と通じるものがあるが、デザイナーの一面が強く、よりモチーフを俯瞰で見て、作品から感情が排除されているように感じる。とにかく構図がかっこいい。
「絵本どんきほうて」は日本人離れしたポップな色使いや線で、現代の作品と言われても不思議ではない。実物はネットや印刷物で見るよりも、「黄」「エメラルドグリーン」「オレンジ」の発色が明るく、かなり印象が異なる。
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展示品の中で一番印象に残ったのは、暖簾「打てや双手を文」(1975年)だった。師として仰いだ柳宗悦の「偈」の一首で、「両手を打って讃嘆できる気持ちを持ち、惚れたものを常に目前に見て双手(両手)を打って悦ぼう。そういうものを持つことによって人生輝くのである。」という意味が込められている。
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しなやかだけど力強い図案と言葉がみごとに合致していて、圧倒された。最近生活が単調に思え、どうにか変えなければと思っていたので、余計に心に沁みた。背筋が伸びる思いのするこの暖簾をずっと心に留めたい。