コラボレーション企画展川端龍子 vs. 高橋龍太郎コレクション ―会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・山口晃―_川端龍子じゃない方_鴻池朋子氏《ラ・プリマヴェーラ》
《ラ・プリマヴェーラ》線を重ねたハッチング技法がそこここに施された明るい色調の絵。
そこを飛び回る靴を履いた子供の足を持った蜜蜂たち。
人の足が生えてるのは蜂だけではない。よく見ると蝶もカメムシもてんとう虫も足が生えている。絵の中心に立っている子ども?(足だけが子どもの足だからそれが人間かどうかはわからない)の上半身から、竜巻が起きたように放たれていく無数の剣は、春の嵐のせいか?
剣は人間への警告か?
春は始まりの季節。
春に枯れる花は少ない。花は咲き始め、地上には様々な命が生まれてくる。
「人の命は地球より重い」とか、クソみたいなことを学校で教えられたが、その傲慢な言葉を払拭する彼女の絵は、生きている全ての動植物は対等だと言っている。だから花は生き生きと敬意を込めて克明に描写され、虫たちはみな人間の足に靴を履いている。おんなじなんだよと見せている。
隣の【百子図】の子どもの無邪気さと違う無心で、且つ、生きることへの貪欲さが描かれた彼女の絵からは全ての命への賛歌と人間の驕慢さへの戒めが感じられる。