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AIは本当に生産性を飛躍させるのか?ChatGPT o1 proを使い倒して考察
この週末、ChatGPT o1とo1 proを徹底的に比較しながら使ってみました。o1 proは月額200ドルと高額なので、それだけの価値があるのかを検証するのが目的です。
先日の記事でも書きましたが、それぞれの出力をAIに評価させたところ、o1 proの方がわずかに高得点でした。ただ、出力速度には大きな違いがあり、o1が数秒で回答するのに対し、o1 proは1分ほどかかります。
私の使い方では、正直なところ、そこまで大きな違いを感じませんでした。
たとえば、私自身のスキルレベルを60点とすると、o1が85点、o1 Proが95点くらいの感覚です。ただ、85点と95点の違いを、私の感覚では実感できませんでした(笑)
とはいえ、小説や書籍の執筆のように、非常に高精度なクオリティを求める場合や、大量のデータをインプット・アウトプットするようなケースでは、o1 proの優位性が発揮されるかもしれません。
現時点では、plusで十分かなと思い、元の契約プランに戻す予定です。
安価に使えるAIもどんどん出てきているので、AIも価格競争にていずれ淘汰されるところ残るところと選別されそうな気がします。
AIの進化とビジネスへのインパクト
話の切り口を変えますが、AIの進化は技術者としてもIT企業の経営者としても非常に興味深く、ワクワクするものです。しかし、実際のビジネスにおいて、AIが劇的に生産性を向上させる場面はどこにあるのか? という疑問が湧いてきます。
ユーザー視点では、AIはちょこちょこと便利なアシスタントのように機能し、業務をサポートしてくれます。秘書のようにいろいろとサポートしてくれるので大変助かる場面は多いです。
しかし、「AIによって劇的に生産性が向上したか?」と問われると、答えは曖昧です。効果を計測するのが難しく、「いくらかの効率化にはなった」というレベルにとどまっているのが現状ではないでしょうか。
試しに、AI自身にもこの疑問を投げかけてみました。
AIが実は生産性にそんなに影響しないという可能性はありますか?
以下AIの回答
可能性は十分にあります。AI(特に生成系AIなど)は社会や企業に様々なインパクトを与えうると期待されていますが、実際には「期待されたほど生産性が伸びない」あるいは「直ちに大きな生産性向上に結びつかない」シナリオがいくつか考えられます。以下に主な要因を挙げます。
1. 補完的な投資や組織変革の不足
新しいテクノロジーが導入されたとき、そのテクノロジー自体の性能だけで生産性が決まるわけではありません。たとえば、
組織体制・業務フローの再設計
AIを活用するには、従来の業務プロセスを抜本的に見直し、AIが得意とする作業と人間が担う作業とをうまく組み合わせる必要があります。しかし、そのための組織改革や業務フロー設計には手間やコストがかかり、大幅な投資を伴うこともしばしばです。人材育成と再教育の必要性
AIを使いこなすためには、データサイエンスやツールの使い方など新しいスキルの習得が不可欠です。人材育成のコストや時間を軽視すると、AI導入のメリットを最大化できず、生産性向上が限定的になることがあります。
こうした“補完投資”が不十分な場合、いくらAIを導入しても期待通りの生産性向上が得られない可能性があります。
2. 生産性向上が統計に現れにくい(測定の問題)
1980年代には「ソローのパラドックス」と呼ばれる有名な現象が指摘されました。コンピュータが普及しているのに生産性統計には明確な伸びが見られないというもので、AIでも同様の議論が再燃する可能性があります。
成果が分散してしまう
AIを活用することで企業内部の作業効率が高まったとしても、それが経済全体の生産性指標に明確に反映されるには時間がかかる場合があります。新しい価値が生まれても数値化しにくい
たとえばAIが創造的なインサイトを提供して新製品を生み出すなど、定量的には捉えにくい形で価値が創出されると、生産性統計への反映は遅れたり、明確に数値としては見えなかったりします。
3. すぐには置き換えられない領域が多い
AIの性能は日進月歩で向上している一方、依然として以下のような課題があります。
高い精度が必要な領域
医療や法務など、エラーが許されない領域ではAIの導入が慎重になるため、短期的にはあまり広がらない場合があります。複雑な意思決定や高度なコミュニケーションが必要な業務
現時点では、単純作業やパターン認識作業における自動化は進みやすいものの、人間が高度な判断を下すようなケースでは、AIに完全に置き換えるのは難しいです。
このように、すべての業務をAIが一気にカバーできるわけではなく、AIの得意とする領域で部分的に生産性が上がっても、他の要素がボトルネックとなり、全体としては思ったほど効果が伸びない可能性があります。
4. 導入コストや管理コストが増える
AIを導入すると、その運用や保守にかかるコスト、新しいソフトウェアやハードウェアのライセンス料、クラウドリソースなどの経費が増加することがあります。導入後しばらくは、新たな管理プロセスの構築や社員への教育にコストと時間がかかるため、短期的には生産性がむしろ下がることも起こりえます。
5. 将来的には効果があらわれる可能性も
一方で、歴史的に見れば電気やコンピュータなど「汎用技術(GPT: General Purpose Technology)」と呼ばれる大きな技術革新は、導入開始からある程度の時間が経ったのちに、生産性への貢献がはっきりしてくる傾向があります。
学習期間
AIツールが導入されても、多くの組織は適切な運用方法の模索や、AIが生成したアウトプットを業務のどの段階で活かすかといったノウハウを積み上げるのに時間がかかります。ノウハウ蓄積とパラダイムシフト
一度活用ノウハウが蓄積し、業界や社会全体で「AIを使った新しい業務の進め方」やビジネスモデルが確立すると、爆発的に生産性が伸びる可能性があります。
現時点では、「短期間で急激に生産性が向上するケース」と「期待の割に生産性統計上では目立った伸びが見られないケース」の両方が考えられます。したがって、
今は過渡期であり、現状では効果が十分に実感できない
必要な改革や投資が追いつかず、目に見えた生産性向上につながっていない
本格的な効果が出るのは、技術的成熟や社会・組織の変革が進んだもう少し先の段階
という見方が一般的です。
結論
「AIが思ったほど生産性を上げない可能性」は確かにあります。ただし、それはテクノロジーが過大評価されているというよりも、導入に必要な組織改革・人材育成・投資などが追いついていない、もしくは効果が生産性統計に明確に反映されるまでに時間がかかる、といった構造的な理由が大きいと言えます。
最終的には、AIを取り巻くエコシステムが成熟した段階で大きな生産性向上が見られる可能性が高いと考えられていますが、それが「いつ」「どの程度の規模」で現れるかは、現状まだ未知数な部分が残っています。
↑↑↑↑ここまでがAIの回答
AIに関しては、いろいろ試しておかないと後から取り返しがつかないほど置いて行かれてしまう可能性があるけど、今すぐにビジネスには直結しない可能性もあるというなんとも難しい状況です。
フルベットはできないけど、ある程度はベットしておかないとまずいと言ったところでしょうか。
日本では労働人口減少で働き手不足なので、AI活用は大いにフィットする可能性を秘めていると考えています。
どこにそれが活用できるのかを見つけて提案するのが、私たちの価値になる気がしています。