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「合成の誤謬」に学ぶビジネス成功の秘訣

「合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)」という言葉をご存じでしょうか?
これは、個々の要素が正しい、または良いと判断される場合でも、それらを全体として組み合わせると、必ずしも良い結果が得られない現象を指します。

今回は、この考え方を具体例とともに紹介し、ビジネスやプロジェクト管理にどのように活かせるかを考えてみたいと思います。


1. 個人の節約と経済の停滞

  • 事例: 景気が悪化した際、人々が個々に節約をすることは合理的な行動です。家計を守るために支出を抑えるのは理にかなっています。

  • 結果: しかし、多くの人が節約をすることで消費が減少し、企業の売上が落ち込みます。その結果、経済全体が停滞し、失業率が上昇するなどの悪影響が生じます。


2. 企業内の最適化と全体の非効率

  • 事例: ある部門が業務効率化のために外注コストを削減し、自部門の利益を増やそうとします。

  • 結果: 他の部門が外注サポートを受けられなくなり、プロジェクト進行が遅延したり品質が低下したりします。最終的に、会社全体の収益が悪化する結果に。


3. 交通渋滞と個人の選択

  • 事例: 移動を効率化するため、個々が車を選択する状況を想像してください。

  • 結果: 個人としては合理的な判断ですが、道路が渋滞し、全体の移動時間が増加します。


4. 投資市場での自己防衛行動

  • 事例: 市場の下落を恐れた投資家が、一斉に株を売却して損失回避を図ります。

  • 結果: これにより市場全体の下落が加速し、さらに大きな損失が生じます。


5. 学校でのテスト対策

  • 事例: 各教師が自分の科目の成績を上げようと、多くの宿題や予習・復習を生徒に課します。

  • 結果: 生徒は複数科目の課題で過剰な負担を抱え、学習効率が低下します。


システム開発やプロジェクト管理における「合成の誤謬」

このような「部分的に正しい判断が全体では逆効果を生む」現象は、ビジネスの現場にも多く見られます。

たとえば、特定の部署だけを効率化しても、他部署の業務負担が増えたり、全体で見て非効率になってしまうことがあります。これでは、システム導入の本来の目的が達成できません。

こうした問題を防ぐには、個々の最適化だけでなく、全体のシステムや相互作用を考慮する視点が必要です。プロジェクトを推進する際は、会社全体を俯瞰し、全体最適を目指すリーダーシップが求められます。


最後に

「合成の誤謬」というキーワードを意識することで、自社やプロジェクトの課題を新たな視点から見直すことができます。
ぜひ、部分最適にとらわれず、全体最適を目指してみてください。