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TechGALAで感じたアグリテックの可能性 ー 持続可能な食の未来とは?

2月4日~6日、名古屋で TechGALA Japan | 地球の未来を拓くテクノロジーの祭典 が開催されています。

私も2日目(2月5日)に参加し、新たな刺激を求めて気になるカンファレンスにいくつか参加してきました。その中で特に意外だったのが、「アグリテックが切り拓く持続可能な食の未来」 のセッションです。

なんと、会場は満席で立ち見の参加者も多数。これほどの人気を集めるとは予想していませんでした。

アグリテックへの注目度の高さ

このセッションのモデレーターを務めていたのは、TechGALAのダイヤモンドスポンサーでもある三菱UFJ銀行の 内藤氏(産業リサーチ&プロデュース部長)

彼らが取り組む Food-X Project では、MUFGグループ全体が 食糧問題の解決食のポテンシャルを引き出す取り組み に力を入れているそうです。
ただし、セッションがこれほどの人気だったのは、三菱UFJ銀行の影響なのか、それとも純粋にアグリテックが注目されているのかは判断が難しいところです。

日本の農業が抱える課題

日本の農業には多くの課題があります。

  • 農業従事者の減少

  • 労働生産性の低さ(他国と比較して低水準)

  • スマート農業の普及の遅れ

これらの課題に対して、アグリテックはどのような変革をもたらすのでしょうか?

アグリテックがもたらす変革

アグリテックが可能にするのは、次のような技術革新です。

  • 農業資材の改良:土壌改良、新資材の開発、有機肥料の導入

  • 自動化・機械化:ロボットやスマート農機による効率化

  • AI活用:データ計測・蓄積による収量向上

これにより、従来の 「気合と根性」に頼った農業からの脱却 を目指しています。

「気合と根性の農業」を変えるには?

セッション内では、農業に変革をもたらそうとする事例が紹介されました。

例えば、知多市で農場を運営する 豊吉氏 は、農業大学で学びながら、 自ら農場を持ち実践することが解決策 だと考えています。

また、食糧生産におけるCO2排出量削減 も大きな課題です。

農業の未来に必要なもの

現場での取り組みを進める上で、特に必要とされるのが お金と土地 です。

  • 1ヘクタールの農場で有機栽培を行いたい

  • 資金は20〜30億円くらい欲しい

  • 10ヘクタール規模の平地はなかなか見つからない

さらに、農業プロジェクトを進める上での課題として、以下の点が挙げられました。

1. 地域に根ざした人材確保

農業は一次産業であり、 場所に依存する産業 です。そのため、地域で人材を確保することが不可欠ですが、人材採用が難しいのが現状です。

2. 農地の集約化

  • 日本の農地は細かく分かれており、 農機具の出し入れだけでも一苦労

  • 良い農地は取り合いになりがち

ただし、農地が集約されれば、 農業に挑戦したい人は多い との意見もありました。

3. 農業従事者の減少は必ずしも悪いことではない

農業従事者が減ること自体を 悲観的に捉える必要はない という考えも示されました。

むしろ、農地をやりたい人に集約することが重要 だという視点は、新たな農業の形を示唆しています。

持続可能な食の未来へ

持続可能な食の未来のためには、以下のような取り組みが求められています。

  • ハウス栽培の可能性:天候に左右されない農業へ

  • 全自動化の推進

  • 化学肥料に依存しない農法の開発(現在の化学肥料の原料は100%輸入)

  • 選択肢を増やすこと

    • 輸入先国との良好な関係構築

    • 土壌汚染問題へのアプローチ

他産業との連携が鍵

農業を発展させるには、他産業との連携 も欠かせません。

  • 飲料・食品メーカーとの協力

  • カーボンクレジットの活用

  • 宇宙での食料生産システムの開発(投資が集まりやすい分野)

また、バイオ技術と農業の融合にも期待が寄せられています。

まとめ:アグリテックが切り拓く未来

TechGALAのセッションを通じて、アグリテックの可能性と日本の農業が抱える課題が改めて浮き彫りになりました。

持続可能な食の未来を実現するには、農業のスマート化・自動化・集約化を進めつつ、他産業との連携を強化すること が不可欠です。

「気合と根性」だけでは乗り越えられない時代。
これからの農業は、テクノロジーと新たな発想によって、大きく変わろうとしています。