気持ちが落ち込んでも誰かの為に作る-ペットロスから立ち直る-
作って食べることが安心に繋がる
先日SNSで流れてきた土井善晴さんのCM。
「食材を触る、作って食べることが安心に繋がる」
食材に触れること、何も傷つけることがない。
今のわたしに、グッとくる言葉でした。
愛猫を亡くしました
我が家には猫が2匹いまして、とっても可愛がっていました。どちらも保護猫で大人になってから縁があってやってきました。
ちっちとどてちん
どてちんは立ち耳茶色のハチワレの純血のスコティッシュ(写真左)、ペットショップ出身ですが元飼い主さんの事情により我が家にやってきました。もう1匹は、大阪の酒場で保護されたちっち、スコティッシュの特徴でもある、耳折れの楕円形の顔、短い足のちっち(写真右)。動物愛護団体さんに保護されたため、正確な品種も年齢もわかりません。
2匹をほぼ同時期に迎えて6年半、我が家で暮らしました。とくにちっちは、わたしによく懐いて、毎日枕を奪いわたしが争奪戦に勝つとわたしの顔の上で寝て息苦しさで起きるという日々でした。
早朝からごはんをねだり、お皿に入れられるのを待ちきれずフードケースから直接食べるというけしからん女の子、帰りは玄関に走り寄り、足にまとわりつくかわいい子。
その前日もその日の朝も全く同じでした。
何ヶ月もずっと、ほとんど家とお店の往復で遠方に出かけることなんてなかったのにたまたま、この日は2泊3日の出張でした。朝一の飛行機に乗るために、早めにご飯をあげてあとは娘に託して出かけました。
娘もこの日は休みで4時間ほど外出して帰って来た時に横たわった、ちっちの姿を見たそうです。もう冷たくなっていました。
襲うペットロス
突然の訃報を聞いて、思考が停止し、頭を抱え、力が抜け、何が起きているのか把握するのに時間がかかりました。
出張の予定を変更して、なんとか家に着き、亡骸を見たときにはなぜ、わたしがいないこの日を選んだのか悔やみ、出来ることがなかったのか責めました。翌日お葬式をして家族で見送りました。
亡くなってから、一人でいるときは何も口にすることが出来ず、気力もなく、ぼんやりして、突然泣いて、全く仕事にならない完全なペットロスに陥りました。
誰かのために料理を作る
これまで職場では、製造に入ってくれているスタッフや作り手さん、時には取引さんも巻き込んでわたしがお店にいるときは、出来るだけお昼には賄いを作っていました。
どうしても、製造の際に出るロス品の無駄をなくす目的でもありますが、シェフだった父もお店の人たちのまかないを作ってみんなで食べ、一緒に働く人と食事をしてざっくばらんに仕事以外の話をして、そこには子どもだった私たち姉妹も、厨房の調理台を囲み食事をしたこともありました。
狙っていたかはわかりませんが、きっと円滑なコミュニケーションを取ることを大事にしていたのでしょう。わたしも、そうありたいと思って始めたことでした。
でも、この頃の私には。とても人の食事のことを気遣う余裕がなくて、ぼんやりしていたら、スタッフの一人が、「今日は、まかないないんですか。作ってくださいよ」と言い出しました。これとこの材料使って欲しいからと指示してきます。
「わかった、作るよ」
パンの切れ端でサンドイッチを作りました。
もう何度も何度も作って何も考えなくても作れる。
みんなでサンドイッチを食べる。
確かにちっちが亡くなったことは、悲しいし辛かったけど、誰かにご飯を作ることで自分も食べる。
みんなで食べることで少しずつ元気が戻っていく。
今はお葬式は葬儀場でやることが多くなりましたが、かつては、家で葬式をあげることが一般的でした。隣近所の人たちがご飯を作り、故人の家族に食事を食べさせる習慣がありました(※わたしの子どもの頃の記憶なので、岐阜の習慣かもしれません)。
誰かのために作る、家族を亡くした人たちのために食事を作って食べさせる。
地域の繋がりが希薄になった現代は、近所の人と料理をする機会も減っていますが、冠婚葬祭でみんなで食事を作ることはコミュニティを維持形成する他に、人が支え合って生きていく意味があったんだろうと思います。
食べることが活力になる。
まかない作ってよと言ってきたスタッフもきっと私が料理することが、活力になることをわかっていたんだろうな。感謝することばかりです。
まだまだ、悲しみから癒えないのですが、少しずつ元気を取り戻しています。
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