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ノイアーの語る「W杯予選やEUROへの意気込み、ドイツがGK大国である理由」

—— 以下、翻訳 (インタビュー記事全文)

マヌエル・ノイアーは、圧倒的多数で2020年の年間最優秀ドイツ代表選手に選出された。DFB.deの編集者シュテフェン・リュデケ氏とのインタビューの中で、35歳の世界的ゴールキーパーは、優れたスポーツイヤーを振り返り、ゴールキーパー大国としてのドイツや、ドイツ代表が欧州選手権でどこまで行けるのか、展望を語ってくれた。

DFB.de: ノイアーさん、2021年はどのような決意でスタートしましたか?

マヌエル・ノイアー:新しい年の節目は、少なくとも自分の行動や態度を見つめ直し、調整するという点では、僕にとってさほど大きな意味はない。だから、新年の決意と呼べるほどのものはないんだ。健康的に生活し、パフォーマンス向上のためにできることは何でもやり、ロールモデルとしての役割を果たすとともに、家族や友人のそばにいたいと思っている。しかし、それは人生の決意であり、新年に限った話ではないね。

DFB.de:2021年に期待することは?

ノイアー:まず第一に、おそらく全世界がいま抱いているであろう希望、つまりパンデミックをなんとか乗り越え、昔の慣れ親しんだ生活に戻ることだね。そうなった時には、命の価値をもっと人類が評価し、命の重要性に意識が高まることを願っている。個人的には、これからも健康でケガのないように、そして楽しくサッカーを続けていきたいと考えている。

DFB.de: 2021年は、代表選手としてのマヌエル・ノイアーにとって良いスタートを切ったように思います。ファンクラブとDFB.deのユーザーが、あなたを2020年の年間最優秀ドイツ代表選手に投票し、50%以上の票があなたを1位に選びました。多くの票があなたに流れたことに驚きはありましたか?

ノイアー:あらかじめ、どのような結果になるのかはあまり考えていなかった。ただ、実際は、オリバー・ビアホフ氏がよく言うように、常に代表選手であれということだ。ドイツ代表チームやクラブ、そしてプライベートでも。彼の言う通りだ。ファンは代表戦そのものだけでなく、代表選手のパフォーマンスをトータルで見ているのだと思う。だからこそ、FCバイエルンに所属する代表選手が選ばれる可能性が高かったのだと考えている。

DFB.de:あなたのこれまでの受賞歴は、非常に多岐に渡り、これでまた1つ増えましたね。世界最優秀ゴールキーパーであるあなたにとって、個人賞のうち最も大きな意味を持つものはどれですか?

ノイアー:僕の財団(マヌエル・ノイアーこども財団)の受賞もかなり大きな意味を持つが、スポーツでの受賞となると、そうだね、世界最優秀ゴールキーパーのタイトルに勝るものはないさ。このポジションで世界一になれるというのは、極めて大きな意味があるんだ。

DFB.de:2020年に自身5度目の世界最優秀ゴールキーパーを受賞しましたね。6度目の世界最優秀ゴールキーパーとなり、ひいては単独記録保持者になることは目標と言えますか。

ノイアー:これらの賞は決して目先の目標ではなく、そのパフォーマンスや成功の結果だ。僕の目標は、常に自分のパフォーマンスを高め、チームと共に成功を掴むことだ。代表チームで欧州選手権を戦い、昨年のようにバイエルンで成功を収めてこそ、世界最優秀ゴールキーパーの受賞が可能になるのだ。特に大きな大会が行われる年は、双方が揃わなければならない。つまり、代表チームやクラブレベルでの結果とともに、素晴らしいパフォーマンスも必要だということなんだ。

DFB.de:世界最優秀ゴールキーパー。こうしたタイトル獲得による試合への影響は? このような賞を受賞したことで、ストライカーの目にはどのように映るのでしょうか。

ノイアー:こうしたひとつひとつの賞がどれだけの因果があるかはわからないが、ストライカーとゴールキーパーとの一対一は、常にマインドゲームであることは明らかだ。選手の頭の中を覗くことができないので、僕と対峙した際に何を思うのかまでは判断できない。多くの場合、相手選手は僕を前にすると、何か特別なことをしなければならないと思うものだ、という話も聞く。とはいえ、それが事実なのかどうかはわからないね。

DFB.de:ちなみに、逆はどうですか?クリスティアーノ・ロナウドやリオネル・メッシが目の前に現れると、頭の中でうまく対処できるものでしょうか?「世界最高選手との対決か!」と思ったことはないですか? 「特別な対応が必要だ」などと思うことは?それとも、ゴールキーパーは自発的に動くのではなく、何かのアクションに反応することができるという、優位が働くのでしょうか?

ノイアー:基本的には、常にきちんと反応できる方が有利だ。それもまた、僕が追い求めていることだと言える。僕のオフェンシブな対応は、その動きによって、何か物事が左右されると考えている。だが、1対1の対決では違うんだ。クリスティアーノ・ロナウドが目の前に現れたら、もちろん彼の能力は知っているし、何ができるかも把握している。しかし、彼の肩書きや受賞歴によって、僕の行動が変わることなどないさ。僕が把握や準備をするのは、彼の能力に対してなんだ。

DFB.de:あなたは世界最優秀ゴールキーパーに選出されたほか、バイエルンのチームメイトであるロベルト・レヴァンドフスキは世界最優秀選手に選ばれました。これらのタイトルはお互いに何らかの関係があるものでしょうか?

ノイアー:関係があるとは、どういうこと?

DFB.de:つまり、日頃のトレーニングで、世界最優秀選手が世界最優秀ゴールキーパーを相手に、いかに突破するかを学んでいるためと言えるのでは、ということです。

ノイアー:基本的には、チームトレーニングであっても、世界のトッププレーヤーたちと競い合えるのは嬉しいね。FCバイエルンは、その点、かなり恵まれた環境にある。レヴィに関しては、僕らはお互いを抜きには語れない。そのため、彼がこのチームでプレーし、トレーニングで対峙できるのはとても嬉しいよ。練習で世界最高レベルの選手に挑戦できるのはいいことだと思う。僕にとって、トレーニングでの成果は、プレーにもハッキリと出るね。

DFB.de:2020年に多くのタイトルを獲得しただけでなく、あなたは、多くの称賛も浴びました。チャンピオンズリーグ決勝の後、当時のPSGのトーマス・トゥヘル監督は、あなたの素晴らしいパフォーマンスに関して「彼をゴール前に置くのは反則だ」と述べていましたね。それはほんの一例に過ぎません。こうしたコメントを、あなたはどのように受け止めていますか?

ノイアー:自分のことを知っている人からの褒め言葉が一番嬉しい。つまり、チームメイトや監督さ。一例とはいえ、トーマス・トゥヘルが、僕のことをこれほど高く評価してくれたのは嬉しいね。 とはいえ、もっと嬉しいのは、同僚そして監督からの称賛だ。だが、それも必ずしも言葉だけではない。監督やチームメイトの満足感を感じられるのは、総じて素晴らしいことだよ。僕のプレースタイルはリスクを承知で前に出るものだが、これは自分の能力に対する自信の上に成り立っている。そして、チームメイトへの信頼が、それを支えているのだ。

DFB.de. ネット上には、2020年のあなたのベストパフォーマンスが詰まった、さまざまな驚くほど長い動画がアップされています。 2020年のあなたのお気に入りの好プレーはありますか?

ノイアー:2020年は、多くの決勝トーナメントでの試合や決勝戦を戦い、接戦が続いていた。時には相手選手と一対一という場面もあったが、その時はなんとかチームのために踏ん張った。僕はこうしたシーンをポジティブな印象で覚えているが、僕が何よりも特に印象深いと思うシーンは、この中にはないね。

DFB.de. DFBポカール決勝のバイヤー・レバークーゼン戦で、あなたは、ロベルト・レヴァンドフスキの3-0のゴールに繋がったフィードを送りました。このプレーは、特別というわけではないのですか?

ノイアー:こうしたシーンは「トッププレーの一つ」だと言えるね。そして、こういったプレーが成功するかどうかは、常にボールの受け手にかかっている。純粋なゴールキーパーとしてのパフォーマンスであれば、一対一の場面でのセーブや対応を挙げたいね。その中でも、大会だからこそ、より重要性が高まるプレーがある。チャンピオンズリーグ決勝でのネイマールやムバッペへの対応もその一つだが、その前にも、準決勝のリヨン戦などで、そうしたシーンはあったね。

DFB.de:2020年には代表戦を4試合欠場しましたね。ドイツ代表の試合を観客として観戦しなければならないのは、どういう心境でしたか?

ノイアー:僕が常にプレーしたいと思っていることは、誰もが知っている。しかし、代表監督がチャンピオンズリーグ終了直後の各選手の負担を考慮してくれたことは正しい判断であり、重要なことだった。それでも、試合に出ていないことに違和感を覚えたよ。怪我で代表戦を欠場したことはこれまでも経験している。だが、本来ならプレーできる状態なのに試合に出ないというのは、異例のことだった。特に、キャプテンとしての責任を感じるね。

DFB.de:スペインでの試合を除く、2020年の代表戦を振り返ると、あなたは次の総括には賛同できますか?基本的に内容自体は良いし、スコアは不安定だったとはいえ、チームの成長そのものは正しく進んでいる。

ノイアー:そもそも、スペイン戦を外して考えることに問題がある。しかし、2020年を振り返ってみると、僕たちが一番苦労したのは、結果を残すことだった。試合に影を落とすような、終盤の失点が多かったね。基本的に、代表チームの立場からすると、この1年は簡単ではなかったと言える。最初は長い間、なかなか試合ができなかったが、その後、短期間で多くの試合を戦うことになった。練習は数回のみであった一方、若い選手たちがチームに加わることも多かった。今回見せた不安定さは、大きな驚きではなかった。とはいえ、この全体をよりポジティブに捉えることもできる。つまり、大会のある年でなくて良かった、ということだ。大会では、ネイションズリーグとは比較にならないほどの野心を持って臨む。代表監督は、多くの選手やフォーメーションを試すチャンスを得ることができた。2021年や、さらにその先の将来を考えると、これは非常に重要なことかもしれないね。

DFB.de: スペイン戦については、すでにさまざまなことが話題を呼びました。この試合であなたは、代表キャップ数96となり、これまでドイツ代表ゴールキーパーとして最多出場だったゼップ・マイヤー氏の記録を超えました。この意味でも、あなたにとって特別な試合となったと思います。ドイツ代表として歴代最多キャップのゴールキーパーであることに、どのような意味があると考えていますか?

ノイアー:僕にとっては、ゼップ・マイアーを超えたというのは何となく違和感がある。というのも、彼は僕にとって伝説のような人物であり、信じられないほどポジティブな人物なのだから。それは、ピッチ上でも、ピッチ外であってもね。彼とは連絡を取り合っており、試合前にはメッセージを送り合ったりもしているんだ。ドイツのために、何度もピッチに立てたことを僕は誇りに思う。これは素晴らしいことだ。また、それは、僕のキャリアに一定の継続性があることの証明でもあるだろう。また、これまでの道のりを共に支えてくれたすべての人たちに感謝しているよ。

DFB.de:代表デビュー戦から、この96試合目までの期間は、10年以上ですね。あなたは、2009年6月2日にドバイで行われた、UAE戦でデビューしました。その後の10年間で、世界チャンピオン、歴代最多出場GK、5度の世界最優秀GKに選出されました。もし当時そう予言されたら、どれほど本気で実現できる思ったのでしょうか?

ノイアー:きっと「その未来を受け入れるよ」と言っただろう(笑)。とはいえ、それが本当に実現できると思ったかどうかと言われれば、 — さあ、どうだろうね。当時の僕は、かなり思い上がってしまったかもしれないね。

DFB.de:この初の国際試合は、あなたが成長する過程の中で、どのような意味を持っていますか?代表デビュー戦の思い出は、何かありますか?

ノイアー:当時のことは、今でもよく覚えているさ。例えば、僕にとっては、試合前にアンセムが流れない唯一の国際試合だったんだ。首相がピッチに出てきて、みんなと握手をしてから試合は始まった。試合自体は7-2で勝利したとはいえ、僕にとっては課題が山積、といったところだったね。僕個人にとって、もちろん初の国際試合は大きな歴史の一つになった。その当時は、世界中を行き交っていたね。A代表の試合が終わると、U-21代表チームに合流し、その少し後には、スウェーデンで開催された欧州選手権で欧州チャンピオンになった。それ以降のさらなる成功は、すべてこのタイトルがキッカケだったと言っても、過言でないよ。

DFB.de:ドイツA代表として96試合に出場し、ゴールキーパー大国と言われるドイツにおいて、歴代最多出場ゴールキーパーとなりましたね。ドイツがゴールキーパー大国である所以は、どう説明できますか?

ノイアー:僕が思うに、それは歴史的な経緯から説明する必要があるね。1954年にはドイツがワールドカップで優勝を果たしたが、トニー・トゥレク氏は、その中で重要な役割を果たした。いつだって、常に手本となるロールモデルが存在し、そこから目標や刺激を得ることができたんだ。練習の仕方や、プレースタイルもね。昔は動画やソーシャルメディアもなかったが、今日では、世界中のゴールキーパーからヒントを得ることができる。地元には、お手本となる選手たちばかりがいた。そして、これら手本の選手たちが、とても優れたゴールキーパーであったことは、なお良かったと思う。

DFB.de:ロールモデルがその後継者を生み出す、ということですね。現在のドイツは、今後も優れたゴールキーパーを輩出していく土壌ができているということでしょうか?

ノイアー:状況は変わったね。例えば、南米の若いゴールキーパーが僕のプレーを素晴らしいと思えば、その背後の情報は、無理なく見つけられるだろう。トレーニング内容や、試合中の動き、体のためにしていること、などだ。ドイツのゴールキーパーは、もはやこれらを知る機会を独占することはできない。それは、かつて各国がどのようなスタイルのゴールキーパーを育成しようとしていたのか、という事実も映し出していたが、現在では、そうした違いはもはや存在しない、もしくは顕著ではないのだ。誰もが他の選手から学ぶことができ、世界中のゴールキーパーは皆、その恩恵を受けているね。

DFB.de: あなたのプレーは、あとどれほど向上の余地があると考えてますか?それとも、自身の今のレベルを維持しているだけなのでしょうか?

ノイアー:もちろん、さらなるプレーの向上は重要だ。さらに上達することを目標に、日々のトレーニングに臨んでいるよ。野心家であり、完璧主義者だ。そのため、満足することなどないさ。細かい点であっても、まだまだ改善できる部分がたくさん見えてきた。以前は『Eurogoals』を見てゴールキーパーの動きを分析するのが好きだったが、今は自分の試合を中心に分析をしている。飛び出しの際、自分のステップはどうなのか、相手と対峙した時の自分のポジションはどうなのか、などを見ている。僕にとって大切なのは、一つ一つのシーンを精査することで、将来のミスを回避できる結論を見出すことなんだ。

DFB.de:代表チームに関しては、2022年ワールドカップ予選として、アイスランド、ルーマニア、北マケドニアとの試合が3月に行われます。 これらの試合は、2021年の欧州選手権に向けて、非常に重要な試合であると思いますが、同感ですか?

ノイアー:もちろんだね。大会の前はいつもそうだ。これらの試合に真剣に臨むのはもちろんだが、夏に行われる欧州選手権の前哨戦としての意味合いもある。過密日程の関係で、こうしたチャンスはあまり多くはない。時間を無駄にするわけにはいかないため、毎回のトレーニングは、しっかりと集中し、最大限に活かさなければならない。

DFB.de: スペイン戦の0-6の敗戦を記憶から消すためにも、この3試合では、何を成し遂げなければならないのでしょうか?

ノイアー:非常にシンプルなことさ。良い試合をして、勝利することだ。決まり文句ではあるが、前を向かなければならない。あの一戦の、過去は変えられない。ワールドカップ予選と欧州選手権という、新たな大会が目前に迫っている。目の前には大きな課題があり、その大きな課題をチーム一丸となって解決していきたいと考えている。

DFB.de:欧州選手権での目標は?今のチームには、何ができると思いますか?

ノイアー:何だって可能だ。

DFB.de:何でも?

ノイアー:僕はポジティブな人間だ。自分たちを信じているし、欧州選手権で良い位置に付けるチャンスがあると信じている。

DFB.de:この大会で成功を収めるには、どのような要素が必要ですか?

ノイアー:大会では、チームのメンタリティや団結力がどれほど重要かを僕は知っている。僕や他の主力選手たちの役割は、繊細に気を配り、ネガティブな要素の芽が出れば、早期にそれを摘み取ることだ。欧州チャンピオンになるというのは、素晴らしい目標だね。今、僕たち一人一人の選手は、責任を持ち、全力を尽くしている。夏には最大限の活躍ができるようにね。

DFB.de:メンタリティは重要ですね。チームが欧州選手権で成功を勝ち取るために、他に何が必要なのでしょうか?

ノイアー:守備の安定が不可欠だ。ここ最近は失点が多かった。大会でそれは許されない。チームとしてはもっとコンパクトに、個々の選手同士の距離はもっと短することで、スペースをなくさなければならない。総合的に見ても、チームの安定感を高めるためにも、もっとコミュニケーションを密に取り、さらに互いに助け合うことが大切だ。そして、ここで重要なのは主力選手だけではない。また、経験の浅い選手もしっかりと自身の責任を果たし、もし彼らが誤った位置にいたり、視野の外で状況が変化していれば、他の選手たちはそれを指摘しなければならない。これらの分野で改善が図れれば、欧州選手権を良い形でスタートできる理由は十分にあるさ。

DFB.de:良い大会を迎えるために、代表チームは何が必要なのでしょうか?

ノイアー:僕にとっては、ランキングだけが唯一の絶対的なものというわけではない。チャンスを最大限に生かして、情熱や規律、喜びや熱意を持ってサッカーをすれば満足さ。そうすれば、かなり高いところまで行けるのではないだろうか。恐れる必要は何もない。

▼元記事
https://www.dfb.de/news/detail/manuel-neuer-ich-traue-uns-alles-zu-223450/


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