【シーズン開幕特集】選手たちを驚かせた、ナーゲルスマン監督の描くフォーメーションとは
—— 以下、翻訳 (ドイツ『シュポルト1』記事全文)
1週間後には、ユリアン・ナーゲルスマン監督がブンデスリーガでの公式戦デビューを迎える。初めての選手の選考が目前に迫っているのだ。
ユリアン・ナーゲルスマン監督は、ある布陣で驚きを与えた!
『シュポルト1』の得た情報によると、プレシーズン期間中、FCバイエルンの新監督が紙に書いた基本フォーメーションを見て、悪くないと感じた選手もいたようだ。
前任のハンジ・フリック(中盤にクラシカルなダブルボランチを配置)のときとは異なり、ナーゲルスマンの当面のシステムでは、4バックの前にクラシカルなアンカーを1枚のみ、その前の位置にはセンターハーフ2枚を置く形だ。
だが、さらに大きな特徴は、ウイングの位置だ。34歳の新監督は、理論上ではストライカーの前に置き、彼らの位置はかなり高い。そして、センターフォワードは、偽9番としてこの2人の後ろでプレーすることになる。
だが、試合中には、一見、4-3-3システムのようなクラシカルな配置になっている。サイドバックは攻撃的な姿勢が求められ、中央のセンターハーフ2人は、攻撃の起点となる重要なポジションを繰り返し取ることになる。
ナーゲルスマンのシステムにおける、レヴァンドフスキの役割とは
そして、ロベルト・レヴァンドフスキはどうなるのか?0:3で敗れたSSCナポリ戦では、前半の45分間、従来と同じくセンターフォワードとしてプレーしたが、際立っていたのが、しばしば非常に深い位置まで下りてくる場面もあったことだ。
この試合には、ポカールの対戦相手であるブレーマーSVの監督、ベンジャミン・エータもアリアンツ・アレーナを訪れていた。『シュポルト1』のポッドキャスト番組「Meine Bayern-Woche」で、彼はこう分析する。「レヴァンドフスキのプレー範囲は、エリア内だけではない。彼はとてもよくボールを繋ぎ、ボールを求めて動く。そのおかげで、セルジュ・ニャブリやレロイ・サネ、あるいは中盤の選手たちが何度も深い位置でプレーができる。これを守るのは厳しいね。というのも、センターバックは、レヴァンドフスキを厚めに対応しなければならないと考えるため、2人の選手が引き付けられてしまう事態も起こりうるからだ。」
ナーゲルスマン監督は、場当たり的なことはあまり好まないことで知られている。
ボルシア・メンヘングラッドバッハとのブンデスリーガ開幕戦を前に、細かな部分の指導、走り出しのコースの調整、そして正しくスペースを認識する目を養うことが、これからのトレーニングでの焦点となるだろう。
とりわけ、ポカールは試合延期となったが、相応しい対戦相手が見つからなかったため、バイエルンは代替のテストマッチを行わない予定だ。
ナーゲルスマン監督は、大幅な変更に慎重な考え
これまでのところ、ビデオアナリストのベンジャミン・グリュック、アシスタントコートのディノ・トップメラーとクサビエ・ツェンブロットをはじめとする新たなコーチ陣、そしてナーゲルスマンが見せている綿密な仕事を、選手たちは絶賛している。彼のスピーチがチーム内で受け入れられる理由は、多くの場合、彼の言葉は非常に明快で、自信に満ちた本物の言葉であるがゆえだ。
彼がゼーベナー通りでのトレーニング中に戦術ボードを置くと、選手たちは彼の話に真剣に耳を傾ける。そこで彼は、マグネットを動かして、スペースやパスコースを伝えるのだ。
また、ナーゲルスマン監督が初日から大きな変革を起こすことを考えていないのも、大きなプラス材料だ。そのため、当面は3バックを敷くことは計画しておらず、FCバイエルンのスター選手たちが好む4バックでプレーさせる考えだ。
とはいえ、ナーゲルスマン監督がワンボランチを採用するのか、ダブルボランチを選択するのか、期待が膨らむ。かつてニコ・コバチ監督は、チアゴをボランチとして1枚で起用することが多く、チーム内で不満を呼んでいた。
フリックはシステムを変更し、ダブルボランチに切り替えて成功した。多くの試合でトップパフォーマンスを発揮した、ヨシュア・キミッヒとレオン・ゴレツカの二人だ。
来週金曜日のグラッドバッハ戦、多くを試すことは期待できないだろう。朗報としては、リュカ・エルナンデス(内側半月板の断裂)が木曜日にランニングトレーニングを開始したことが挙げられる。また、キングスレイ・コマン(背中の問題)もピッチに戻ってきた。アルフォンソ・デイヴィス(外側靭帯断裂)は、すでにボールを使ったトレーニングを再開している。
左サイドバックでプレーするのは?
グラッドバッハ戦は、主将のマヌエル・ノイアーがゴールマウスに立つはずだ。プレシーズンで頼りになっていた代役のスヴェン・ウルライヒは、再び2番手となる。ベンジャマン・パヴァールとダヨ・ウパメカノがまずは、4バックに入るだろう。『シュポルト1』によると、ニクラス・ジューレがトレーニングで優れたパフォーマンスを見せており、タンギ・ニアンズの先発入りは確実ではない。
あとは、誰が左サイドバックを務めるのか、注目されるところだ。意外なことに、新加入のオマー・リチャーズよりも、これまで無名だったヨシップ・スタニシッチの方が優遇される可能性がある。クラブ内では、現在、彼の方がこのイングランド人選手よりも高く評価されているのだ。万能ディフェンダーである21歳のスタニシッチは、先日2023年まで契約を延長し、これまでのトレーニングやテストマッチで堅実なパフォーマンスを見せ、チームメイトやナーゲルスマン監督を魅了してきた。
キミッヒはボランチで、ゴレツカとトーマス・ミュラーはセンターハーフを務める。レロイ・サネ、セルジュ・ニャブリ、コマンの3人が、ウイングのポジションを争うことになる。レヴァンドフスキはまず間違いないだろう。
明らかなのは、ナーゲルスマン監督がスピードある攻撃的なサッカーを志向している、ということだ。
会員誌「51」の中で、オリバー・カーン社長は、新監督についてこう述べている。「我々にとって、彼と契約するにあたり重要だったのは、我々が求めるサッカー哲学に合致しているという点だった。また、リーグ9連覇を達成した後も、さらにハングリー精神を持ち続けることが重要だ。常に慢心することなく仕事をしていかなければならない。ユリアンは若く、そしてハングリーだ。10季連続のマイスター獲得に向け、全員を鼓舞してくれる、そういった人材が必要だったのだ。」