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(前編)ニコ・コヴァチ氏の語る「古巣対決への思い、フリック監督の偉業、昨年のコロナ感染」

—— 以下、翻訳 (インタビュー記事全文)

ニコ・コヴァチ氏がフランクフルト対バイエルンを前に、この試合について語った。彼は古巣クラブの6冠を絶賛し、今季のブンデスリーガでのサプライズを予言している。

ついに、ニコ・コヴァチ前監督が語る!

現在、リーグ戦で4位に付け、2021年は無敗のASモナコを率いるこの49歳に、リーグ1で注目が集まっている。この日曜日、大一番の相手は、リーグ2位のパリ・サンジェルマン。その前日、ブンデスリーガのトップマッチとして、アイントラハト・フランクフルトがFCバイエルンをホームで迎え撃つ。

ドイツ『シュポルト1』の独占インタビューの第1部では、コヴァチ前監督が、ドイツのこのトップマッチを語る。今シーズンのフランクフルトへの期待、彼自身の現在の状況、バイエルンの6冠達成、フリック監督のパフォーマンス、そして元バイエルンの何人かの選手たちについて、彼は実際のところどう考えているのだろうか?コヴァチ氏は、明快に語ってくれた。

SPORT1: コバチさん、モナコでは、ミュンヘンやフランクフルトと比べ、監督として違いを感じることはありますか?

ニコ・コヴァチ:人は誰しも毎日学んでいる。日々成長していきたいと考えるものだ。良かったことはそのまま伸ばしていきたいし、良くなかったことは、良い方向に向かうようにしている。私は、ブンデスリーガ時代に多くのことを学んだ。いろいろ言われたが、フランクフルトやミュンヘンがどうだったかは分かっている。私の仕事はフランクフルトで成功し、ミュンヘンでも同じように成功したのだ。2年間で獲得した、4つのタイトルがそれを物語っている。

SPORT1:古巣クラブの話をする前に、今年10月にあなたは50歳になりますね。この節目の年をどう見ていますか?

コヴァチ:50は特別な数字だね。でも、だからと言って50歳になったような気はしないし、本当に若く感じ、健康だ。健康なのは家族も同じだね。それは私にとって重要なことだ。モチベーションを感じ、監督業を楽しんでいる。そして、楽しめれば、自分が持っているクオリティを間違いなく発揮し、成功を収めることができるのだ。

SPORT1:昨年、あなたはコロナに感染しましたね。 

コヴァチ:ウイルスに感染しないよう、私はあらゆることを行なってきた。私のコーチ陣もそうだった。ウイルスは見たり嗅いだりはできないが、それでも私は感染したのだ。ロッカールームの他の人たちは感染しなかった。それは少し不思議だったね。特に私たちは、ずっと一緒にいたのだから。幸い、症状はほとんどなかった。 しかし、重症化してしまった人たちも多く知っている。冗談を言って軽んじるようなものではない。ただ、社会には、コロナを甘く見たり否定したりする人もいることも事実だ。

SPORT1:土曜日、ブンデスリーガでは、古巣同士のトップマッチが行われます。観戦する予定ですか?

コヴァチ:昼過ぎにパリに向かうため、その時間はちょうど飛行機に乗っている。きっと試合を終えてから観戦することになると思う。

SPORT1:勝敗予想は?

コヴァチ:フランクフルトは好調だが、バイエルンもそれは同じだ。フランクフルトにとっては難しい試合になるだろうね。2019年11月2日の5-1のような結果は想像できない。引き分けになると思う。

SPORT1:今季のアイントラハトが、チャンピオンズリーグ出場という飛躍を果たすことを期待していますか?

コヴァチ:そうだね、彼らがチャンピオンズリーグ出場権を獲得するのは可能だ。 アイントラハトは、2年ぶりにヨーロッパリーグ出場を果たせなかったことが非常に有利に働いているね。毎週、フィジカルや戦術の練習に取り組み、連携を深めるトレーニングを行い、週末に向けてチームに十分な休養を与えられるのは、監督やチームにとっても非常に重要なことだ。フレディ・ボビッチSD、アディ・ヒュッター監督、ブルーノ・ヒュブナーSDは、継続的に仕事を行い、うまくチームをコントロールしてきた。見ての通り、目標に向かい、落ち着いて仕事ができれば、多くのことを成し遂げられるのだ。総じて、今シーズンのブンデスリーガではサプライズが起こると思う。フランクフルトやヴォルフスブルクも、きっとその一角になりうるね。

SPORT1:フィリップ・コスティッチがかつての強さを取り戻しました。去年の夏にモナコへ連れてきたかったと思いますか?

コヴァチ:フィリップ・コスティッチは、どんなチームにも貢献できる素晴らしい選手だ。だが、私たちの中で彼は話題に上らなかったし、フレディ・ボビッチとは何の話もしていない。彼のポジションで言えば、我々にはすでに23歳の選手が2人もおり、この時代にそこまでの大金を使うことはできない。フランスでは放映権料が問題になっており、その収入の半分が無くなってしまった。フィリップは28歳で、記事によると、アイントラハトは多額の移籍金収入を望んでいた。それはコスティッチのような選手であれば当然だ。しかし、これはモナコにおける、我々のポリシーには沿わない。若くて才能のある選手たちと仕事がしたいし、彼らを成長させたいね。そして、彼らのような選手たちがクラブを去れば、チーム作りはまた始めからやり直すことになる。

SPORT1:ルカ・ヨヴィッチと最近コンタクトを取ったのはいつですか?

コヴァチ:2019年のFCバイエルン監督時代にアメリカ遠征で出会った。そこでレアル・マドリード相手に3対1で勝利し、彼とも言葉を交わしたよ。 以前も言った通り、ルカは順調に成長すればビッグクラブに加入できる素晴らしい選手だ。そうしてレアル・マドリードに移籍した。しかし、彼はまだ若い。レアルが思っていたものと違ったというのは起こりうることだ。  ルカはレアルに戻り、チャンスを得れば、それをうまく生かすだろう。

SPORT1:フランクフルトで記憶に残るのは、成功だけではなく、当時(バイエルンの監督就任が噂された際に)あなたの発言したフレーズ "Stand jetzt (今のまま)"が、今もフランクフルトの周囲には残っていますね。特にソーシャルメディアの中では...。

コヴァチ:当時「今のまま」と言ったのは、「今のまま」だったからだ。今のブンデスリーガでも、マルコ・ローゼやフレディ・ボビッチと、似たようなケースが見受けられるね。自分自身がそういう状況に陥ったことがない人が、他人を指摘するのは簡単だ。あと、ソーシャルメディアについては、誤った道に進んでいるため、私はあまり考えていない。コメントを書き込んで隠れるのなら誰にでもできる。何の役にも立たないね。互いに良好な人間関係を築き、理性的なコミュニケーションをとり、相手をリスペクトする姿勢を見せるようにしなければならない。

SPORT1:FCバイエルンの話をしましょう。6冠達成にあなた自身はどれほど貢献したと思いますか?チャンピオンズリーグのグループステージでは、あなたの退任まで無敗を誇りました。

コヴァチ:いや、私の貢献度で言えば、せいぜい0.1%程度のものだ。チャンピオンズリーグ3試合で勝ち点9を獲得し、チームがいい方向に向かったことぐらいだね。しかし、ハンジはそれを最後まで続けたんだ。

SPORT1:ハンジ・フリック監督が世界最優秀監督の受賞には相応しかったと思いますか?

コヴァチ:彼の功績を見れば、もちろんだ。異論はないよ。というのも、ハンジが成し遂げた成功は、センセーショナルなものだったからね。近い将来、こうした偉業がまたすぐに繰り返されるとは考えにくい。ドイツではこれ以上の成功は誰もできないだろうし、むしろスペインやイングランドでも難しいのではないかとさえ思っている。だからこそ、ハンジは当然、世界最優秀監督となる資格があるのだ。ハンジとは今でも連絡を取り合い、活発な意見のやりとりをしているよ。私は、彼の全てを快く思っている。ハンジは、そのクオリティの高さと綿密さで、すべてを手に入れたね。

SPORT1:ラフィーニャやイヴァン・ペリシッチといった選手たちが、あなたの退団後にインタビューで、不満を暴露していたことに失望していますか?

コヴァチ:私が学んだことは分かるかい?それは、常に2つの真実があるということだ。誰もがそれぞれの認識を持っており、メディアは一方だけでなく、双方の意見に耳を傾けるようにすべきだ。この話は、このままにしておきたい。その結果は私も分かっている。

SPORT1:あとは、あの選手の話もしないといけないですね。セスク・ファブレガスだ。モナコでは、彼との関係はどうですか?

コヴァチ:彼は世界的なスター選手であるにもかかわらず、そんな態度は見せない。素晴らしい人間で、とても現実的な考えを持ち、親しみやすく、控えめで、内省的とも言える。あれだけの知名度があり、成功してきたにも関わらず、黒子に徹してくれるというのが、私の彼へのイメージだ。それがトップ選手というものだ。偉大な映画のようだね。

▼元記事
https://www.sport1.de/fussball/bundesliga/2021/02/bundesliga-niko-kovac-spricht-ueber-das-topspiel-zwischen-eintracht-frankfurt-und-fc-bayern


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