マンション標準管理規約 第43条(招集手続)

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2024年6月7日改正(コメント部分)
2021年6月22日改正


条文

(招集手続)
第43条 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所(WEB 会議システム等を用いて会議を開催するときは、その開催方法)及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。
2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。
4 第1項の通知をする場合において、会議の目的が第47条第3項第一号、第二号若しくは第四号に掲げる事項の決議又は建替え決議若しくはマンション敷地売却決議であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
5 会議の目的が建替え決議であるときは、前項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
一 建替えを必要とする理由
二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
6 会議の目的がマンション敷地売却決議であるときは、第4項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
一 売却を必要とする理由
二 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める事項
  イ マンションが円滑化法第102条第2項第一号に該当するとして同条第1項の認定(以下「特定要除却認定」という。)を受けている場合 次に掲げる事項
 (1) 建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第2条第2項に規定する耐震改修又はマンションの建替えをしない理由
 (2) (1)の耐震改修に要する費用の概算額
  ロ マンションが円滑化法第102条第2項第二号に該当するとして特定要除却認定を受けている場合 次に掲げる事項
 (1) 火災に対する安全性の向上を目的とした改修又はマンションの建替えをしない理由
 (2) (1)の改修に要する費用の概算額
  ハ マンションが円滑化法第102条第2項第三号に該当するとして特定要除却認定を受けている場合 次に掲げる事項
 (1) 外壁等の剝離及び落下の防止を目的とした改修又はマンションの建替えをしない理由
 (2) (1)の改修に要する費用の概算額
7 建替え決議又はマンション敷地売却決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
8 第45条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
9 第1項(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。

コメント

第43条関係
(第1項関係)
 WEB 会議システム等を用いて会議を開催する場合における通知事項のうち、「開催方法」については、当該 WEB 会議システム等にアクセスするための URL が考えられ、これに合わせて、なりすまし防止のため、WEB 会議システム等を用いて出席を予定する組合員に対しては個別に ID及びパスワードを送付することが考えられる。
(第3項、第8項関係)
所定の掲示場所は、建物内の見やすい場所に設けるものとする。また、書面での掲示のほか、ディスプレイに情報を投影する掲示方法も想定される。以下同じ。
(第7項関係)
総会と同様に、WEB 会議システム等を用いて説明会を開催することも
可能である。

解説

 区分所有法第35項にある集会(総会)の招集方法について書かれた条項である。建替え決議については区分所有法62条、敷地売却決議については建替え等円滑化法の108条に招集方法と決議要件が定められている。
 建替え決議と敷地売却決議を含まない総会の招集に関しては、区分所有法では1週間前通知、標準管理規約では2週間前通知になる。第9項では、区分所有法35条第1項の「規約で伸縮」できる定めを受けて、緊急時には総会招集を5日間まで短縮している。
 民法上の意思表示は相手方に到達しなければならないが(到達主義)、総会招集通知は区分所有法第35条第3項により発送するだけでよい(発信主義)。
 区分所有法第35条第4項の「規約に特別の定め」をすることで、居住する区分所有者と届出のない区分所有者への招集通知を掲示に変えることができるが、それを標準管理規約でも定めている。
 規約の制定変更廃止議案、敷地及び共用部分等の重大変更決議、大規模復旧決議、建替え決議と敷地売却決議の時は招集通知に議案の要領をも記載しないといけないと区分所有法で規定されている義務であるが、それ以外の議案の時も、出来る限り議案の要領を招集通知に記載した方が総会での議論が深まる。

 標準管理規約第43条は、総会の招集通知に関する条項でほぼ全ての組合に関わる大切な条項ではあるが、建替え決議と敷地売却決議が入っており、読みにくいところでもある。建替え決議に関するこの条項は区分所有法第62条とほぼ同じであり、通知に関しては法律上の強行規定である。

参照条文等

区分所有法 第35条(招集の通知)
 集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。
2 専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第40条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。
3 第1項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。
4 建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第1項の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には、同項の通知は、その掲示をした時に到達したものとみなす。
5 第1項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が第17条第1項、第31条第1項、第61条第5項、第62条第1項、第68条第1項又は第69条第7項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
※第5項で要領の通知を求められるのは、重大変更決議、規約の設定変更廃止決議、大規模復旧決議、団地管理規約設定決議、団地建替一括承認決議である。

民法 第97条
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
3 (略)

標準管理規約 第47条(総会の会議及び議事)
 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
一 規約の制定、変更又は廃止
二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)
三 (略)
四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
五 (略)

区分所有法 第62条
1 集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
4 第1項に規定する決議事項を会議の目的とする集会を招集するときは、第35条第1項の通知は、同項の規定にかかわらず、当該集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸長することができる。
5 前項に規定する場合において、第35条第1項の通知をするときは、同条第5項に規定する議案の要領のほか、次の事項をも通知しなければならない。
一 建替えを必要とする理由
二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
6 第4項の集会を招集した者は、当該集会の会日より少なくとも一月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。

建替え等円滑化法 (区分所有者集会の招集の通知に関する特例)
第107条 区分所有法第35条第1項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が次条第1項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。

建替え等円滑化法 第108条
1 第102条第1項の認定を受けた場合において、要除却認定マンションに係る敷地利用権が数人で有する所有権又は借地権であるときは、区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び当該敷地利用権の持分の価格の各五分の四以上の多数で、当該要除却認定マンション及びその敷地(当該敷地利用権が借地権であるときは、その借地権)を売却する旨の決議(以下「マンション敷地売却決議」という。)をすることができる
5 第1項に規定する決議事項を会議の目的とする区分所有者集会を招集するときは、区分所有法第35条第一項の通知は、同項の規定にかかわらず、当該区分所有者集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。
6 前項に規定する場合において、区分所有法第35条第1項の通知をするときは、前条に規定する議案の要領のほか、次に掲げる事項をも通知しなければならない。
一 売却を必要とする理由
二 建築物の耐震改修の促進に関する法律第2条第2項に規定する耐震改修(次号において単に「耐震改修」という。)又はマンションの建替えをしない理由
三 耐震改修に要する費用の概算額
7 第5項の区分所有者集会を招集した者は、当該区分所有者集会の会日より少なくとも一月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。

区分所有法 第44条(占有者の意見陳述権)
 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。
2 前項に規定する場合には、集会を招集する者は、第35条の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。

標準管理規約第45条(出席資格)
2 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。

マンション管理標準指針20ページ
◆なお、標準管理規約でも、原則として議案の要領まで通知することとはしていませんが、この点については、議案が極めて多数にわたるため、議案の要領の作成が通知の日に間に合わないような状況もありうることも考慮すれば、管理規約上は「議案の要領」まで示すこととすると、かえって不都合が生じる可能性もあるので、管理規約によりルール化する必要はないと考えられます。しかし、通常総会における管理組合運営の実務としては、議案の要領も示すべきと考えられます。

マンション管理標準指針22ページ
◆通常総会の実出席率を上げるためには、招集通知に先立ち、総会の日時や場所が決まってからなるべく早い時期に、区分所有者のスケジュール確保のため総会の開催予告を行うことが望まれます。
◆開催予告の目的からすれば、予告の内容として不可欠な事項は「開催日時」です。また、場所も示すべきでしょう。

標準管理規約 第52条
4 理事会の招集手続については、第43条(建替え決議又はマンション敷地売却決議を会議の目的とする場合の第1項及び第4項から第8項までを除く。)の規定を準用する。この場合において、同条中「組合員」とあるのは「理事及び監事」と、同条第9項中「理事会の承認」とあるのは「理事及び監事の全員の同意」と読み替えるものとする。(後略)

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