マンション標準管理規約 第54条(議決事項)

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2024年6月7日改正(第八号、第十号追加)
2021年6月22日改正(第十一号追加)


条文

(議決事項)
第54条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
 一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
 二 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
 三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案
 四 その他の総会提出議案
 五 第17条、第21条及び第22条に定める承認又は不承認
 六 第58条第3項に定める承認又は不承認
 七 第60条第4項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
 八 第60条第5項に定める弁済の充当の順序の設定
 九 第67条に定める勧告又は指示等
 十 第67条の2第1項に定める区分所有者の所在等の探索
 十一 総会から付託された事項
 十二 災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等
 十三 理事長、副理事長及び会計担当理事の選任及び解任
2 第48条の規定にかかわらず、理事会は、前項第十二号の決議をした場合においては、当該決議に係る応急的な修繕工事の実施に充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて決議することができる。

コメント

第54条関係
① 第1項第十二号の「災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等」の具体的内容については、次のとおりである。
ア)緊急対応が必要となる災害の範囲としては、地震、台風、集中豪雨、竜巻、落雷、豪雪、噴火などが考えられる。なお、「災害等」の「等」の例としては、災害と連動して又は単独で発生する火災、爆発、物の落下などが該当する。
イ)「総会の開催が困難である場合」とは、避難や交通手段の途絶等により、組合員の総会への出席が困難である場合である。
ウ)「応急的な修繕工事」は、保存行為に限られるものではなく、二次被害の防止や生活の維持等のために緊急対応が必要な、共用部分の軽微な変更(形状又は効用の著しい変更を伴わないもの)や狭義の管理行為(変更及び保存行為を除く、通常の利用、改良に関する行為)も含まれ、例えば、給水・排水、電気、ガス、通信といったライフライン等の応急的な更新、エレベーター附属設備の更新、炭素繊維シート巻付けによる柱の応急的な耐震補強などが「応急的な修繕工事」に該当する。また、「応急的な修繕工事の実施等」の「等」としては、被災箇所を踏まえた共用部分の使用方法の決定等が該当する。
 なお、理事会の開催も困難な場合の考え方については、第21条関係⑪を参照のこと。 を参照のこと。 
② 第2項は、応急的な修繕工事の実施に伴い必要となる資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて、第48条の規定によれば総会の決議事項であるところ、第1項第十二号の決議に基づき実施する場合には、理事会で決議することができるとするものである。 
③ ①のほかにも、共用部分の軽微な変更及び狭義の管理行為については、大規模マンションなど、それぞれのマンションの実態に応じて、機動的な組合運営を行う観点から、これらのうち特定の事項について、理事会の決議事項として規約に定めることも可能である。その場合には、理事の行為が自己契約、双方代理など組合員全体の利益に反することとならないよう監事による監視機能の強化を図るなどの取組み、理事会活動の事前・事後の組合員に対する透明性の確保等について配慮することが必要である。

解説

 第1項第一号から第四号は、総会に提出する「案」は理事会で決定することを定めた条項。
 第1項第五号は第17条だけだったのを、第21条、第22条の両方を平成28年改定標準管理規約により加えた部分。さらに標準管理規約で新設された別添2において細かく基準が示されている。この第五号は申請方法と承認基準を示した細則を作る必要があるが、専門的な知識を必要とするため専門家の力を借りた方が良い。また、この五号申請に関しては理事が代わるたびに承認基準が変わってはいけない。

参照条文等

標準管理規約 第17条
3 理事長は、第1項の規定による申請について、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議により、その承認又は不承認を決定しなければならない。

標準管理規約 第21条
4 前項の申請及び承認の手続については、第17条第2項、第3項、第5項及び第6項の規定を準用する。

標準管理規約 第22条
3 前項の申請及び承認の手続については、第17条第2項、第3項、第5項及び第6項の規定を準用する。

標準管理規約 第58条
3 理事長は、第56条に定める会計年度の開始後、第1項に定める承認を得るまでの間に、以下の各号に掲げる経費の支出が必要となった場合には、理事会の承認を得てその支出を行うことができる。

標準管理規約 第60条
4 理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。

標準管理規約 第67条(理事長の勧告及び指示等)
 区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。
2 (略)
3 区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は区分所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置を講ずることができる。
一 行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること
二 敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金又は不当利得による返還金の請求又は受領に関し、区分所有者のために、訴訟において原告又は被告となること、その他法的措置をとること

標準管理規約 第48条
 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し

標準管理規約 コメント第21条関係
⑪ 災害等の緊急時において、保存行為を超える応急的な修繕行為の実施が必要であるが、総会の開催が困難である場合には、理事会においてその実施を決定することができることとしている(第54条第1項第十号及びコメント第54条関係①を参照。)。しかし、大規模な災害や突発的な被災では、理事会の開催も困難な場合があることから、そのような場合には、保存行為に限らず、応急的な修繕行為の実施まで理事長単独で判断し実施することができる旨を、規約において定めることも考えられる。更に、理事長をはじめとする役員が対応できない事態に備え、あらかじめ定められた方法により選任された区分所有者等の判断により保存行為や応急的な修繕行為を実施することができる旨を、規約において定めることも考えられる。なお、理事長等が単独で判断し実施することができる保存行為や応急的な修繕行為に要する費用の限度額について、予め定めておくことも考えられる。

標準管理規約 第37条の2

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